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森英恵がパリで発表したオートクチュールの数々。最高峰の素材と技術を使い、独自の表現を作り上げました。
〈「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」国立新美術館、2026年、展示風景〉
世界的建築家・黒川紀章により、周囲の自然ととけこむようにデザインされた国立新美術館。
常設展を持たない新しいかたちのアートセンターです。
国内最大級となる延べ14,000㎡の展示スペースを誇る国立新美術館は、12の展示室をはじめ、アートライブラリー、講堂、研修室など、芸術振興・普及のためのさまざまな設備を有しています。
ほかの国立美術館と大きく異なるのが、自前のコレクションを持たないという点です。そのため特定のジャンルに縛られることなく、ファッション、デザイン、建築、マンガ・アニメなど幅広い表現に目を向け、多彩な企画展を打ち出してきました。また、全国の美術団体等に発表の場を提供しており、年間を通して数多くの公募展が行われています。プロ・アマを問わず、さまざまな芸術表現に触れられる場所です。
見どころは展示だけにとどまりません。展覧会に合わせたトークイベント、アーティストによるワークショップ、建物の魅力に迫る建築ツアーなど、アートについて学び、考え、体験するプログラムも充実しています。さらに館内にはカフェやレストランが併設されており、ゆったりとイベントや鑑賞の余韻にひたることもできます。
現在は「生誕100年 森英恵
ヴァイタル・タイプ」を開催中(2026年7月6日(月)まで)。アジア人初のパリ・オートクチュール正会員となったファッションデザイナー、森英恵の作品・資料約400点を紹介しています。一点物のドレス、日本産の帯地や絹織物を用いた作品、映画スターが着用した衣装など、どれも目を奪われる華やかさ。創作に情熱を注ぐとともに、妻として、母として、そして働く女性として、新しい時代の女性像をも切り拓いた森英恵の軌跡を会場で体感してみてはいかがでしょうか。
ガラスが波打つカーテンウォールの外観が印象的で目を引きます。
天井高21.6mのアトリウム。美術館としては珍しく、たっぷりと自然光を取り入れるつくり。日差しをやわらげるため、ガラスに水玉模様のフィルムがあしらわれています。
(左)西陣織の帯地を用いた作品も。森英恵デザインのシンボルである蝶がモチーフ。
〈森英恵、イヴニングアンサンブル(ショートコート、ドレス)、1964年、ハナヱ・モリ 島根県立石見美術館蔵〉
(右)作品とともに、布地の原画もあわせて展示。目にする機会が少ない貴重な資料です。
〈「生誕100年 森英恵
ヴァイタル・タイプ」国立新美術館、2026年、展示風景〉
美術の専門書が揃うアートライブラリーでは、どなたでも無料で資料を閲覧できます。
(左)森英恵が自身のブランドの広報誌として創刊した『森英恵流行通信』。のちにファッション誌『流行通信』となり全国の書店に並びました。
〈アートディレクション:江島任『森英恵流行通信』10号、1966年9月3日、ファッションハウス
森英恵 島根県立石見美術館蔵〉
(右)1969年にアメリカで製作されたプロモーション映像。衣装を森英恵が手がけています。
〈「生誕100年 森英恵
ヴァイタル・タイプ」国立新美術館、2026年、展示風景〉
森英恵はアメリカで「綺麗な色を使うデザイナー」として存在感を示しました。
〈右
森英恵、イヴニングアンサンブル(ジャンプスーツ、カフタン「菊のパジャマドレス」)、1966年、ハナヱ・モリ 島根県立石見美術館蔵〉
国立新美術館 特定研究員の小野寺奈津さん。「世界に羽ばたいた森英恵さんの歩みをたどる、元気をもらえる展覧会です」と話します。
住所: 港区六本木7-22-2
開館時間:
10:00~18:00(企画展開催中の金曜・土曜は~20:00)※入場は閉館の30分前まで
※展覧会によって観覧時間が異なる場合あり
休館日: 火曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始
観覧料: 展覧会によって異なる
「生誕100年 森英恵
ヴァイタル・タイプ」:一般2,200円、大学生1,800円、高校生1,400円、中学生以下無料
※当日料金
アクセス:
東京メトロ千代田線「乃木坂」駅直結、日比谷線「六本木」駅徒歩約5分、都営地下鉄大江戸線「六本木」駅徒歩約4分
国立新美術館で開催されている「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ」では、かつて港区北青山にあり表参道のランドマークとして知られたハナヱ・モリビルについても紹介されています。1978年に建築家・丹下健三の設計によって誕生したハナヱ・モリビルは、オートクチュールサロンやブティック、カフェやレストラン、そして多目的ホールまで備えた総合ファッションビルでした。多目的ホールでは、各国のデザイナーを招いた国際合同ファッションショー、コンサート、上映会などが行われ、流行に敏感な人々の交流の場となりました。30年以上にわたりモードの発信地として愛されましたが、老朽化に伴い2012年に取り壊しとなり、現在は跡地に商業施設「オーク表参道」が建っています。
開業当時のハナヱ・モリビル。ハーフミラーガラスで覆われ、空から見ると蝶の形をしていました。
〈設計:丹下健三、撮影:村井
修 ハナヱ・モリビル 1978年/画像提供:村井久美(村井 修
写真アーカイヴス)〉