ふれあいコラム

クラシックとヴァイオリンの魅力を
たくさんのお客様に届けたい

９月５日の「フレッシュ名曲コンサート第30回Ｋｉｓｓポートクラシックコンサート」に、いま注目の若手ヴァイオリニスト、荒井里桜さんが出演します。留学先のお話やコンサートの聞きどころなどをうかがいました。

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スイスのローザンヌ高等音楽院に留学を決めた理由は？?

留学しようと思ったのは、長年憧れの存在だったヴァイオリニスト、ジャニーヌ・ヤンセンさんにヴァイオリンを習うためです。レッスンで、初めて目の前でヴァイオリンを弾いてくださったときは、本当に感動しました。
ヤンセンさんはスウェーデン在住のため、新型コロナウイルス対策やコンサートのスケジュールの兼ね合いもあって、オンラインレッスンのときも多いのですが、レッスンのたびにうれしくてドキドキしています。
通常はレッスン中に先生と少し雑談をすることもありますが、ヤンセンさんの場合それはまったくなく、２時間ヴァイオリンを弾き続けるので、すごくハードです。とても熱心に教えてくださり、本当に一音一音こだわりながら繊細に演奏されていることが、よく伝わってきます。

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スイスでの生活はいかがですか？

今年１月末にスイスに入ったばかりですが、少しずつ言葉にも慣れて友人もできてきたところです。最初は話しかけること自体に躊躇してなんでも自分で解決しようとしていましたが、それをしていたら前に進めないなと思って、少しずつ話しかけるように努力しました。今は聞きたいことも自分から聞けるようになり、精神的にもラクになりました。その変化は大きいなと感じています。
スイスでは町中や公共機関でも英語を話さない人が多く、今回帰国の際のPCR検査の予約も、ひと苦労でした。学校のレッスンのときや友人とは、言葉が十分ではなくても音楽を介して通じ合うことができます。そんなところでも音楽の力の大きさを感じています。

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演奏家として活動していく決意をしたエピソードを教えてください。

東京藝術大学２年のときに日本音楽コンクールバイオリン部門１位をいただき、翌年ツアーで地方をまわったことがありました。そのとき「これからは、この賞に恥じないような演奏をしていかなければならない」と感じました。
また、今年１月に初めてのCD『荒井里桜IN CONCERT』が発売となり、演奏家としてより広く活動していくきっかけになると感じています。自分の好きな曲目でCDを出せたことをとてもありがたく感じるとともに、より多くの方々に聞いていただけたらうれしいです。

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演奏する際に心がけていることは？

聞く方にその曲のすばらしさが伝わるよう、しっかりと納得のいくまで曲を解釈して演奏するようにしています。クラシック音楽の魅力に自分の感性を合わせて、説得力のある、自分にしかできない演奏ができるよう心がけています。
楽器は、1800年代にジョバンニ・フランチェスコ・プレッセンダ（イタリア）によって製作されたものを使っています。楽器は製作者が同じでも一つひとつ違ってきますが、私の使っているものはネックが太めで、音量がありすばらしい音色です。使う楽器の特性を生かした演奏ができればとも思っています。

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今回のコンサートの聞きどころは？

今回演奏するブラームスの「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」は、世界三大ヴァイオリン協奏曲の一つとして有名です。さまざまな顔をもつ協奏曲ですが、交響的な重厚な響きやソロ・ヴァイオリンだけを突出させないバランス感覚など、いずれもブラームスの個性が存分に表現された名曲だと感じます。フレーズの一つひとつを丁寧に、全体の流れも大切にしながら演奏したいと思っています。サントリーホールでの演奏は３回目です。昔から憧れのホールなので緊張感もありますが、とても楽しみです