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港区探訪

港区のパブリックアート

第12回 国立新美術館

国立新美術館 写真

正面入口の前に建つ円形屋根の建物は、傘を約1,000本収納できる傘立て専用スペース。傘で作品を傷つけないよう、こちらに預けて入館を。

建築もグルメも雑貨も!アートをまるごと楽しめる

国立の美術館としては約30年ぶりとなる2007年に新設された、六本木にある国立新美術館。展覧会はもちろん、アートイベントが開かれたり、建物の造形美を堪能できたりと、さまざまな形でアートに触れられる美術館です。

世界的な建築家、黒川紀章氏の生前
最後に完成した美術館建築

山や波等自然界の有機的な曲線をイメージしたというガラス張りの外観がユニークな国立新美術館。設計したのは、美術館や空港等数多く手がけたことでも知られる世界的な建築家、黒川紀章さんです。コンセプトは「森の中の美術館」。美術館は通常、作品を保護するために日光が入ることを避けるものですが、国立新美術館は作品への配慮をしたうえで、青山霊園や青山公園に隣接する緑豊かな環境を生かし、館内でもガラスカーテンウォールを通して自然光と緑をたっぷり感じられるつくり。床や壁材には木の素材を多くとりいれ、まさに「森」を感じられるぬくもりあふれた空間が広がっています。また、黒川建築の象徴とも言える円すい形の意匠が、国立新美術館でも印象的なモチーフとして使われています。来場者が過ごすオープンエリアが自然を感じるやわらかな空間である一方で、バックヤードは作品の搬入経路が展示室ごとに明確に区分けされている等、とても機能的な構造になっています。

国立新美術館 「サロン・ド・テ ロンド」写真

逆円すい形の上に設けられた2階のカフェ「サロン・ド・テ ロンド」。明るく開放的な空間でおいしいスイーツ&コーヒーを楽しめます

国立新美術館 「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」/コラボメニュー 写真

3階のレストラン「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」は正統派フランス料理を気軽に楽しめるブラッスリー。企画展とコラボしたメニューも(右写真は2018年「ピエール・ボナール展」より。4月24日より「ウィーン・モダン展」コラボメニューを展開)。

展示スペースの広さは日本最大級!
新しいアートを見つけに行こう

国立新美術館は、国立の美術館の中で唯一、コレクションをもたない新しいタイプの施設。アート関連資料の収集・公開や教育普及活動にも力を入れる等アートセンターとしての役割を担っています。設立の経緯として「美術団体が公募展で使える展示スペースがもっと必要」という声から生まれたこともあり、14,000m²・最大12室という広大な展示スペースを生かして、美術団体等に発表の場を提供し、年間約75団体の公募展が行われています。美術館が主催する企画展では、美術品のみならず建築、ファッション、マンガといった現代アートの幅広いジャンルに焦点を当て、国内外から人気を集めています。

国立新美術館 ミュージアムショップ/アートライブラリー 写真

写真左)若手デザイナーの作品から工芸品まで、さまざまなアイテムを購入できるミュージアムショップ。
写真右)近現代美術に関する資料を多数公開しているアートライブラリー。国内外の約500機関と協力し合って収集しているという展覧会カタログは、なんと蔵書10万冊以上!

館内にはカフェやレストラン、ミュージアムショップ、アートライブラリーを併設。さらに不定期でロビーでの無料コンサートやバックヤードを見学できる建築ツアー、子どもも参加できるワークショップ等多彩なイベントが開催されています。月3日程度、託児サービス(有料)を実施しているのも子連れには嬉しいポイント。金曜・土曜の18時以降は比較的空いていて、作品をゆっくり鑑賞できるそうですよ。お出かけが楽しくなる春、国立新美術館でアートと自然を感じてみてはいかがでしょうか。

(写真提供/国立新美術館)

国立新美術館 写真(写真提供/国立新美術館)

夜には館内の灯りがガラスを通してふんわりと漏れ、建物そのものが光のアートに。

乃木坂駅から国立新美術館への通路 写真

日本古来の照明である行灯(あんどん)をイメージした「光かべ」。壁一面がやさしく光ります。

国立新美術館 和菓子 写真

旧兵舎の一部を残した別館にもアートライブラリー閲覧室が。こちらにはより古く専門的な資料が所蔵されています。

東京タワー 60周年記念グッズ 写真

「新」という文字があしらわれた和菓子。ミュージアムショップにて。

独立行政法人国立美術館 国立新美術館

【住所】
港区六本木7-22-2
(千代田線「乃木坂」駅6番出口直結)

【開館時間】
企画展10:00~18:00(金・土・GWは~20:00)
※入場は閉館の30分前まで
※公募展の開催時間は美術団体によって異なる

【休館日】
火曜(休日の場合は翌日)※4月30日は開館

【TEL】
03-5777-8600(ハローダイヤル)

【ホームページ】
http://www.nact.jp

【4月の企画展】

●トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美

●ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道