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俳優 平田満(ひらた みつる)さん

旅するように語りたい

漂泊する役者の魂を持って

赤坂区民センター4月公演『劇的リーディング~旅する編~』は、普通のお芝居とは一味ちがう、朗読と演劇が融合したユニークな舞台です。出演される平田満さんにお話を伺いました。

「ラジオドラマのような『ほいとうの妻 ―山頭火たれ山頭火―』や、セリフのような詩を読む『(お)もろい夫婦』などの朗読劇も演(や)りましたが」、と話す平田さん。お客様を前に、何冊もの小説や作品を読むスタイルは初めてだそうです。

「なんせ僕は芸無しなので(笑)。いろいろな人物を演じ分けるとか、多彩な声色を使うなんてできないですけど、単なる読み聞かせではなく、旅に出るように世界が広がっていく、他にない舞台にしたいですね」

今回のリーディングのテーマは「旅」。村上春樹『海辺のカフカ』、司馬遼太郎『モンゴル紀行』など、たくさんの旅の小説やエッセイを、渡り歩くように読みつなぎます。

「旅には、ロマンがありますよね。文学的な匂いもするし、ドキュメンタリーもある。社会問題を扱うなら、僕に向いているかなぁと心配になりますけど、旅だったらね。山頭火じゃないけど、普段、都会にいながらも漂泊する旅人みたいなもんですから」

VAN99ホールの思い出

「港区ってまぶしいですね。上京してしばらくは、青山や麻布にバイトに行くと、街並みがとにかくまぶしかった。」。青山通りにはアイビールックで一世を風靡した「VAN」が運営する「VAN99ホール」がありました。「それこそ定員99人、料金も99円。ボクシングの新人戦をやったり、ムーンライダーズがライブをやったり、たくさんの若者が集まってました。1974年頃かな。そこで、つかこうへい事務所の舞台『熱海殺人事件』などいろいろ演りました。当時は、アングラブームがおさまって、小劇場ブームに移り変わる時期。そこに、つかさんがエポックメーキングに登場し、夢の遊眠社の野田秀樹さん、第三舞台の鴻上尚史さんたちが続いていったんですね」

VAN99ホールの入り口右側には「カフェ エスプレッソ356」がありました。「懐かしいですね。その当時、はじめてエスプレッソを飲んだのが青山でしたよ」

今回、同じ舞台に出演される竹下明子さんは夢の遊眠社のご出身です。

「竹下さんとは一時期、同じ事務所に所属していたことがあるんです。透明感のある方ですね。もう10年程前になるかな、『ゴドーを待ちながら』で同じ舞台にも立ちました。遊眠社では少年の役が多かったけれど、ソフィア・コッポラ監督の映画『ロスト・イン・トランスレーション』では、母親のような日本人通訳の役でしたね」

「今回のようなリーディングの舞台は、枠組みが決まっているお芝居とちがって、ジャズのセッションのような掛け合いができたりします。お互いにその日の雰囲気で引っ張られたり、引きずったり。そういう意味では、男性と女性の組み合わせはスリリングですね。作品、役者、演出、旅……いろんな相乗効果が楽しめるかな、と思います。区民センターから僕と一緒に、みなさんそれぞれの心の旅に出発してください」

平田満さん  写真

■プロフィール
愛知県出身。早稲田大学在学中の1970年代半ばより、『熱海殺人事件』をはじめ、つかこうへい作・演出による多数の舞台に出演。82年、映画『蒲田行進曲』(深作欣二監督)のヤス役で、数々の映画賞を受賞。以降、舞台、テレビ、映画で、幅広く活躍。近年の主な舞台に、『こんにちは、母さん』『ART』『居残り佐平次』『火焔太鼓』『竜馬の妻とその夫と愛人』『ダモイ』など。

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