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ふれあいコラム

今、話題の人物をクローズアップ!
吉川隆弘さん、西島数博さん、梶谷拓郎さん、井脇幸江さん

吉川隆弘さん〈ピアノ〉

西島数博さん〈バレエ〉

梶谷拓郎さん〈バレエ〉

井脇幸江さん〈バレエ・スペシャルゲスト〉

ピアノとバレエが織りなす新しい舞台をお見せします!

11月23日に開催されるピアノとバレエが共演し融合する舞台「ヴェニスに死す」の出演者4人に、公演のテーマや見どころ・聴きどころを伺いました。

ピアノとバレエの融合という舞台を作ることになったきっかけは?

吉川
僕がミラノ・スカラ座でピアノを弾き、バレエ団と共演したことがあり、コラボレーションとしてすごく面白い形だと感じていました。それを日本でもやりたいと思ったときに、西島さんと梶谷さんと知り合って、これまでに何度か共演もしています。先日は3人でミラノ公演もやりました。クラシックな音楽をもとに、コンテンポラリーの新しいダンスを生み出していくというのが、とても面白いと思います。

今作品で映画「ヴェニスに死す」をテーマに選んだのは?

西島
ヴィスコンティの「ヴェニスに死す」は劇中のクラシック音楽が印象的な、個人的にも大好きな映画です。今回は華となる女性ゲストを迎えたパフォーマンスをしたいと考えたときに、この作品がふさわしいのではないかと思いました。さらに、そこに出てくる女性のイメージにぴったりなのが井脇さんだと思い、お声をかけさせてもらいました。
井脇
過去に一度、西島さんの作品に参加させていただいたときに、すごく心地よくて素敵な時間を過ごすことができたので、私でよければとお引き受けしました。「ヴェニスに死す」で流れるマーラーの交響曲第5番第4楽章「アダージェット」の世界観が大好きなので、今からとても楽しみにしています。
梶谷
以前、僕はアダージェットで踊ったことがありますが、静かであるがゆえに表現が難しい曲です。でも本当に美しく、素晴らしい曲なので、この作品に携わることができてうれしいですね。

ピアノとバレエでどのように舞台を作り上げていくのでしょうか?

西島
最初のうちはそれぞれがもつイメージ等を自由に話し合いますが、音楽とダンスで言葉のない世界を作るわけですから、最後は舞台上でお互いの空気を感じながら、感覚的な部分で作り上げていくというのが僕のやり方です。初めに吉川さんが演奏したものを録音して、僕が振り付けを考えるのですが、実際に生で演奏をしてもらうと、その場でさらに想像しなかったプラスアルファが生まれることがあるんですよ。それがドラマチックでいいんです。吉川さんもダンサーの呼吸を感じて演奏してくれるし、僕たちも吉川さんのピアノに合わせて踊ることで生まれる空気が本当に心地よくて、本番が一番盛り上がるというのが、これまでの公演だったので、今回もそうなると思います。

梶谷
西島さんの作る舞台は、その過程でどんどんイメージが変化していくんです。西島さんの中でもそうだし、僕自身の中でも最初に振りをいただいてから初日を迎えるまで、どんどん変化していくので、それを楽しんで踊っています。

吉川
ライブですから、同じ曲を演奏しても1回1回少しずつ異なるわけです。その違いをお互いに感じて、楽しみながらやっています。ミラノ・スカラ座でバレエ団に演奏するときは、既に決められた曲を決められた通りに弾く高い演奏力が求められます。今回はあらかじめ決められていない曲を、一緒に作り上げていくといういつもとはまた別のやり方で、より自分がやりたい音楽に挑戦できるという楽しみがあります。

井脇さんはこのユニットに初参加となりますが、現在の心境は?

井脇
西島さんとは何度かご一緒していますが、梶谷さんとはまだ同じステージで踊ったことはありません。吉川さんもお名前は存じ上げていましたけれど、お会いしたのは今回が初めてです。今回ご一緒できると決まってから、演奏されたCDを聴いたりして、事前にイメージをふくらませていたんです。本番の舞台でどんな音楽を奏でられるのか、すごく楽しみにしています。
吉川
日本を代表するバレリーナの井脇さんとの共演はすごく光栄ですし、私も楽しみですね。
梶谷
僕もずっと憧れの存在だった井脇さんとの共演が決まってうれしいです。

今回の公演にかける思いや意気込みをお聞かせください。

梶谷
経験豊富なお三方とご一緒させていただけるというだけで、本当にうれしいし、ワクワクしています。ステージ上ではダンサーであると同時に、お客様を魅了する俳優でもあるという思いをもって、素晴らしいステージをお見せしたいです。
井脇
現在は主に自分が舞台をプロデュースする立場ですが、踊ることは今でも大好きですし、今回は自分のダンサーとしての感性を研ぎ澄ませて、初心にかえって3人との共演を楽しみたいと思います。「やっぱり3人でやっておけばよかったね」と言われないように(笑)、今までのバレエ人生で最高といえるような舞台にしたいですね。
吉川
「ヴェニスに死す」がテーマではありますが、同じ曲を同じように演奏するわけではありませんし、西島さんの作る新しい「ヴェニスに死す」をお見せできると思います。これまでに赤坂区民センターホールでリサイタルを開催していますが、今回はバレエとの共演という、新しい舞台作品で演奏します。これまでとはまた違った形で、クラシック音楽を楽しんでもらえたらうれしいです。
西島
私たちの今一番輝いている姿をお見せできるような舞台を作りたいと思っています。見終えたあとに「今回もフレッシュだったね!」と言われたいですし、3人にも新鮮な気持ちで演奏したり、踊ったりしてもらえるとうれしい。僕自身もこの作品と向き合うことで、新たなる自分の発見が楽しみです。新しい階段をのぼっていく4人に期待してください!

プロフィール

吉川隆弘さん、西島数博さん、梶谷拓郎さん、井脇幸江さん

吉川隆弘(よしかわたかひろ)(左上)
西島数博(にしじまかずひろ)(右上)
梶谷拓郎(かじやたくろう)(左下)
井脇幸江(いわきゆきえ)(右下)
ピアノとバレエによるパフォーマンスで、新しいステージを作り上げる今回の作品では、ミラノ・スカラ座のバレエ公演等で演奏した経歴をもつ吉川隆弘氏がピアノ、スターダンサーズ・バレエ団のプリンシパルとして活躍した西島数博氏が演出・振付を担当。東京バレエ団のプリンシパル経験をもつ井脇幸江氏、国際経験も豊富な梶谷拓郎氏と世界で活躍する豪華な面々の共演で、ヴィスコンティの映画「ヴェニスに死す」の壮大な世界観に挑む。