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青山トライアスロン倶楽部代表
港区トライアスロン連合理事長
関口秀之 さん
●水泳とマラソンが苦手な大人がトライアスロンを始めた理由
未就学児から70代まで約200名が在籍する「青山トライアスロン倶楽部」の代表を務める関口秀之さん。クラブでは会員に向けて練習プログラムを用意しているほか、一般の初心者のためにトライアスロン教室を開催する等、トライアスロンの普及に努めています。
関口さんがトライアスロンと出会ったのは10年前のこと。「水泳とマラソンはとても苦手だった」にも関わらず未経験からトライアスロンを始め、クラブ設立にまで至ったのはなぜなのでしょうか。
「もともとスポーツが好きで、大学時代にはオーストラリアンフットボールという競技に熱中していました。大学チームの立ち上げに関わったこともあります。〝将来はスポーツに関わる仕事をしたい"と思っていました」と関口さんは言います。しかし当時はスポーツビジネスが今ほど盛んではなく、大学卒業後は広告会社に就職。やがて独立してマーケティングの会社を起業しました。「2008年のリーマン・ショックをきっかけに、もっとオリジナリティのある自社サービスを創り出していかなくてはいけないと考えるようになったんです」
そこで関口さんは自分の中に眠っていた「スポーツを仕事にしたい」という想いに立ち返り、スポーツビジネスの道を模索することに。スポーツを深く学ぶため早稲田大学大学院のスポーツ科学研究科に通い始めます。同時期に2016年オリンピックの招致の仕事を勝ち取りました。「残念ながら招致は叶いませんでしたが、その仕事に大きなやりがいを感じ、スポーツビジネスに関わっていきたいという気持ちが強くなりました」
関口さんがトライアスロンと出会ったのはそんな頃でした。
●トライアスロン大会の企画を持ち込むと…「クラブを作らないか?」
「自宅近くで開催されていたトライアスロン大会を見に行ったんです。そこで感じたのは〝参加者が少ないなぁ"ということ。後から知ったのですが、日本選手権だったんですよ。選ばれたアスリートだけが出場できる大会なので参加者が少なくて当然なのですが、それを知らずに〝東京マラソンのようにたくさんの人が参加できるトライアスロン大会があればおもしろそうだ"と考えました」
難しい種目のないトライアスロンなら「どんな人でも参加しやすく達成感が得られる」、「マラソンが好きな多くのランナーたちもトライアスロンに興味をもつはず」と、トライアスロンの未来に大きな可能性を感じた関口さんは、日本トライアスロン連合に大会の企画を持ち込みました。すると、連合の専務理事から「本気でやるならクラブを作ってみないか?」と逆に提案があったのです。
「トライアスロンに関わっていくなら、自分も競技に参加しようとは考えていました。どうせやるなら仲間がいたほうが長続きするだろう、だったら提案を受けてクラブを作ろう、と設立したのが『青山トライアスロン倶楽部』です」
クラブの拠点を青山に置いたのには理由がありました。「青山周辺は、国立競技場、神宮外苑、東京体育館等スポーツのメッカが近く、自転車店も充実していてスポーツの環境が整っています。それにトライアスロンは青山のようなオシャレな都市でカジュアルに楽しめるスポーツだと知ってほしかったのです」
●誰でも一度はトライアスロンをやってみてほしい!
こうしてトライアスロンクラブの代表として、そしてアスリートとして活動を始めた関口さんですが、最初は「クロールで25m泳ぐのが精いっぱい」というほど水泳が苦手だったそうです。しかし「小さい子どもや障がいのある方もトライアスロンを楽しんでいるのに、私が挑戦できない理由は見つからない」と練習を重ねた結果、「10年経った今は、レースで泳ぐだけでなくライフセーバーの資格も持っています。大人になってから上達したり克服したりできることがあるのだと、トライアスロンが教えてくれました」
トライアスロンを始めて以降、その魅力に深くはまっていった関口さん。「本当に誰でもできるスポーツですから、もっとみんなに気軽に楽しんでほしくて普及活動に励んでいます。トライアスロンは海や道を利用するため競技場を作る必要がなく、環境にやさしいところも大きな魅力ですね」
性別や年齢に関係なく楽しめるトライアスロン。みなさんも気軽にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
2010年、都市型トライアスロンコミュニティ「青山トライアスロン倶楽部」を設立。2011年、スポーツによる地域活性化に貢献する一般社団法人EARTH設立。公益社団法人日本トライアスロン連合事業企画委員会アドバイザーおよび港区トライアスロン連合理事長として、トライアスロンの普及・育成活動に従事している。