キスポート財団設立30周年記念インタビュー ♯2 ー 支える・つなぐ・ひらくー
更新日:2026/11/02
海底清掃から始まったお台場の環境活動
---このイベントが始まった経緯について教えてください
藤野さん(広報・事業推進課 東京ベイお台場クリーンアップ大作戦担当)
「東京ベイお台場クリーンアップ大作戦」(通称:ベイクリ)は、31年前NPO法人水中科学協会 代表理事の須賀次郎さん(現:ベイクリ実行委員会 名誉顧問)が設立に携わった(一社)全日本潜水連盟が、環境週間の一環として、東京ベイクリーンアップ大作戦」を始めたことがきっかけとなりました。お台場は普段潜ることができない海域なので、東京海上保安部が設立当初から関わり、潜水場所の選定や事務局の運営にも携わったそうです。翌年から事務局をキスポート財団に移管し現在まで続いています。
---最初は海底の清掃から始まったのですか?
藤野さん
そうです。その後「お台場を泳げる海に!ハダシで歩ける砂浜に!」をスローガンに清掃活動が砂浜にも広がりました。現在は年2回6月と11月に海浜清掃が実施され、海底清掃は年1回、6月の実施の際に行われています。
安心して参加できる環境づくりへの取り組み
---藤野さんが運営として大切にしていることは何ですか?
藤野さん
私たちの役割は「お台場を泳げる海に!ハダシで歩ける砂浜に!」というスローガンにこめられた、海を愛し、未来の子どもたちへ美しい環境をつなげたいという思いと行動を支えることだと思います。参加されるすべての方が安心して、気持ちよく活動に取り組めるよう、安全管理に最大限の配慮を尽くしています。
---具体的には安全管理にどのような配慮をしていますか
藤野さん
様々な配慮を行っていますが、重要なのは私たち運営側がリスクを事前に把握し、危険を回避することだと思います。その第一歩として、開催の可否の判断があります。天候状況を踏まえ、特に熱中症危険アラートが発令された場合には、安全を最優先に考え、前日の時点で開催を中止します。
開催中に体調を崩される方が出る可能性も考慮し、本部には経口補水液や救急用の簡易ベッドを備えています。
また地震や雷などの緊急事態に備えた対応も大事だと考えています。開会式では避難場所を案内していますが、参加者の皆様にも事前に避難場所をご確認いただいたうえで活動に取り組んでいただくようお願いしています。
有事の際には運営側が拡声器等で避難を呼びかけますが、同時に参加者一人ひとりの危機管理意識を高めていただくことも、私たち運営の大切な役割と考えています。
現在のところ幸いにも大きな事故や緊急事態は発生しておりませんが、今後も安心・安全な運営に努めていきたいと思います。
みんなでつくる、地域と海のつながり
---このイベントは、地域にどんなつながりを生んできたと思いますか?
藤野さん
参加者の皆さん一人ひとりに感想を伺ったわけではありませんが、お台場地区に暮らす方々やお台場を訪れる方々にとって、身近な海辺をみんなの手で美しくしていくことは、嬉しいことではないかと感じています。
2020年には、お台場海浜公園が東京オリンピックのトライアスロン・水泳競技、東京パラリンピックのトライアスロン競技の会場に選ばれました。
日頃から海辺の環境を守り育ててきた取り組みや、「自分たちの海をきれいにしたい」という思いの積み重ねが、世界的なスポーツの祭典であるオリンピック・パラリンピックの舞台として選ばれる一助につながったのではないかと思います。
---ベイクリにはどんな方々が参加されますか?
藤野さん
台場エリアに住まれている方はもちろんですが、企業がボランティア活動の一環として参加されていたり、この場所が好きな方々が団体として参加されていたり、本当に様々な方々が参加されています。
---一回の参加数はどのくらいですか?
藤野さん
2026年6月の実施では597名(海底海浜合計、関係者除く)が参加しました。
企業や団体の皆さまの中には、100人ほどで参加してくださるところもあります。自然の中で清掃活動を一緒に行う時間は、日常とは違ったコミュニケーションの場となり、心身のリフレッシュにもつながっているのではないかなと思います。
清掃活動を終えた後には、仲間同士、家族で食事を楽しんだり、買い物をしたりして、それぞれの時間を過ごされています。
---ボランティア活動をした後、すぐに食事や買い物ができる場所が近くにあるのは台場という場所ならではですね
藤野さん
東京には、こうして多くの人が集い、海を感じながら過ごせる砂浜はそう多くありません。ここは人々にとって大切な憩いの場であり、世代を超えて共有できる貴重な財産だと思っています。
「つなぐ」を力に、未来へ歩むベイクリ
---現在課題だと感じることはありますか?
