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兼高かおるさん

  仕事として旅を続けてこられ、これまでに海外150以上の国々を訪れていらした兼高かおるさん。そんな兼高さんに、今までで一番印象に残っている旅を尋ねてみると、「一番というものはないですよ。それぞれの国、それぞれの場所に、そこにしかない良いところがありますから。すべてが印象に残っています」
 穏やかな口調で答えられた兼高さん。そこには単に「旅慣れた」ということを超越した実体験の豊かさ、重みが感じられます。そして、「旅」については、「人それぞれのスタイルで旅を楽しめればいいんじゃないでしょうか。その人なりの楽しみ方があっていいと思いますよ」ひとりひとりの楽しみ方をそのまま受け止める、これも様々な体験をされてきたからこその言葉でしょうか。

  「日本にはない素敵なところ紹介できればいいな」という思いで、あの長寿番組『兼高かおる 世界の旅』を綴られてきたといいます。そんな兼高さんの目には、日本がどう映っているのでしょうか。

 「日本にもすばらしい景色がたくさんあります。東北地方には、江戸時代からの建物がいい形で残っていますし。ただ、変わっていくのがとても残念。たとえば、ドイツではライン川に新しい橋を架けさせないんですよ。不便だとわかっていても、『ライン川の美しさ』を選んでいるんですね」

 海外、とりわけ欧州の美意識は、私たち日本人と何か違うのでしょうか。兼高さんのお話を聞いていると、そんなことを思ってしまいます。

 「日本庭園をご存じですよね?どこから見ても映えるように造られている、素晴らしい日本の文化です。日本人はとても繊細な心をもっていると思うのですが、美に対するこだわりは、昔の日本人の方が強かったのかもしれませんね」未来はいつでも創れるけれど、過去を創ることはできない。だからもっと大切にしなくてはいけない。そう言われているような気がします。

 「先日、ドイツの方を泉岳寺に案内したときは好評でしたよ。歴史とストーリーがあって、とてもエキゾチックなところですものね。古き良きもの、日本古来の文化は残していくべきだと思います」現在お住まいの六本木につて、「何もないところに道ができたりして、変わってしまったわね。親しみがなくなってしまいました」とも。六本木もその昔には潮の香りもして、とても良いところだったそうです。今なお世界を駆けめぐっていた頃と少しも変わらない兼高かおるさん、「美」に対するこだわりと独特の感性がとても印象的でした。

兼高かおるさん 写真
■プロフィール
1928年 神戸市生まれ。1959年から1990年 テレビ番組「兼高かおる世界の旅」(TBS系)をナレーター、ディレクター兼プロデューサーとして製作。現在、横浜人形の家館長、兼高かおる旅の資料館名誉館長、日本旅行作家協会副会長、エコツーリズム推進協議会長などをつとめる。
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