ここから本文です。

ふれあいコラム

今、話題の人物をクローズアップ!
ヴァイオリニスト 髙木凜々子

ヴァイオリニスト

髙木凜々子 さん

思いのこもったヴァイオリンの音色をお客様に感じてほしいです!

9月30日の「フレッシュ名曲コンサート第28回Kissポートクラシックコンサート」にご出演のヴァイオリニストの髙木凜々子さんは、今年、東京藝術大学を卒業されたばかりの若手演奏家。これまでの活動や今回の公演の聞きどころについてお伺いしました。

ヴァイオリンと出会ったきっかけを教えてください。

両親が交響楽団のヴァイオリン奏者で、私は、母のお腹にいた時からヴァイオリンの音色に親しんでいたようです。3歳になる頃には先生について練習を始め、ヴァイオリンの世界しか知らない子供でした。小学校にあがると、コンクールの小学生の部で最優秀賞を受賞するようになっていましたが、当時は厳しいレッスンが大嫌いで……。学校から帰宅すれば練習しなければならないことがわかっていたので、放課後はなるべく学校に残って校庭で遊んでいたのを覚えています(笑)。

本格的にヴァイオリン奏者を目指すようになったのはいつ頃でしょうか?

小学校4年生の時ですね。両親から、「ヴァイオリンの道と勉強の道、どちらで生きたい?」と聞かれ、「ヴァイオリン!」と即答しました。勉強が嫌いだったからという理由です(笑)。それまでは進学塾等のヴァイオリンとは無関係の習い事にも通っていましたが、以降はヴァイオリン一本に絞りました。土日には朝夜2時間ずつレッスンの時間があり、平日は学校へ行く前の5分間という短い時間にも練習するように言われるほど、先生の指導は厳しいものでした。毎日の練習は辛いと感じていましたが、結局は音楽が何よりも楽しいと思っていたのでしょうね。ハードなレッスンを乗り越えられたことがその証拠だと思います。

大学時代にはどのような思い出がありますか?

大学生活は、様々なジャンルの芸術家を目指す学生と交流することができ、刺激の多い毎日でした。個人的には、国際コンクールの思い出が強く残っています。大学1年生の時に初めて出場した国際コンクールで他の出場者に圧倒されました。それまではとにかく音程やリズムの正確さばかり意識していたのですが、国際コンクールで世界を見て、自分のイメージを音に表現することの大切さを痛感しました。作曲家の意図を理解したうえで、自分なりの表現をプラスする。それができなければ世界では通用しないし、真の音楽家にはなれないと感じ、感情や自分の出したい音を表現することも練習に取り入れるようになりました。その結果、大学3年生の時に出場したバルトーク国際ヴァイオリンコンクールで2位を受賞することができました。

音楽家としてやりがいを感じるのはどのような時ですか?

音に乗せた自分の思いがお客様にも届いたと感じる時ですね。演奏後は、すぐにロビーへ行き、聴きに来てくださったお客様と少しでもお話しできるように心がけています。ある時、カルメン幻想曲の演奏後に、お客様から「カルメンになりきっていたね」と言われました。カルメンは輝く美貌と大胆な行動で人々を翻弄する悪い女性の物語なんです。人を誘うような場面や気まぐれな性格を音で表現しようとカルメンになりきって弾いたら、その思いをわかってくださって。表情までカルメンになりきっていたと聞いた時は少し恥ずかしさもありましたけど、とても嬉しかったです(笑)。

今回のコンサートの聞きどころや今後の抱負を教えてください。

今回はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏します。私が好きなのは、第一楽章でヴァイオリンとフルートが対話する場面です。ヴァイオリンとフルートのメロディが重なる時、最高に幸せを感じます。また、緩徐(かんじょ)楽章と言われる第二楽章も聞きどころのひとつです。この楽曲に対する私なりの解釈を演奏で思う存分表現しようと思っています。
今後は、より多くの方に喜んでもらえるようなソリストを目指して国内だけでなく海外にも演奏の場を広げていきたいです。今年の12月にはハンガリーでベートーヴェンの協奏曲を演奏する予定で、いつの日か日本でもこの楽曲を披露したいと思っています。楽しみにしていてください!

プロフィール

ヴァイオリニスト 髙木凜々子さん

髙木凜々子(たかぎりりこ)
2019年3月、東京藝術大学音楽学部卒業。2017年、神奈川フィルハーモニー管弦楽団フレッシュコンサートに出演し、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を共演。同年、第1回シュロモミンツ国際ヴァイオリンコンクールシニア部門第3位、第1回バルトーク国際ヴァイオリンコンクール第2位等数々の受賞歴を持つ。国内外の演奏会に多数出場するほか、モデルとしても活躍中。