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ブライダルファッションデザイナー 桂 由美(かつら ゆみ)さん
 ブライダルファッションデザイナーとして世界を舞台に活躍する桂由美さん。
西洋の文化であるウエディングドレスのデザインを手がける一方で、「着物の衰退とともに伝統工芸が滅んでいくのではないか」ということを心配されているそうです。そのため、常にファッションに「和」を取り入れることを意識し、織物はもちろんのこと、最近では和紙を素材としたウエディングドレスを発表されています。

越前和紙との出会い

 素材として桂さんが選んだのが「越前和紙」。既成の和紙ではなくオーダーメイドの手漉き和紙によるまったく新しいタイプのドレスを考えていたころ、知人を介して福井県今立町の和紙職人に出会われたそうです。
  今立町は1500年の歴史を持つ手漉き和紙の日本最大の産地。町では、伝統技術の継承とともに、さらなる発展を目指して新しい和紙作りに力を注いでいます。「出会いはまったくの偶然。まずは人と人との出会いです。お互いのタイミングがぴったり一致しました」とのこと。
  「和紙を超えた和紙を作り、日本の伝統を世界に紹介したい」という桂さんは、何度も今立町に足を運び、職人さんたちとの試行錯誤を繰り返しました。そして、今から3年前のローマコレクション('02年)で、初めて越前和紙を素材としたウエディングドレスを発表し、世界中から注目を浴びました。その後、パリ・オートクチュールコレクションにおいても大絶賛されました。それ以来、和紙素材による新作を毎年発表されています。

「ジャパニーズペーパー」から「WASHI-MODE」へ

 「発表当初はジャパニーズペーパーと呼ばれていた和紙が、最近ではWASHI-MODEという新しい分野の素材として世界のファッション界に広がりつつあります。これは、日本の伝統工芸をさらに世界に広げるいいチャンスだと思っています」。日本の伝統を発展させる場として、海外の舞台を選んだ桂さんのスケールの大きさを感じるコメントです。
  WASHI-MODEの実用化については、「まだまだ耐久性の面で難しいです。撥水加工をすると色合いが変わってしまったり、紙が硬くなってしまったり…」。でも、諦めてはいないそうです。近い将来、和紙ドレスを着た本物の花嫁さんが登場する日がやってくるかもしれませんね。

港区は「ブライダルタウン」

 桂さんがブライダルデザインを始められたのは、40年ほど前。当時、ファッションの中心は銀座でしたが、これからのファッションエリアとして青山に注目されたそうです。「適当にロマンティック、適当にモダン、適当にファッショナブル。最先端の街の印象が強いけど、神社やお寺も多く伝統もきちんと残っていますよね。ウエディングショップがたくさんあるし、最近はレストランウエディングができるおしゃれなお店も多く、ブライダルタウンと言ってもいいかも。とにかく大好きな街です」

 伝統工芸はもちろんのこと、新しく開発される素材や技術にも常に注目し、「これはウエディングドレスにならないかな?なんて、いつも考えています」とのこと。続けてつぶやかれた「いいものは残っていくからね」という言葉に重みを感じました。

桂 由美さん 写真
■プロフィール
共立女子大学卒業後、フランスへ留学。'64年、日本初のブライダル専門店をオープン。'69年全日本ブライダル協会設立。'99年には東洋人として初めてイタリアファッション協会の正会員となりその後、パリオートクチュールコレクションに舞台を移し、毎年コレクションを開催。また、今年7月にはシャネル本店前にパリ店をオープン。
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