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古代中国の青銅器を集めた展示室。殷代後期の青銅器が充実しています。
2匹の羊を合体させたようなフォルムの「双羊尊」は、丸みを帯びてどことなくユーモラス。
1941年の開館から80年以上という長い歴史をもつ私立美術館。明治から昭和にかけて実業家として活躍した初代・根津嘉一郎が蒐集した名品の数々を収蔵しています。
南青山にある根津美術館は、初代・根津嘉一郎(ねづかいちろう)が蒐集(しゅうしゅう)した日本や東洋の古美術品コレクションを保存・展示するためにつくられた美術館です。
「鉄道王」の異名をもつ根津は、東武鉄道をはじめ数多くの企業の経営再建で腕を振るった実業家です。若いころから古美術品に関心を寄せ、蒐集家としても名を馳せました。そして自らのコレクションを一般に広く公開することを熱望していたそうです。根津の没後、息子である二代目・根津嘉一郎がその遺志を継ぎ、根津美術館を設立しました。
根津美術館が建つのは、根津家の邸宅があった場所。初代・根津嘉一郎はこの地を大変気に入っていたようで、茶の湯の世界では自らを「青山(せいざん)」と号しました。
根津美術館の収蔵品数は、国宝7件、重要文化財89件を含む約7,600件。書跡、絵画、彫刻などジャンルは多岐に渡りますが、とりわけ茶道具と仏教美術が豊富にそろっています。また、4棟の茶室が点在する広大な日本庭園も有しており、都心にいながら静謐(せいひつ)な日本文化を感じられる場所として、訪日客にも大きな人気を誇ります。展覧会は年7回(特別展2~3回、企画展4~5回)開催されており、毎回テーマが異なるので、何度訪れても新しい発見があるでしょう。会員制の展覧会フリーパス「根津倶楽部」(年会費8,000円)もあります。
7月2日(日)までは、地蔵菩薩のりりしい姿を描いた仏画や仏像を展示する企画展「救いのみほとけ―お地蔵さまの美術―」を開催中。初夏の緑あふれる庭園と仏教美術を楽しみに出かけてみてはいかがでしょうか?
正門からエントランスへと続く、およそ50mの長いアプローチ。
本館に向かって歩く間に、喧騒を忘れ、しぜんと静かな気持ちになれます。
(左)3m近い大きさの如来立像。6世紀に中国でつくられたもので、これほど大きな作品が欠損が少ない姿で残っているのは貴重。(右上)季節の茶道具の取り合わせを楽しめる展示室。(右下)機械仕掛けの宝飾時計は、ヨーロッパ
の使節団から清朝皇帝 に贈られたもの。
17,000㎡におよぶ日本庭園も見どころ。初代・根津嘉一郎は率先して庭づくりに取り組みました。1945年の空襲で被害を受けましたが、二代目・嘉一郎が
「茶室の露地のように」と指示し再建しました。
現在展示中の作品。(左)重要文化財 「地蔵菩薩立像」〈日本・平安時代
久安3年(1147)根津美術館蔵〉。(右)初公開の「地蔵菩薩図」
〈日本・鎌倉時代 14世紀 根津美術館蔵〉。
(上)2009年に新設された本館は、日本を代表する建築家、隈
研吾による設計です。(左)ミュージアムショップには、所蔵品をモチーフにしたオリジナルグッズが充実。
住所:港区南青山6-5-1
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始、展示替期間
入場料:《オンライン日時指定予約》
《企画展》一般1,300円、学生(高校生以上)1,000円(当日券の場合はすべてプラス100円)※中学生以下無料
アクセス:
東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道」駅徒歩8分