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![]() お客さんのかけ声や拍手、素直な反応が嬉しいね 大夫は場面説明や情景の描写、人形のセリフにいたる物語のすべてを語る、舞台の進行役です。公演中の出番を終え、「これで一日が無事終わった気分ですわ」と、くつろいだ様子の豊竹英大夫さんにお話を伺いました。 ――英大夫さんがこの世界に入ったきっかけを教えてください。 祖父の影響で小さい頃から文楽を観たり、楽屋へ行ったりしていましたが、当時(約40年前)の文楽は一番の衰退期で。大阪の朝日座というところでやっていたけれど、お客さんよりも舞台上の人が多いときもあったりして、自分がやろうとは思っていなかったね。小説家になりたいと思っていたくらい。それが、20歳の頃、久しぶりに文楽を観たら、衝撃を受けて。「文楽はアブストラクト(抽象的な)芸術の極致だ」と思って。こんなにアブストラクトなことをやっていたんだって。文楽は古典芸能っていいますでしょ。でも初めて観る人にとっては新鮮なものですよね。私にとって20歳の頃に観た文楽も、まさにそれ。これはぜひやりたいなと思いましたね。 ――舞台では大夫の語り分けが印象的ですが、やはりその役になりきるのでしょうか。 いろんな役に次々と切り替わらないといけないですから。切り替えが激しいので、その役になりきるのとはちょっと違うんです。なりきったようでなりきっていない。少し離れたところから見ている感じでしょうか。 ――文楽の舞台を続けていく魅力とは? やはり、お客さんの反応ですね。拍手をしてくれたり、かけ声を掛けてくれたり。海外公演に行くと差がはっきりわかります。情熱の国イタリアやブラジルでは、人形に刀が近づく場面があると、「NO~!」っていう声があがったり、ジェスチャーで表現したりして。舞台を楽しんでくれているな、というのがわかるんです。日本でも『文楽鑑賞講座』などで「どこで拍手したり、かけ声をかければいいんですか?」と質問されるので、その練習をしてみたりするんですが、いざ本番となるとできない(笑)。やはり恥ずかしいと思うんでしょうが、もっと素直に楽しんでもらいたいですね。
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