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俳優
齊藤 美香さん
(さいとう みか)
3月28日(土)、赤坂区民センターにて劇団銅鑼(どら)によるバリアフリー公演『「真っ赤なお鼻」の放課後』が上演されます。
本作への思いや見どころ、そして劇団について、主演の齊藤美香さんにお話をうかがいました。
劇団銅鑼は、東京での本公演に加え、全国の学校や演劇鑑賞会でも公演を行っています。子どもたちが演劇に触れる機会を大切にしていて、小・中学校での公演では、一緒に作品を作り上げる「参加型公演」を開催することもあります。私も参加していますが、最初は緊張していたのに、本番になると、こちらが圧倒されるほどの度胸やアドリブを見せてくれることがあって、驚きと同時に「私もがんばろう!」と、いつも元気をもらっています。
また、図書館での朗読会といった地域に密着した活動や、バリアフリー観劇サポートサービスに力を入れている点も大きな特徴だと思います。
視覚や聴覚に障害のある方にも、安心して舞台を楽しんでいただくための取り組みで、今回の作品でも実施します。
視覚に障害がある方への音声ガイドは、日頃舞台に立っている劇団員が務めることが多く、私も2度担当しました。別室でライブ映像を見ながら、芝居に合わせて生の声を届けるもので、ガイドの台本も自分たちで書きます。「俳優ならではの視点」を盛り込むことで、単に情報を伝えるだけでなく、一つの表現として、また芝居の一部として楽しんでいただけるように工夫しています。
聴覚に障害のある方に向けては、字幕や舞台手話通訳も行っています。舞台手話通訳では、通訳の方にも稽古から参加していただき、一緒に舞台を作り上げています。
本作は、進路に悩む高校2年生の女の子が、夢ややりたいことが見つけられない中で、さまざまな人と出会い、家族や自分自身と向き合いながら進む道を見つけていく成長物語です。私は主人公の青砥雛子を演じます。
物語のテーマは二つあり、一つが「笑顔」です。病院で活動するクラウンが、身振り手振りで人を笑顔にしようとする真摯な姿を通して、笑顔が持つ力を感じられる内容になっています。もう一つが「ヤングケアラー」です。家族のケアで自分の夢を諦めざるを得ない方や、自分がヤングケアラーだと気づかずに孤独を抱えている方が、今の日本にはたくさんいらっしゃいます。本作が、そうした現状に目を向けるきっかけになればと願っています。
いかに等身大の高校生に近づけるかを意識し、若いからこその「理屈ではない感情の揺れ」や「肌で感じた瞬間のビビッドな心の動き」を大切にしています。日頃から、学校公演で出会った生徒さんの表情や、学校の雰囲気を全て吸収するようにしているので、本作でも、内側から自然に表現できるようがんばります。
この作品に限らず、役者として心がけているのは、一人で完結させないことです。しっかり役作りを行いながらも、その場の流れに楽しく乗っていく。同じセリフでも相手の受け取り方は毎回違いますから、新鮮さを忘れず、現場で感じたものを信じて演じるようにしています。
「真っ赤なお鼻」の放課後』は、2025年9〜11月に全国の学校で公演を行ってきました。そこで劇団員全員が常に考え、挑戦し続けてきた結果、芝居の密度がギュッと濃くなりました。3月の公演に向けて、さらに稽古を重ねることで、より良い舞台になると確信しています。
また、今回の公演も、音声ガイドや舞台手話通訳、字幕を取り入れたバリアフリー公演となっています。視覚に障害のある方を対象に、開演前に舞台上のセットに直接触れ、配置や大きさ、質感などを確認できる「事前舞台説明会」も開催されますので、より幅広く、いろいろな方々に楽しんでいただけると思います。
主人公のように「今を悩む」同世代の方たちに、作品を通して「自分の世界が広がれば、その悩みも、きっといつか小さくなるから大丈夫だよ」と伝えたいです。
そして、大人の方にも、ぜひ観てほしいですね。教える立場になったり、親として次の世代に受け渡す役割になったりと、立場が変われば、胸に響くセリフや心に残る場面も違ってくると思います。実際に親子で観劇された方から「夕食の時に感想を言い合ったら、感動したポイントが全く違った」という声もいただきました。そうした多面的な受け取り方ができる作品ですから、ご家族の皆さんと一緒に足を運んでいただけると、とてもうれしいです。
申込み受付中!
『バリアフリー公演
「真っ赤なお鼻」の放課後』のチケットが発売中です。詳しくはこちらをご覧ください。

齊藤 美香
俳優。劇団銅鑼所属。青森市出身。円演劇研究所を経て、2020年劇団銅鑼入団。主な出演作品は『わたしの紅皿』『泣くな研修医』『いのちの花』『「真っ赤なお鼻」の放課後』(以上、劇団銅鑼)など。外部出演として、劇団仲間『森は生きている』に2021年より参加。名探偵コナン検定1級の資格を持つほどのコナン好き。