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愛Line

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21世紀の子どもたちが、強く生きて高く世界に羽ばたけるように

演出・振付家 並川恭子さん

演出・振付家

並川 恭子 さん

体育館の中に流れる名曲を聞きながら、先生の合図で楽しそうに踊る子どもたち。港区立小学校19校の小学4年生を対象に、この春から始まった芸術体験プログラム「港区&サントリーホール Enjoy! Musicプロジェクト」の授業の一コマです。今年のテーマは『音楽と身体表現』。7月2日にはサントリーホールで、授業で踊っていた曲を、フランス国立リヨン歌劇場管弦楽団の演奏によるコンサートで鑑賞。客席と舞台でコミュニケーションしながら体を動かし、リヨンから来日したプロダンサーの創作舞台も鑑賞して、年末には各小学校で、子どもたちが創作したダンスを発表します。

身体表現を指導する演出・振付家の並川恭子さんは、「通常は振り付けを覚えてから曲にあわせて踊りますが、私はそれを逆にして、音楽を聴いてそれぞれがイメージした動きを表現してもらいます。素晴らしい発想力で、“みんな違ってみんな良い”動きが生まれています」と語ります。音楽と踊りを組み合わせることで曲の歴史や背景、情景に対する理解もより深めることができるのだそうです。

このプロジェクトを企画したのは、サントリーホールの企画委員でもある国際的指揮者の大野和士さん。ただ名曲を聴くだけになりがちの音楽教育を深めてもらいたいと、海外の教育プログラムを参考に+αのテーマを設定。小学校と連携して広がりのある授業を横断的に行い、創作発表にまでつなげるというものです。サントリーホールにとっても初めての試みですが、子どもたちは大人が思っている以上に感 受性が豊か。海外での指導経験もある並川さんは「一回ごとに動きがよくなって、自分を開いていくのが顕著に見えるんです。日本人は恥ずかしがりで自己表現が苦手という先入観がありましたが、アメリカの子どもたちと比較しても差はありませんね。日本の教育は協調性を高めますが、それは海外でも大切で、そうした協調性の上に、自分の考えを表現できる積極性があることが大切です。グローバル化が進む 今、21世紀を担う子どもたちが、しっかり自己表現できるように。強く生きて、高く世界に羽ばたいて欲しい、そうした思いをこの授業に込めています」。

港区&サントリーホール Enjoy! Musicプロジェクト

港区&サントリーホール Enjoy! Musicプロジェクト

イキイキと動き回る子どもたち。今回はロボットダンス的な動きを指導されていましたが、子どもたちは自由な発想で動きを工夫。「学校やクラスによっても、毎回反応が違うのが新鮮です」と並川さん。