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国立科学博物館附属自然教育園
下田 彰子さん
(しもだ あきこ)
遠藤 拓洋さん
(えんどう たくみ)
8月22日(土)、「親子で楽しむ!夏休み自然体験~生きもの観察ツアーとアロマ石けんづくり~」が開催されます。会場となる国立科学博物館附属自然教育園の広報・下田彰子さんと、講師を務める研究職員・遠藤拓洋さんに、自然教育園の魅力や生きもの観察ツアーの内容について伺いました。
遠藤:東京ドーム4.2個分の広さを誇る森林緑地で、その全てが天然記念物に指定されています。大きな特徴は、東京の中心部にこれほど巨大な森があるということ。そして、最低限の手入れで本来の自然の姿が保たれているということです。園内には落葉樹や常緑樹の森林、ススキやヨシが自生する草地のほか、都会で急速に失われつつある小川や池などの湿地もあります。
下田:絶滅の危機にあるといわれるキンラン、ギンラン、ハンノキをはじめ、植物1000種類以上、昆虫2000種類以上、鳥類100種類以上が確認されています。動物は、皆さんご存じのタヌキやモグラなどが暮らしていますよ。都心にあるため外来種が入ってきやすい環境でもあり、例えばハクビシンもいます。ただ、自然教育園では特定の種ではなく生態系そのものを保護しているので、外来種が入ってきてもすぐに駆除はしません。まずは生態系の一員としてなじんでいくかどうかを見守ります。
下田:私たちが目指しているのは原生林ではなく「里山のような自然」です。そのために草を刈ったり、木を間引いたりという作業を日常的に行っています。手入れをしなければ、うっそうとした森になってしまうんです。驚かれることが多いのですが、こうした維持管理はわずか3名の少数精鋭の体制で行っているんですよ。
遠藤:私も維持管理を担当している一人です。自然教育園は街と隣り合っていますから、街と自然のバランスを常に考慮して業務にあたっています。園内の自然を保つのも大事ですが、木が道路に倒れたり、枝が街のほうに伸びてしまったりということを防ぐのも重要な仕事です。森が成熟するほど木が太くなり、倒木のリスクも増すため、安全管理に気が抜けません。
遠藤:小さい頃から家族と自然あふれる場所に出かけることが多く、将来は自然に関わる仕事がしたいと思っていました。大学・大学院では特に強い興味を抱いた生態学を専攻し、微小な環境でどのように昆虫群集の分布が異なるのかを研究していました。自然教育園では研究職員として、園内の動植物の研究や記録に携わる一方で、先ほど話したように維持管理業務にも大きく関わっています。維持管理というと同じ作業のくり返しをイメージされがちですが、実際にはそうではありません。突発的な倒木や落枝、荒天への安全管理の対応をする一方で、倒木により明るくなった場所で思いもよらない貴重な野草が生えてきたり……。良くも悪くも人の思い通りにならない自然の中では日々新たな発見や悩みがあります。
下田:映画『ジュラシック・パーク』をきっかけに分子生物学を志し、大学ではDNAなどミクロな動植物の世界を専門的に学んでいました。しかし、ある野外実習で転機が訪れます。
生きもの同士のつながりや、植物が人に与える影響など、大きな視点で自然を見る楽しさに衝撃を受け、「もっとこの分野を勉強したい」と大学院への進学を決めました。環境コンサルタントを経て、現在は自然教育園に勤務しています。緑の中で来園された方々がふっとリラックスした表情になるのを見るたび、植物の持つ「人を癒す力」を強く感じます。これからも、皆さんの憩いの場所を大切に守り続けていきたいです。
遠藤:園内を歩きながら、夏に動きが活発になる虫や魚などを探します。自分の目で生きものを見つける達成感をぜひ味わってほしいです。単に観察するだけではなく、花の蜜を吸うチョウ、葉や茎をエサにする虫など、生きものと植物との「つながり」にも目を向けてもらえるとうれしいですね。普段は見落としがちな虫もたくさんご紹介する予定なので、お楽しみに!
生きもの観察ツアーの後は、室内でアロマ石けんづくりが行われます。夏休みの自由研究や自由工作にぴったりではないでしょうか。
下田:生きものとの出会いは本当に偶然。突然タヌキが姿を現すこともあります(笑)。「どんな生きものに出会えるかわからない」というところも合わせて楽しんでいただけたら。今の時代、どんな生きものでも写真や映像で見ることができます。しかし、実際に森へでかけて、虫を探したり、見つけたり、触ってみたりという体験には、デジタルでは得られない感動があります。たくさんのお申込みをお待ちしています!

全域が天然記念物に指定された、約20ヘクタールの広大な保護林。原則として殺虫剤や肥料を使わずに植生管理されている。敷地の約15%は散策路が整備された見学エリアとして公開されており、入園料は一般320円、高校生以下および65歳以上は無料(要証明書)。定期的にガイド付き観察会や自然セミナー、企画展なども開催。

