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ピアニスト スタニスラフ・ブーニンさん

あの衝撃のブーニンフィーバーから20年、音楽の素晴らしさを伝えるために

東京はふるさと、
サントリーホールは音楽のふるさと

85年、5年に一度しか開催されない世界的なピアノコンクール、ショパン国際コンクールで優勝したブーニンさん。これを機に世界中で本格的な演奏活動を開始され、86年に初来日してからたくさんの聴衆を魅了してきました。「初めて日本に来たときは、私にとっておとぎの国でした。日本での20年が長いか短いかはわかりませんが、東京はふるさとのようなものです」。一年の大半は演奏活動で世界中を飛び回っているブーニンさんですが、日本の大学で教鞭を執ったり、日本各地でコンサートを開催するうちに、いつしか東京に生活の拠点を置くようになりました。

ブーニンさんが日本でデビューしたその年は、サントリーホールがオープンした年でもあります。初演奏は翌年の秋でしたが、「当時のことはよく覚えています。ドビュッシーを弾きましたが、そのときホールにどのように響いていたか、今でも鮮明によみがえってきます。サントリーホールは私にとって音楽のふるさとと言えるでしょう」とのこと。ご自身の日本デビューとともにオープンしたホールは、とても印象深かったようです。

忘れているものを
もう一度思い起こさせたい

「日本がこの20年でどんなふうに変化してきたか、舞台に上がるたびに、肌で感じています」。お客さんの成長を体感できてうれしいと語るブーニンさん。日本の聴衆は、音楽的に高度な教養を持っていて、たくさんの新しい音楽があふれている中で独特の音楽観を作り出している印象を受けたそうです。ですが、新しいものをうまく取り入れる一方で、古いものを簡単に捨ててしまうことに疑問を感じたとか。「ヨーロッパに『新しいものに挑戦するということは古いものを上手に忘れていくこと』という言葉があります。でも私はクラシック音楽の素晴らしさは忘れてほしくない。皆さんが忘れてしまっていることを、もう一度思い起こさせるようにしたい。それは私の新たな挑戦です。そして今回のリサイタルはそういうものになるでしょう」。11月のリサイタルでは、シューマンの曲(作品99)に挑戦するとのこと。「新しいプログラムを弾くときは、その喜びよりも心配で恐怖の方が大きいです。今回挑戦する作品は、鏡のようにいろいろなものを思い起こさせてくれる作品です。20年を振り返るという意味でもふさわしい作品で、私自身も弾きたい曲です。ぜひ皆さんに聴いてほしいです」

「常に音楽のことを考えてしまうのです。たまには大好きな温泉でゆっくりしたいんですけどね」と苦笑するブーニンさん。音楽の素晴らしさを伝えたい、そんな気持ちが、現在でも聴衆を魅了し続ける演奏の原動力となっているのではないでしょうか。11月のリサイタルが楽しみです。

スタニスラフ・ブーニンさん 写真

■プロフィール
ピアニスト。83年「ロン・ティボー国際コンクール」に史上最年少の17歳で優勝、続いて85年「第11回ショパン国際ピアノコンクール」で優勝(同時にコンチェルト賞、ポロネーズ賞を受賞)し、一躍世界中から注目を集める。86年に初来日し、「ブーニン・フィーバー」と呼ばれる社会現象を巻き起こした。89年には洗足学園音楽大学の客員教授を務めたり、ボランティア活動を意欲的に行うなど、幅広く活躍している。ドイツ在住。

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