ここから本文です。

港区探訪

つなぐむすぶ 港区の橋

第2回 芝浦港南地区の橋

水路の街をつなぐ街。

河川や運河、幹線道路の多い港区では、数多くの橋が街と街をつないでいます。
そんな「橋」に注目してみると、意外な見どころがたくさん。
普段なにげなく渡っている橋にも、新たな発見があるかもしれません。

進化を続けるベイエリアの個性豊かな橋

東京湾に面する芝浦港南地区には、貨物船や客船が通る運河が東西南北に流れています。それだけに多くの橋が陸地と陸地を結んでおり、区が管理する橋は19ヶ所と港区で最も橋が多い地域です。

ウォーターフロントのベッドタウン・芝浦アイランドとして開発が進んでいるこのエリアは、架かる橋も比較的新しいものが多く、デザインに特色がみられます。個性豊かな橋を渡ってみましょう。

写真

地元商店会も「運河の街」として町おこしに取り組んでいます。

新芝橋(しんしばばし)

新芝橋(しんしばばし) 芝浦三丁目

1987(昭和62)年架替 長さ:15.2m 幅:18.0m

JR田町駅から芝浦方面に向かった先にある新芝橋。旧町名である新芝町に架けられたことが名前の由来です。戦災により焼失しましたが、地元住民の尽力により復旧。1987(昭和62)年、現在の形に架け替えられました。中央部には外側に向けて半月形のスペースが設けられ、橋の下を通る運河や往来する舟を眺めることもできます。運河沿いの遊歩道は、毎年秋に行われる「芝浦運河まつり」のメイン会場としてにぎわいます。

写真

写真左:ビジネス街でもある田町駅周辺の主要な道路となっています。
写真右:港の係留ボラードを模した親柱。脇から遊歩道へ降りられます。

渚橋(なぎさばし)

>渚橋(なぎさばし) 芝浦三丁目〜芝浦四丁目

北側/1998(平成10)年竣工 長さ:81.2m 幅:9.0m
南側/2001(平成13)年竣工 長さ:90.2m 幅:9.0m

新芝橋を渡りさらに海側へ進むと、二股に分かれた橋に出会います。田町駅から続く「なぎさ通り」にちなんで命名された渚橋は、北側と南側の2本で1つの橋という大変珍しい形の橋です。その理由は、東京湾側のたもとに立つ東京モノレールの橋脚を避けるため。車道は上下線で分かれており、ゆるやかなカーブを描く橋の両端で合流します。南側の橋は長さ90mと、区が管理する道路橋の中では最長です。

写真

写真左:橋の真上を東京モノレールが通過。迫力のある光景です。
写真右:親柱や欄干には、鮮やかな虹色の彩色が施されています。

浜路橋(はまじばし)

浜路橋(はまじばし) 港南一丁目〜港南三丁目

1994(平成6)年架替 長さ:75.0m 幅:14.3m

高浜運河に架かる浜路橋は、芝浦地区の埋め立て工事の開始と同時期に架設された歴史ある橋です。1994(平成6)年の改修工事の際、風を受けて進むヨットをイメージしたデザインが施されました。目印でもある2つのオブジェ部分はヨットのマスト製作会社の設計によるもので、高さや構造等、実物に近いスケールで作られています。両端には緑地が設けられ、夜間にはライトアップもされる等、近隣の景観に彩りを添えています。

写真

写真左:マストの根元には船の形をしたかわいらしいベンチが。
写真右:運河沿いの遊歩道はゆったりとして、お散歩にちょうどよさそうです。

芝浦港南エリアの運河

新浜橋(しんはまばし) 海岸一丁目~芝浦一丁目

芝浦港南地区には、大小の運河が網の目のように流れています。明治40年前後から始まった港湾地域の開発以来、地域の景観は大きく変化してきましたが、街のシンボルでもある運河は現在に至るまで、海運路として利用されています。

おしえて! ブリッジ博士

トラス橋(トラスきょう)

2月号で紹介した桁橋に比べ、より長く、頑丈に架けられるよう考えられたのが、トラス橋じゃ。その秘密は「三角形」にある。四角形は横から力を加えると平行四辺形に歪んでしまうが、三角形は安定しており、力を受けても変形しにくい。その特性を活かして、橋にかかる負荷を上手に分散させる構造がトラス構造なんじゃ。また、桁橋より少ない材料で作ることもできる。14世紀のヨーロッパで考案されて、現在でも世界中で採用されているぞ。

イラスト

出典:独立行政法人 土木研究所 構造物メンテナンス研究センター ホームページ
一般社団法人日本橋梁建設協会 ホームページ