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港区探訪

一度は訪ねたい 港区のアート&施設

第1回 港区立麻布図書館

港区立麻布図書館「重なる」 流 麻二果

過去と未来をつなぐ十二単の色彩

2014年7月にリニューアルオープンした港区立麻布図書館。
1階から最上階の5階まで、アーティスト流 麻二果(ながれ まにか)さんがアートワークと色彩監修を行っている。
そこには、どんな思いが込められているのだろうか。

圧倒的な存在感を放つ「重なる」

エントランスを入ってすぐ、前方の壁画の存在感に圧倒される。オレンジ、ピンク、ブルー、グリーン。さまざまな色が、連なった波のように目の前に迫ってくる。歩を進め、その壁画と対峙してほしい。オレンジ色だと思っていた色は、いつの間にか赤に変わり、気が付くとそれはピンク色になっている。1点を見つめれば、色と色が混ざり合い、動いているかのように見えてくる。流さんの作品、タイトルは「重なる」だ。

「紙の重なりが本となり、本の重なりが図書館となり、訪れた人々の時間が重なり、読んだ本からの知識が重なり、時が重なる。それを色の重なりで表現しました」と流さん。
絵画、湾曲した壁、壁と床の接地面等、すべての要素の一体感が作品なのだ。

「重なる」一部拡大

近づいてみると、それぞれの色が重なり、
新たな色を作り出していることに驚かされる。

色を重ねることで表現する春夏秋冬

「重なる」は館全体のテーマでもある。
「私は本や図書館が好きです。慣れ親しんでいる場所だからこそ、館全体のアートワークと色彩監修のお話をいただいたとき、コンセプトの重なるというイメージが自然とわいてきました」

平安時代の十二単の色合わせに造詣が深い流さん。衣を何枚も重ねて着用し、その色合わせには四季と密接な関係があったことに着目して、麻布図書館のコンセプトを決定。子どものフロアである2階の春から始まり、3階は夏、4階は秋、5階は冬と、階の重なりと人生の重なり、日本の季節を合わせて表現。テーマカラーを基調とした作品を描いた。

「本来、色というものは混ぜると汚くなっていくもの。使う数が多ければ多いほど難しいのです。そこをいかにして深みを出すか。難しいけれど面白いところでもあります」

どんな年代でも楽しめる図書館

麻布図書館は1階に子育てひろば、乳児一時預かりの『あっぴい麻布』を併設していることもあり、子育て支援に力を入れている。外国人居住、在勤が多いこのエリアの特徴に合わせ、外国語の資料も豊富だ。また、壁面緑化、館内の書架や閲覧室の椅子等は国産木材を用いる等、環境への配慮も行っている。

収蔵図書は約11万冊。麻布図書館にない本でも、港区内の図書館が蔵書していれば、パソコンやスマートフォン、館内の検索端末機、窓口で予約申込みが可能。また、港区が所蔵していない図書についてもカウンターにて取り寄せの相談をすることが可能。

同じ空間で本とアートの一体感が味わえるのが麻布図書館の特徴。おはなし会、映画会、文学講座、歴史講座、コンサート等のイベントも行っているので、読書以外でも楽しめる空間だ。心に残るアートのある麻布図書館。気軽に立ち寄ってほしい。

流 麻二果 作品

▲各階に配された絵画。❶ 2階「春、紅梅匂(はる、こうばいにおい)」、❷ 3階「夏、杜若(なつ、かきつばた)」、❸ 4階「秋、青紅葉(あき、あおもみじ)」、❹ 5階「冬、色々(ふゆ、いろいろ)」と、四季の移り変わりを表現していた十二単の色の組合わせにちなんでいる。

流 麻二果 写真

流 麻二果(Manika Nagare)
アーティスト。香川県育ち。女子美術大学絵画科卒業。2002年文化庁新進芸術家在外研修員、2004年ポーラ美術振興財団在外研修員として、アメリカやトルコで作品を発表。主な展覧会は「DOMANI・明日」国立新美術館(2010)、「絵画を抱きしめて」資生堂ギャラリー(2015)、「一葉」YUKA TSURUNO GALLERY(2015)、「Wraparound」Miyako Yoshinaga Gallery, NY(2016)、「見えてる風景/見えない風景」高松市美術館(2016)等多数。

国立新美術館アーティスト・ワークショップ「2017年の日本の色を見つけよう」成果展示

国立新美術館で開催された、流 麻二果さんによるワークショップで参加者が作った「2017年の日本の色」を、大きなシートにして展示中。18種類の「日本の色」は必見です。

国立新美術館 写真

展示期間:4月5日(水)〜6月5日(月)10:00~18:00
*毎週金曜日および4月29日(土)~5月7日(日)は20:00まで。
*展示期間は変更になる場合があります。

展示場所:国立新美術館1階ロビー
観覧料:無料
主催:国立新美術館
協力:株式会社中川ケミカル
国立新美術館ホームページhttp://www.nact.jp/
問い合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

麻布図書館講座「江戸前の魚の物語」

東京海洋大学魚類学研究室教授の河野博先生を招いて、「江戸前の魚の今と昔、どのように暮らしているのか、どのようにまもればいいのか」等のお話を伺う。生物多様性講座の第7回目。

日時:5月20日(土) 14:00~15:30
場所:麻布図書館 5階視聴覚室
対象:中学生以上
定員:30名(事前申込制 5月1日(月) から麻布図書館カウンターか電話にて受付

港区立麻布図書館

港区立麻布図書館 写真

〒106-0032 港区六本木5-12-24
TEL : 03-3585-9225
開館時間
月~土曜日 9:00~20:00
日・祝日・12/28 9:00~17:00
休館日
毎月第三木曜日(祝日の場合は前日の水曜日に休館)ほか
http://www.lib.city.minato.tokyo.jp/j/azabu.cgi