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港区探訪

港区‒自慢の宝ものを訪ねて

第48回 三康図書館(さんこうとしょかん)

資料の数が膨大なため、書庫見学では見学者の興味ある分野を中心に巡るそうです。写真は児童図書の書架。

資料の数が膨大なため、書庫見学では見学者の興味ある分野を中心に巡るそうです。写真は児童図書の書架。

明治から令和へ受け継がれる“知の宝庫”

増上寺の裏手にひっそりとたたずむ、知る人ぞ知る「三康図書館」。貴重な古典籍や、仏教の専門書など、蔵書数は26万冊を超えます。

解説付きの書庫見学で
眠れる貴重本に会いに行こう

 三康図書館は、増上寺と西武鉄道が共同で設立した(公財)三康文化研究所の附属図書館として、1964年に開館しました。(公財)三康文化研究所は仏教研究を目的とした機関です。そのため、三康図書館は仏教・宗教関係書の収集を続けており、宗教に関する専門図書館という特色があります。一方で、かつて千代田区にあった「大橋図書館」の蔵書を継承していることから、幅広いジャンルを網羅する総合図書館としての顔も持ち合わせています。旧大橋図書館は、明治時代を代表する出版社・博文館を創業した大橋佐平とその息子、新太郎により1902年に設立された私立図書館で、半世紀にわたり人々に愛されました。
 旧大橋図書館から受け継いだ資料は約18万冊。江戸時代の写本・巻物から、戦前の大衆雑誌・児童書まで多岐にわたります。驚くことに三康図書館ではこうした貴重な古典籍や書物を、どれでも手に取って読むことができるのです。蔵書は書庫に保管されており、利用者は読みたい資料を受付に伝え、閲覧室で閲覧するしくみ。希望すれば書庫見学も可能で、職員の解説付きで5つある書庫を見て回れます。書庫見学の所要時間は約30分ですが、貴重本の数々に夢中になり、1時間を超えて滞在する人も少なくないといいます。
 長らく研究者向けのイメージが強かった三康図書館ですが、近年は積極的に一般利用を呼びかけており、仕事や自習のために閲覧室を訪れる人も増えているそう。ロビーでは蔵書を活かした展示も行われています。都会の喧騒から離れた落ち着いた空間で読書を楽しんでみてはいかがでしょうか?

昭和初期に使われた小学校の教科書と、仏教に関する文献を手書きで書き写した江戸期の写本

資料の状態を良好に保つため、書庫に13台の除湿器を設置し、書架には結露防止用のボードを敷くなど、さまざまな工夫が。

書庫の除湿器と結露防止用ボード

(左)昭和初期に使われた小学校の教科書。
(右)仏教に関する文献を手書きで書き写した貴重な江戸期の写本も。

明治時代の児童書シリーズ「金港堂お伽話」

明治時代の児童書シリーズ「金港堂お伽話」の数々。

喜多川歌麿画『青樓十二時 續・午ノ刻』

江戸時代に描かれた錦絵や絵巻物も充実しています。写真は『青樓十二時 續・午ノ刻』喜多川歌麿画。書庫見学はまるで宝探しのような気分。

書架に並ぶ幅広い資料

日本の古典籍だけでなく、洋書、漢籍(中国人によって著述または編纂された漢文の図書)、現代の新刊、さらには皇室典範まで、ジャンルも年代も幅広い資料がずらりと並ぶさまは圧巻です。

Wi-Fi完備の閲覧室

Wi-Fi完備の閲覧室は35席。電源席もあります。資料を閲覧しなくても利用可能です。

目録カードと司書の小林はつきさん

(左)旧大橋図書館の目録カード。今でも古い資料を探す時に現役で使われているそう。(右)司書の小林はつきさん。「地域の方々に何度でも利用していただきたいです。展示鑑賞や書庫見学にぜひお越しください!」

三康図書館

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住所: 港区芝公園4-7-4 明照会館1階
開館時間: 9:30~17:00※入館は16:30まで
休館日: 土曜・日曜(第3日曜は開館)・祝日・第3日曜の前の金曜
料金: 席利用:1回100円※展示・書庫の見学は無料
アクセス: 都営大江戸線「赤羽橋」駅徒歩5分、都営三田線「芝公園」「御成門」駅徒歩10分、都営浅草線・大江戸線「大門」駅徒歩12分、東京メトロ日比谷線「神谷町」駅徒歩12分、JR「浜松町」駅徒歩15分
《書庫見学》予約不要。ただし大人数の場合は事前に連絡を

三康図書館 こぼれ話

思想が制限された時代の名残が今も

 三康図書館の書庫の一角に「憲秩紊本(けんちつびんぽん)(発禁本)」の特集コーナーがあります。発禁本とは、明治期半ばから終戦にかけて、国の検閲により発売・閲覧を禁じられたり、伏せ字にする処分を受けたりした書物のことです。
 三康図書館の前身である旧大橋図書館には当時、特高警察が何度も訪れ、発禁本を没収していったといいます。それでも職員は、カード目録を隠したり書庫への立ち入りを拒んだりして懸命に抵抗しました。こうして没収を免れた約1,200冊の発禁本が、今は三康図書館に保管されています。
 特集コーナーには、伏せ字で印刷された小説『蟹工船』や、処分を逃れるためにページが破かれた雑誌『文芸春秋』、「閲覧禁止」のラベルで分類されたカード目録などが並んでいます。思想統制の歴史をリアルに体感できる、他に類を見ない資料群です。

発禁本
発禁本
カード目録