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「2、3年前に母と港区の展望台に登ったんです。高い所は苦手なんですけど、東京を一望できて、それは素晴らしい眺めでした。それ以来、外国の友人達にも『東京の全体見たことある?』と勧めています」と楽しそうに話してくださった前橋さん。日本を代表する国際的バイオリニストとして活躍されています。7月にサントリーホールで『前橋汀子 アフタヌーン・コンサート』が開催されるということでお話をうかがいました。
バイオリンと共に歩んだ人生 バイオリンとの出合いは幼稚園の頃。「幼稚園の情操教育で、ピアノかバイオリンを選ぶことになり、母がバイオリンを選んだんです。ピアノより小さいからという理由で」。小学校に入ってからは、ロシア人の小野アンナ先生に習い、バイオリンは前橋さんの生活に組み込まれていきました。「その時にダビッド・オイストラフという世界的に有名なソ連のバイオリニストの演奏を聴きました。彼の演奏は、バイオリンが体の一部のようになって、素晴らしいなと思って。私もソ連に行けば、あんな演奏ができると思ってしまったんです」。その夢が叶い、17歳のときにレニングラード音楽院(現 サンクト・ペテルブルグ音楽院)に3年間留学されました。「熱意だけを持って行った見知らぬ国でしたから本当に大変で。あの当時、ソ連は物がなかったんです。1部屋に4~5人くらいの音楽学生が集まって寮生活をしていました。練習場所の確保にも困るほどだったんですよ」。初めて親元を離れ、寂しい思いをされたとか。「日本へ電話を掛けることもできなかったんです。音楽院での出来事や辛い思いなどを手紙に書いても、返事が来るのは1カ月後ですから。返事が来たときには何を書いたか忘れてますでしょ(笑)」厳しい生活環境でしたが、今では考えられないほど高いレベルの教育を受けられたそうです。「今は亡き巨匠たちが現役でコンサートもやりながら、学生に教えていました。音楽だけでなく、その背景にある文化や芸術、歴史も含めて、あの時代を直に体験し、空気を共有できたことは、私の人生の基盤になっています」 ソ連で3年間を過ごし、日本に帰国。またソ連へ行こうと思っていたとき、ニューヨークのジュリアード・カルテットの先生との出会いがあり、アメリカへ。ソ連とアメリカという冷戦時代の対局にある二つの大国で、貴重な体験をされた前橋さん。現在は多くのコンサート演奏を続けながら、東京芸術大学で講師も務められています。 ひとりでも多くの方に楽しんでほしい 今回のコンサートはプログラムはもとより、日曜日の午後、しかも全席3000円という料金にも目を惹かれます。「普段あまりクラシックのコンサートにいらっしゃらない方でも気軽に来ていただきたい。日曜の午後なので、その前後にお茶を飲んだり、食事をしたり。コンサートを含め、素敵な日曜の午後を楽しんでいただくにはこのくらいの料金がいいかな、ということで設定したんです」。今回のコンサートは「小品もありますが、しっかり骨のあるソナタも入っています。ピアニストのイーゴリ氏もレニングラードの音楽院を卒業してるんですね。そういう縁もあって」とのこと。プログラムは、皆さんも一度は耳にしたことのある有名な曲ばかり。ぜひ皆さんも、日曜の午後、素敵なひとときを過ごされてはいかがでしょうか。 |
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