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港区探訪

一度は訪ねたい 港区のアート&施設

第6回 東京大学医科学研究所

東京大学医科学研究所 ステンドグラス写真

見上げれば豊かな色彩が心を和ませる

白金にある東京大学医科学研究所。東京大学の附置研究所で、実験医療と先端医療に特化した附属病院が併設された、日本最大規模の生命科学の研究所です。アカデミックな場所に、どんなアートがあるのでしょうか。

車寄せの天井に輝くアート

正門を入り、正面に見えてくる1号館の、向かって右側にある附属病院エントランスへ進みます。車寄せの天井部分を見上げると美しいステンドグラスが。色とりどりのバラや文字のようなものも描かれています。

中央のステンドグラスには「大学」とあります。東京大学のマークがデザインされたもの。つまり、建物へ体を向け、見上げると正位置になるのですね。右側は、流れる水を手で受け止めています。流れる水は医学、手は医科学研究所と病院を例えていて、医学をしっかり受け止め、研究・教育し、その成果を社会に還元していることが表現されています。左側は、つないだ手。母親と子どもの手です。親から子へ生命が永遠につながる、母親の胎内で生命の息吹を育む様子が描かれています。

このステンドグラスは1978(昭和53)年に寄贈されたもの。腎移植の手術を受けた古谷一夫氏が、社会復帰できたお礼に何か記念になるものをと考え、当時、破損していた天井部分のガラスの代わりにと思いついたそうです。制作は山之内瑞穂氏。病院にふさわしいものをとイメージしました。

ステンドグラスは、太陽の光が差し込んだり、風で木々が揺れたりしても、色の具合や輝きが変化するのですね。季節や時間、天候によってもさまざまな表情を見せてくれます。

ステンドグラス写真

車寄せの天井に、ひそやかながらも存在感を放つステンドグラス。
着色されたガラスから透過された光も美しいですね。

建物写真
敷地内マンホール写真

敷地内にあるマンホールにも歴史を感じます。
使われている旧漢字、読めますか?

見学無料の近代医科学記念館

正門を入り、左手に見えてくるのが近代医科学記念館です。1892(明治25)年に、伝染病研究所(伝研)として設立された東京大学医科学研究所にまつわる歴史的資料が展示してあります。

外観は伝研時代の厩舎を模したレンガ風。なぜ馬を飼う小屋なのでしょうか。伝研には、破傷風、ジフテリア等の治療用血清製造のため、多くの馬が飼育されていたからなのです。300頭もの馬が飼育されていた時期もあったのだとか。血清製造の様子は展示で見ることができます。

ほかにも研究所の年表、初代所長である北里柴三郎の覚書、所属していた野口英世の直筆年賀状等、難病に対峙してきた軌跡が紹介されています。

トミーホールエントランス 写真

トミーホールエントランス。
景色も良く、開放的な気分でコンサートを鑑賞できそうです。

気軽に楽しめるコンサート、音楽のさんぽ道

10月31日(火)には、病院棟8階にあるトミーホールで「音楽のさんぽ道」が開催されます。今回は国立音楽大学の学生による、声楽とピアノの無料コンサートです。アットホームな雰囲気で、クラシック音楽を鑑賞できますので、ぜひお出かけください。

◎ 音楽のさんぽ道とは

どなたでも気軽に良質な音楽を鑑賞できる、Kissポート財団が主催するコンサートです。

近代医科学記念館

近代医科学記念館 外観/内観写真

❶ 近代医科学記念館外観。温かみのあるレンガの色とシャープな質感のガラスのコントラストが美しいですね。 ❷ 内観も厩舎を模し、天井が高く風通しを良くした構造になっています。 ❸ 血清製造のため、馬に注射や採血を行うときには、金属製の支柱に動かないよう固定していました。 ❹ カール・ツァイス社の顕微鏡は北里柴三郎も愛用していました。もしかしたら、展示してある顕微鏡も使われていたかもしれませんね。

東京大学医科学研究所 写真

東京大学医科学研究所

〒108-8639 港区白金台 4-6-1
TEL 03-3443-8111

近代医科学記念館

開館時間:10:00~13:00、14:00~17:00
休館日:日曜日、年末年始
その他臨時に休館することがありますのでお問い合せください。
入館料:無料
TEL 03-5449-5470