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地域で活躍している人のほか、地域の活動を幅広くご紹介します。

清掃で海を守り、調査で海を知る
東京ベイお台場クリーンアップ大作戦

清掃で海を守り、調査で海を知る 東京ベイお台場 クリーンアップ大作戦

NPO法人日本水中科学協会代表理事

須賀次郎さん

(一社) 全日本潜水連盟理事

中村雅人さん

●「泳げる海」をめざし
30年以上海底清掃・観察を続ける

 「お台場を泳げる海に! ハダシで歩ける砂浜に!」を合言葉に、お台場海浜公園で実施されている東京ベイお台場クリーンアップ大作戦。海浜・海底の清掃と観察、啓発活動やお台場の水生生物観察会を中心に年3回(6月・9月・11月予定)開催。海浜のクリーンアップを中心に、6月期には今回紹介するボランティアダイバーによる海底清掃・観察が行われます。
 昨年30周年を迎えたこの活動は、現在はNPO法人日本水中科学協会代表理事の須賀次郎さんが設立に携わった(一社)全日本潜水連盟が中心となって始まりました。ダイビングの指導団体であるこの連盟は、長年培ってきた安全教育の知見を活かしながら、「水中を知る」ための生態系の調査にも力を入れています。31年前、環境週間の一環として、第1回は東京海上保安部に事務局を置き、翌年からはKissポート財団へ事務局を移管し、お台場の海での調査と清掃活動がスタートしたのです。「海の中のことは、記録に残さなければ伝わらない」との思いから、海底の様子や生き物の変化を撮影し続けてきた須賀さん。「清掃活動を始めた頃は、海底にポリバケツや自転車などの大きなごみがいっぱいありました。そして、かつては海水浴の邪魔者だったアマモ(海草の一種)が、いまでは環境再生のシンボルとしてたくさん植えられています。30年で海の中も人の意識も変わりましたね」と教えてくださいました。海底観察を長く続けてきたからこそわかることも多く、「今では、お台場の海底ごみは潮の流れや地形の影響を受けて特定の場所に集まりやすいことがわかってきました」と話します。このような観察をもとに清掃エリアを絞り込むことで、ごみを効率的に回収することが可能になったのです。

●継続には徹底した安全管理が不可欠
長年の活動はオリンピックにも貢献

 これらの活動を実務面で支えているのが、同連盟理事の中村雅人さん。安全管理や全体を統括するだけでなく、関係機関との協議や申請手続きなども担当しています。「お台場の海は透明度が低く、視界が限られる日も少なくありません。このような環境で活動を継続するには、ダイバーの安全確保がなにより大切です。海上保安庁などと協力し、工夫しながら今日まで続けてきました」と中村さん。また、「お台場は普段潜ることのできない特殊な海域です。実行委員会がボランティアの代表として潜水作業を申請し、許可を得て厳しい条件のもとで実施しています。視界が極端に悪いため、それらに対応できる経験者の選別や体調管理にも細心の配慮を行っています。最初の潜水場所の選定には、海上保安庁の特殊救難隊ダイバーとともに海に潜り、実施海域を選定しました。一時期は海上保安庁のダイバーの皆さまにも一緒に参加していただきました」と語ります。こうして長年にわたり試行錯誤を繰り返し、水面にブイを浮かべてダイバーの位置を把握する現在の方法にたどり着きました。
 そうした地道な取り組みは、大きな実績にもつながりました。東京2020オリンピック・パラリンピックのトライアスロンなどの競技会場を選定するにあたって、「泳げる海」を合言葉に掲げたこの活動が一つのきっかけ(お台場での開催を後押しする実績)となり、お台場海浜公園での開催に貢献したと聞いています。中村さんは「自分たちの活動が国際舞台の成功に少しでも貢献できて、関わったスタッフ・ボランティアにも大きな自信になりました」と振り返ります。

●100回開催をめざして
これからも皆さんとともに

 「30年続けてきたのだから、キリのよい100回まで続けてほしいですね」と須賀さんは微笑みます。現在91歳。自ら潜る機会は減りましたが、仲間が設置した小型カメラを通して、いまも観察を続けています。「お台場という限られた地点を定点観測することで、世界の海、中でも大都会の海の未来が見えてくるかもしれない」と須賀さん。これまでに撮影された映像の数々は、都市の海の変化を伝える貴重な資料となっています。
 須賀さんの言葉に続けて中村さんも「この活動は地域の財産」と断言。さらに、「参加者の皆さまやボランティアダイバーなどの関係者の方々のおかげで、ここまで続けてこられました。本当に感謝しています。これからも環境や条件の変化に柔軟に対応しながら、有志の皆さまと一緒に、安全第一で活動を続けていきたいと思います」と、改めて決意を語りました。
 将来、子どもたちがスノーケリングを楽しめるお台場の海をめざし、東京ベイお台場クリーンアップ大作戦はこれからも続いていきます。

須賀次郎(すがじろう)さん

須賀次郎(すがじろう)さん

東京ベイお台場クリーンアップ大作戦が実施されるお台場海浜公園を背景に。

プロフィール

1935年生まれの91歳。NPO法人日本水中科学協会代表理事。東京ベイお台場クリーンアップ大作戦副実行委員長。1972年に国内のダイビング組織を統合した「全日本潜水連盟」の設立に携わり、インストラクターとダイバーの指導にあたる。元全日本潜水連盟理事長。
1986年にテレビ朝日「ニュースステーション」で水中撮影を担当し、フルフェースマスクによる水中レポートシステムを開発。ダイビング界のレジェンドとして現在も幅広く活動。

中村雅人(なかむらまさと)さん

中村雅人(なかむらまさと)さん

お台場海浜公園近くの台場コミュニティーぷらざエントランスの前にて。

プロフィール

(一社)全日本潜水連盟理事。
東京ベイお台場クリーンアップ大作戦副実行委員長。NPO法人湘南マリンオーガニゼーション理事。NPO潜水医学情報ネットワーク(MINDER)理事。全日本スポーツダイビング室内選手権大会 実行委員副審判長など多くの団体等で活動。 お台場海水浴(現ODAIBA PLAGE)にも当初から関わり地域住民との交流も深い。

東京ベイお台場クリーンアップ大作戦 表彰歴
平成17年1月26日 地域づくり総務大臣賞
 総務大臣 麻生太郎
平成21年7月20日 お台場清掃美化活動
 国土交通省関東地方整備局長 菊川 滋