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港区探訪

港区のパブリックアート

第1回 六本木トンネルの壁画

六本木トンネルの壁画 写真

自由なテーマで個性あふれる5作品が六本木の街を彩る

パブリックアートの魅力は、公園等身近な場所で気軽に芸術作品に親しめること。六本木トンネルのストリートペインティングも、個性あふれる作品が並び、子どもから大人まで誰もが楽しめる空間です。

都ストリートペインティング事業
第1弾に選ばれた「六本木トンネル」

東京都が管理している道路や公園の壁をキャンパスに見立てて絵を描く「ストリートペインティング事業」の、第1弾として2004年に完成した六本木トンネルの壁画。若手芸術家に表現の場を提供しようと、東京都の公募展入賞者らから選ばれた若手アーティストが製作しました。

各壁画は、いずれも高さ約3メートル、幅約8メートル。東京郊外の複数の風景を一つの街角のように見せたものや、海辺で穴を掘りつづける人々を描いたもの等、それぞれが自由なテーマのもとに、前衛的で個性あふれる5作品が、数メートル間隔で六本木トンネル側道に並んでいます。

壁に描かれた開きかけたファスナーと、絵の横に添えられた「このジッパーをひっぱらないでください。」というコメントがユニークな北川純さんの作品「ジッパー」。実はコメントとは裏腹に、ジッパーの位置はあえてひっぱりやすい位置に配置されているんだとか。「ジッパーをひっぱらないでというのは逆説で、ひっぱって楽しんでもらえればうれしい」と北川さん。

六本木トンネル 写真/北川純さんの作品「ジッパー」写真(一部)

写真左)人通りも多く、インパクトがある場所として、ストリートペインティング事業の第1弾に選ばれました。
写真右)北川純さんの「ジッパー」。ジッパー部分をよく見てみると、作家自身の名前が。

猛暑の夏に約2ヵ月をかけて、足場を組まれた壁を前に、朝から夜まで、黙々と描き続けて完成したという5人のアーティストによる作品は、どの作品も熱い想いが溢れていて圧倒されます。

北川純さんの作品「ジッパー」

「自分の作品をみて、遊んでもらえればいい。ただシンプルに楽しんでもらえればそれでうれしい」と北川さん。

新国立美術館から徒歩数分。
アートな街に個性あふれる5作品が並ぶ

わざわざ美術館に足を運ぶことなく、街角や公共の空間等で偶然に出会うことができるパブッリックアート。楽しみ方は自由です。

「夕方の絵」という作品を描いた松本力さんは、3歳まで近くに住んでいたという、六本木に縁のあるアーティスト。「夕方」という、昼でもなく夜でもないよくわからない時間が好きだという松本さんが、夕方をイメージした赤やオレンジを使って表現。絵に描かれているオバケは、「過ぎ去りゆくもの」を表しており、彼らはアイスクリームを食べていたり、魚釣りに出かけていたり。それぞれにストーリーをもっていて、松本さんは「本を抱えたオバケはどこへ行くんだろうとか、それぞれがこの作品と対話してくれたらうれしい」と話していました。

松本力さんの作品「夕方の絵」

松本力さんの「夕方の絵」。「歩く人たちが、絵を見ていろんなことを感じてくれることで、他者とのつながりを感じます」と松本さん。

六本木トンネルは、新国立美術館から徒歩数分の場所にあります。個性あふれる5作品が、都会の殺風景で無機質な都市空間を、人間味あふれる場所へと彩りを添えています。少し足をのばして、この季節の爽やかな風を感じながら、巨大なアートを楽しんでみてはいかがでしょうか?

鮫島大輔さんの作品「東京八景」

鮫島大輔さんの「東京八景」。東京郊外の8ヵ所の風景が合わさって、一つの街角のように連結した作品。

楊雅淳さんの作品「砂漠中のハイビスカス」

「休息」をテーマにした楊雅淳さんの「砂漠中のハイビスカス」

桑久保徹さんの作品「ROPPONGI SEASIDE TUNNEL」

第3回絹谷幸二賞を受賞した桑久保徹さんの「ROPPONGI SEASIDE TUNNEL」

六本木トンネル 写真

六本木ヒルズからも程近く、新国立美術館からも徒歩数分の場所にあります。

六本木トンネル

港区六本木7丁目