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![]() 『元禄忠臣蔵』人間・大石内蔵助の真の魅力 リーダーとしての大石内蔵助 国立劇場開場40周年を記念して3ヵ月連続公演される『元禄忠臣蔵』。史上初の全10編通し上演、しかも、歌舞伎界三名優が月代わりで大石内蔵助を演じる話題の公演です。12月に大石内蔵助を演じられる松本幸四郎さんに、その見どころを語っていただきました。 「松の廊下や討ち入り前夜などいろいろな場面がありますが、『大石最後の一日』は、文字通り四十七士最期の、物語でも最も重要な場面です。作者の真山青果(まやませいか)先生は、大作の中でもこの最後の場面を一番最初に書かれ、それが大ヒットし、次々に各場面が生まれて『元禄忠臣蔵』が完結したのですから」 江戸時代からの人気歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』と、昭和に作られた『元禄忠臣蔵』。両方を演じ、それぞれに、大石内蔵助(大星由良之助)という役の大きさ、むずかしさを経験してきた幸四郎さんですが、「『仮名手本』はともかく『元禄忠臣蔵』の大石内蔵助の魅力は、真のリーダーであるということです。自分が目立つのではなく、部下や仲間を活かす。四十六人の人生を活かしきることで、現代に通じる『真のリーダーとは』という問いかけをしているのだと思いますね」と、人間ドラマとしての魅力を教えてくれました。 この『大石最後の一日』には、四十七士のひとり・磯貝十郎左衛門とおみのの、悲劇的な恋の絡みもでてきます。「切腹するほんの数時間前であっても、若い二人に対して、きちんと処していく。そういうことができるのが、真のリーダーなんですね」 お父様の白鸚さんも何度も演じられた役で、「父は、大石内蔵助の様な生き方を貫き通した人でした。劇の最後には『これで私の初一念が届きました』というセリフがあるのですが、初心を貫くというたいへんな大事を成し遂げたのに、サラリと、実にさわやかに『私の番でございます』と(切腹するために)人生の表舞台から去っていく。父の最期もそんな風でした。男として、人間として最高の父で、そしてとても粋な人でした」 「さらに、真山作品にはっきり書かれていて『仮名手本忠臣蔵』にないのは、お上に対して問いかける姿勢です。四十七士は、徒党を組んで仇討ちをしただけではないんですね。政に対する不信、幕府に対する不満、それを突きつけているんです。現代のお客さまがご覧になられても、共感できるテーマだと思います」 街角の季節の花々を愛で お父様の代から港区にお住まいの幸四郎さん。 「この場所に越してから、もう30年にもなりますか。麻布グラウンドに辛夷が、春にはロシア大使館の交差点に桜桃(ゆすらうめ)が咲きます。二の橋からこちらに向かう角には真っ赤な夾竹桃がありましてね、その赤が、濃紅(こきべに)というほんとうの濃い赤。そういう風に劇場に行く道すがら、街角の、季節によって咲く花々を楽しんでいます」 大使館や歴史あるお寺の庭だけでなく、街角の樹木や家々の草花も愛でる、優しい視線もお持ちの方なのでした。 「港区には泉岳寺、旧細川邸など、忠臣蔵にご縁のある場所がたくさんあります。同じ区民として港区に住んでいるぼくが演じる『元禄忠臣蔵』、ぜひ、お楽しみください」
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