ここから本文です。

港区探訪

港区‒自慢の宝ものを訪ねて

第27回東京海洋大学 マリンサイエンスミュージアム

カニクイアザラシのはく製

手前はカニクイアザラシのはく製。ガラスなどの仕切りがないため、細部までじっくり間近で観察できます(触れるのは禁止)。奥はペンギン2種のはく製。いずれも南極調査時に採集されたもの。

海の多様性を伝える貴重な資料が満載

今回の港区探訪は、クジラの骨格標本から船の模型まで、多彩な水産資料を展示する
大学博物館「マリンサイエンスミュージアム」をご紹介します。

南極生まれの海の生き物をじっくり観察

2003年に東京商船大学と東京水産大学を統合して設置された東京海洋大学は、国内唯一の海洋系大学。その品川キャンパスの一角にある大学博物館が「マリンサイエンスミュージアム」です。館内にはペンギンやアザラシ、エビ、貝など海の生き物のはく製や標本がずらり。また、東京海洋大学で使用されてきた歴代の練習船の模型や、漁業の道具、水産加工品なども展示されています。
とりわけインパクトが大きいのは、別館「鯨ギャラリー」に設置された2頭のクジラの全身骨格です。1頭は1961年にコディアック島南岸沖で捕獲されたセミクジラ、もう1頭は2005年に宮城県沖で混獲(意図せずに漁獲してしまうこと)されたコククジラです。クジラの遠い祖先は陸上を歩いていたといわれ、どちらの骨格にも足の名残である骨盤の痕跡が見えます。このほか、本館にもコククジラ、ドワーフミンククジラ、シャチの全身骨格が展示されています。
本館2階のアデリーペンギンとコウテイペンギンのはく製も見逃せません。これらは、練習船「海鷹丸(うみたかまる)Ⅱ世」が1956年に参加した日本初の南極観測で捕獲されたもの。国際条約により南極の生き物を捕獲することが禁止されている現在、大変貴重な資料といえます。
私たちの生活と関わりの深い海の姿を、多彩な展示物を通して教えてくれるマリンサイエンスミュージアムに、この夏、訪れてみてはいかがでしょうか?

館長の茂木正人さん 館長の茂木正人さんは、これまで13回の南極調査に参加した魚類学の研究者でもあります。「はく製や標本は、静止した実物を、間近で詳しく観察できるのがいいところ。海の生き物の姿をご自分の目でぜひ体感してください!」

南極調査で撮影された写真 南極調査で撮影された写真 9月末まで、今昔の南極調査で撮影された写真を多数展示する写真展『東京海洋大学「海鷹丸」が見た南極海』を開催中。写真展に合わせて、講演会や小学生向けのワークショップも行われます。詳細はホームページをご覧ください。

ホッキョクグマ、ガラパゴスアシカ、ジュゴンなど、海産ほ乳類について紹介するコーナー ホッキョクグマ、ガラパゴスアシカ、ジュゴンなど、海産ほ乳類について紹介するコーナー。祖先をたどると、アシカの仲間はイヌやネコに近く、ジュゴンの仲間はゾウに近いことがわかっているそうです。

東京海洋大学の歴代練習船を模型と写真 東京海洋大学の歴代練習船を模型と写真で紹介。練習船とは学生が航海技術を学ぶための船ですが、これらの船は調査研究船の機能も兼ね備え、実際の調査航海で活躍しました。

羽田沖で行われていた海苔の養殖で使われた道具の数々 羽田沖で行われていた海苔の養殖で使われた道具の数々。海苔採集に用いた一人乗りの小舟「ベカ船」。

がたげた 海苔棚を歩くとき、足を取られないように履いた「がたげた」。

雲鷹丸(うんようまる) ミュージアムからキャンパス内を5分ほど歩いたところに船体保存されている「雲鷹丸(うんようまる)」。1909年から約20年間就航した練習船です。歴史的価値が高いことから、1998年に国登録有形文化財、2019年にふね遺産に登録されました。

(左上)館内の様子。無脊椎動物、魚類、藻類などの展示。(右上)世界のアワビ類59種を展示。「こんなに大きな(小さな)アワビがあるの!?」という驚きがあるはず。(左下)体長50cm超のニシキエビのはく製。(右下)海鳥のコーナー (左上)館内の様子。無脊椎動物、魚類、藻類などの展示も。(右上)世界のアワビ類59種を展示。「こんなに大きな(小さな)アワビがあるの!?」という驚きがあるはず。(左下)体長50cm超のニシキエビのはく製。(右下)海鳥のコーナー。右下に写るアホウドリは練習船「海鷹丸Ⅱ世」の第1次南極航海中に捕獲された個体です。

東京海洋大学 マリンサイエンスミュージアム

住所:港区港南4-5-7 東京海洋大学 品川キャンパス内
閉館時間:【ミュージアム本館】平日10:00~16:00
【鯨ギャラリー(別館)】平日10:00~16:00、土10:00~15:00
休館日:【ミュージアム本館】土・日・祝
【鯨ギャラリー(別館)】日・祝 ※いずれも臨時休館あり
入館料:無料
アクセス:京浜急行線・JR「品川」駅徒歩15分、東京モノレール「天王洲アイル」駅徒歩20分
HPhttps://www.s.kaiyodai.ac.jp/msm/index.html

マップ