ふれあいコラム

朗読、手話、演奏、字幕 ——
豊かな表現による宮澤賢治の世界を楽しんで

８月３０日（土）に「バリアフリー公演 手話と音楽と語りで綾（あや）なすライブセッション２０２５」が開催されます。この舞台で朗読劇を行う「ものがたりグループ☆ポランの会」の彩木香里さんに、公演の魅力や見どころをうかがいました。

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バリアフリー公演とはどのようなものですか？

障害の有無にかかわらず、誰でも一緒に楽しめる舞台のことです。「手話と音楽と語りで綾なすライブセッション」では音声と手話で朗読劇を創ったり、字幕を投影したり、音声ガイドを付けたりします。上演前には観客の皆さんに衣装に触れてもらうなど、作品の理解を深めるための説明会を実施することもあります。
「手話付きの公演」というと、舞台の端っこに手話通訳者が立っている姿を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか？演出は毎回異なりますが、ライブセッションでは、語り手と手話パフォーマーが２人１役を演じる演目もあるので、全員で方向性を話し合いながら舞台を創り上げていきます。

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バリアフリー公演を始めたきっかけは？

朗読劇を上演する「ものがたりグループ☆ポランの会」を結成したのは約20年前。当初はバリアフリーという発想は全くありませんでした。
２０１３年にテレビ番組の音声ガイドのナレーターをする機会をいただき、そこで初めて「観客の中には、目や耳が不自由な方もいるのだ」と気づいたのです。ならば、私たちの舞台もより多くの人に楽しんでもらえるようにしたい。そう考え、劇団員と一緒にバリアフリー音声ガイドについて学ぶ講座に通いました。それからは、音声ガイドや鑑賞サポート付き上演に取り組むほか、全盲のバイオリニスト・白井崇陽（しらいたかあき）さんや、ろう者の俳優と一緒に創作活動を行ってきました。

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苦労したことや、やりがいを感じた場面は？

これは大失敗談ですが……白井さんと初めて一緒に舞台を創作した時、私は「台本が読めないのでは……」と思って台本をお渡ししませんでした。後で白井さんから教えていただいたのですが、PDFでお渡しすれば読み上げアプリで台本は読めるということでした。障害に関しては本当に知らないことばかり。でも、こうして少しずつ世界が広がっていくことにやりがいを感じるんです。それこそが創作活動を続けるモチベーションです。
手話パフォーマーは舞台上で鈴を身に着けています。これは、視覚障害者から、「観客に手話パフォーマーの立ち位置や動きが音でわかるように鈴を付けたら？」と提案してくれたことがきっかけでした。稽古をしてみると、白井さんにとっても鈴の音が創作に役立つとわかりました。

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彩木さんにとって、ライブセッションの試みは新たな発見の連続なのですね。

まさにそうです。以前、私は手話で重要なのは「手の動き」だと思っていました。でも実は、それ以上に「表情」が大切だということを教えていただきました。表情で伝わる部分がものすごく大きい。
たとえば私がペアを組む手話パフォーマーと同じ台詞を表現したとき、えっ、そんな表情をしていたんだ！私はまだまだ芝居が足りていないのではないかと感じることも少なくありません。その表情の豊かなこと！手話パフォーマーとペアを組んだことのある役者は口をそろえて同じように言います。公演では手話パフォーマーの表情にもぜひ注目してみてください。

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８月の公演の楽しみどころを教えてください。

上演作品は『注文の多い料理店』と『よだかの星』。宮澤賢治が紡ぎ出す美しい言葉の数々をお届けします。手話パフォーマーが舞台のど真ん中に立ったり、バイオリニストの演奏があったりと、バラエティ豊かな舞台です。
舞台上には、手話や字幕もあるので、観客の皆さんは動きや表情を追うのに忙しいかもしれません。さまざまな表現で織りなす宮澤賢治の世界をどうぞお楽しみください！

チケット新発売！
バリアフリー公演 手話と音楽と語りで綾なすライブセッション２０２５」のチケットを発売します。詳しくは こちら をご覧ください。