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『新橋日和』作者 鈴木 芳江さん
新橋人生をほんわかと振り返って

 サラリーマンの街として有名な新橋に、結婚以来50年あまり住んでいる鈴木さん。昨春、暮らしの中で感じたことをつづった随筆と俳句の本『新橋日和』を出版されました。鈴木さんに、出版までのいきさつや新橋のことなど、お話を伺いました。

出版のいきさつ

 40年ほど前から随筆の会に所属し、折々の気持ちを随筆に書いてきた鈴木さん。「自分の文章力を試すつもりで」出版社のコンクールに応募しました。受賞こそ逃しましたが、作品が編集者の目にとまり、出版をすすめられたそうです。
 「自分の名前で本を出すなんて恥ずかしい」と最初は断ったそうですが、何度も強くすすめられるうちに、「子供や孫に残してあげられるものは何もない。いまどき、流行遅れの古い着物や、安物の装身具など、若い人でもらってくれる人はいないでしょう。でも、本にしておけば」という思いで、出版を決意したそうです。「よく『文は人なり』とか『随筆の味は人の味』と言われますが、この本で私なりの生き方や心の中が伝わればそれでいいのです。」と鈴木さんは言います。
 出来上がったときはご主人が一番喜んでくれたとのこと。もちろん孫たちも「うちの親戚で本を出したのは、おばあちゃんだけだね」と喜んでいるそうです。「随筆の会の仲間は出版記念パーティをやってくれたり、近所の人には『見たわよ』と声をかけられたりで、とても恥ずかしいんです」と照れながらも嬉しそうに話してくださいました。

変わっていく街を眺めて

 鈴木さんが嫁いできた頃の新橋は、木造二階家ばかりで子供も大勢いたそうです。「子供どうし、親どうしのふれあいもたくさんありましたが、今では子供も減って遠い小学校が一校だけ。その代わりマンションが増えて人の入れ替わりも多い」とのこと。
 古い建物がなくなり、次々と新しいビルに変わる新橋。そんな街の様子を鈴木さんは「でも、新しく建つビルにもいいところがあるんですよ。3月に完成する法曹ビルは、敷地の半分を10本ものクスノキの大木やマキの木、竹で緑の空間にし、街の人が自由に入れるようにしてくれているんです。このクスノキのイルミネーションの美しいこと。きっとこの街の名所になるでしょう。ベンチでも設置してくれたらねぇ。それにしても、今話題になっている問題の建築業者とは異なり、地域を思う暖かい気持ちがあってすばらしいですね。古い長屋のような街が消えて寂しい思いもあるけれど、そこに新しくていいものが生まれれば嬉しいし。街が変わっていく様子を眺めるのも好きです」と昔を懐かしむばかりではないようです。

 5年ほど前から、ご夫婦で「港区緑を愛し守る会」に入り、四季折々の草木を見に出かけているとか。「年をとると発見が少なくてつまらないわ」と話す鈴木さん。なかなかどうして。本の中もお話も、好奇心に満ちた少女のような輝きであふれていました。

鈴木 芳江さん 写真
『新橋日和』表紙画像
『新橋日和』新風舎
¥945(税込)
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