藤野さん
ベイクリを続けることも大切ですが、ただ続けるだけではなく、参加してくださる方々が新しい仲間と出会い、新しい発見をし、「また来たい」「次も参加したい」と感じていただける場であり続けていかなくてはと思います。そのために、運営する私たち自身も常にチャレンジし、進化し続けなければならないと思っています。
---ベイクリで新たに始めたことはありますか
藤野さん
多くの方が写真を撮っておられているので、2024年から、海とレインボーブリッジを背景にベイクリの横断幕をいれて撮影できる“フォトスポット”を設けました。写真を振り返ってみた時に、思い出の一コマとしてしまっておいていただければという思いで設置しました。
また、参加される方にはマイボトル持参を呼びかけ、給水スポットも設置しました。清掃に使用するゴミ袋は植物由来のバイオマス成分の自然に優しいものに切り替えています。
---これからの10年、このイベントをどんな場に育てたいですか?
藤野さん
これからの10年は、単に活動を継続する10年ではなく、参加する人と人とのつながりを育むような取り組みができればと思います。
この活動を立ち上げた須賀次郎さんは、別のインタビューで「100回開催をめざしたい」と語られていました。100回という節目を迎えるためには、参加者一人ひとりが主役となり、「このお台場をどんな場所にしたいのか」「どんな取り組みがあればもっと良くなるのか」といった思いやアイデアを自由に発信できる場であることが大切ではないでしょうか。そして、その声を丁寧に受け止め、実現できるものは形にし、さらに新たな意見へとつなげていく。そんな「みんなで創り上げるイベント」へと成長していけたらいいですね。
---「支える・つなぐ・開く」の中で、今いちばん大切だと思う言葉は?
藤野さん
この活動において最も大切なのは「つなぐ」ということだと思います。
ベイクリは1人の発案者から東京海上保安部、キスポート財団とつながっていくことで現在の活動になりました。
100回開催という目標の先にあるのは、多くの人々の思いがつながり、未来へと受け継がれていく活動なのだと思います。
人と人がつながることでより大きな力を生み出せると考えています。だからこそ、地域から地域へ,人から人へ、親から子へ、そして次の世代へ、多くの人々の想いがつながり、未来へと受け継がれていく、そんな活動へつなげていくことが、私たち運営側の役割であると思っています。
東京ベイお台場
クリーンアップ大作戦
「お台場を泳げる海に!ハダシで歩ける砂浜に!」をスローガンに、地球環境の保全と泳げる海をめざして、お台場海浜公園で清掃活動をしています。キスポート財団は「東京ベイお台場クリーンアップ大作戦実行委員会事務局」としてこの取り組みを30年にわたり支えています。
住所: 〒135-0091 東京都港区台場1丁目4−4
最寄り駅:ゆりかもめ「お台場海浜公園」駅 徒歩3分「台場」駅 徒歩3分
りんかい線「東京テレポート」駅 徒歩10分
開催内容
(1) お台場海浜公園内の海底・海浜清掃、調査
(2) 「お台場をきれいにしよう!」周知・啓発活動
(3) お台場の魚たち“水生生物観察会”
開催月:毎年6月、11月の2回開催
6月はダイバーの方々に参加いただき「海底清掃」を実施しています。
🟧開催詳細
🔸海浜清掃
お台場海浜公園の砂浜を清掃する活動です。受付ではトングとゴミ袋を貸し出しているため、事前の準備がなくても気軽に参加できます。お子さまから大人まで幅広い世代が参加しており、地域活動や環境保全活動の一環として、企業や団体の皆さまにも多くご参加いただいています。身近な海辺の環境美化に貢献できるボランティア活動です。
🔸海底清掃
海底清掃ボランティアダイバーによる活動です。スクーバダイバーとスキンダイバーが海底に沈んだごみを回収し、水中環境の保全に取り組んでいます。陸上では運営サポートなどの支援体制も整えています。
🔸水生生物観察会
東京都島しょ農林水産総合センターの協力により実施している人気のプログラムです。お台場の海に生息する魚類や甲殻類などの水生生物を実際に捕獲し、観察を通じて海の環境や生態系について学ぶことができます。観察会では、センターの職員の方々が生きものの特徴や生態、お台場の海の現状について分かりやすく解説してくださるため、子どもから大人まで楽しみながら学べる機会となっています。
特殊救難隊救急員「うみまる君」
