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ヴァイオリニスト 千住真理子 (せんじゅ まりこ) さん

残りの人生すべてをこの楽器に捧げたい

アントニオ・ストラディヴァリ(1644~1737)が製作したヴァイオリン、ストラディヴァリウス。300年近く経った現在でも最高級のヴァイオリンとして賞賛されています。その中でも幻の名器と言われる「デュランティ」を弾いているのが千住真理子さんです。4月27日に高輪区民センターでリサイタルを開く千住さんに、楽器への思いなどをお聞きしました。

運命の楽器との出会い

デュランティの第一印象を「生き物のような恐ろしさを感じた」と話す千住さん。「それは何なのかを表現するのは難しいのですが、楽器からくる圧力のようなものだったり、エネルギーの塊のようなものだったり…音も何か生き物の声のような、そんな感じがしました」

デュランティは1716年に製作されましたが、千住さんのもとに届くまでの約300年間、演奏家に弾かれたことがありませんでした。「そんな楽器が、なぜ今日本の、しかも私の前に現れたのだろうというのが不思議で、きっと何かを伝えたいのだと感じました」

運命的な出会いを果たした千住さんとデュランティ。「この楽器に出会うために生まれ、さまざまな試練があったのだと、『やっと出会えたね』という気持ちさえしました。ヴァイオリニストとして生きていこうとは決めていましたが、デュランティに出会ってからは、この楽器の音をよりよく出すために残りの人生すべてを捧げたいと思うようになりました。それだけの価値のある楽器です」という千住さんの言葉は、まるで赤い糸で結ばれた運命の人との出会いを語るようです。

空気の振動で伝わる音を味わってほしい

難しいと思われがちなクラシック音楽ですが、千住さんは「ぽかーんと聴いていただければいいと思います。楽器からは人間の耳には聴こえない音も発せられています。マイクを使わず演奏するので、それが空気の振動で伝わっていく。そのことが人間の身体にもよい影響を与え、リラックスできるのではないかと思います」

今回のリサイタルでは、「とても柔らかい」という今のデュランティが奏でる特徴的な音を、より分かりやすく表現できる曲を集めたそうです。「曲を知らない方でも空気の振動で伝わる音を味わいに来て欲しいですね。テレビやCDを通してでは分からない良さがあると思います。ぜひ生の音を、だまされたと思って聴いてみてください」

中学校から大学まで三田に通っていた千住さん。学業とレッスンで忙しい毎日を送りながら「学校帰りのわずかな時間に、田町の駅前で友達とアイスクリームを食べたり、髪留めを買ったりするのがリラックスできる時間でした」と話してくださいました。現在も演奏活動に忙しい毎日ですが、「デュランティを手にしてからは、音の変化を発見するのがうれしくて、ほんとに弾くのが楽しい」とのこと。そんな千住さんとデュランティが、どんな音を奏でるのか楽しみです。

千住 真理子さん 写真
写真:宅間 國博

■プロフィール
2歳半よりヴァイオリンを始め、12歳でNHK交響楽団と共演してプロデビュー。慶応義塾大学卒業後、指揮者故ジュゼッペ・シノーポリに認められ、87年ロンドン、88年ローマデビュー。以後、国内外で活躍。02年秋、ストラディヴァリウス「デュランティ」との運命的な出会いを果たす。05年にデビュー30周年を迎えた。07年1月に新アルバム「ドルチェ」をリリース。
千住真理子オフィシャル・ホームページ
http://www.marikosenju.com/

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