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浪曲師
東家 一太郎 さん
9月10日に開催される「浪曲で語る『桜田小学校物語』」。もしかすると浪曲を聞いたことのない人も多いかもしれません。今回は浪曲師の東家一太郎さんに、浪曲の魅力や楽しみ方をうかがいました。
「私は『浪曲は日本のミュージカル』と言っています。浪曲師と曲師(三味線を弾く人)が2人1組で行う芸で、節(ふし)と呼ばれる歌と語り、そして三味線の音色で物語を紡ぎます。義理人情を描いた感動できる作品が多いですよ」。
一太郎さんが浪曲を初めて聞いたのは社会人になってからでした。「はじめは観客の一人として浪曲を楽しんでいました。でも、舞台に立つ浪曲師は60代をゆうに超え70代、80代、90代の人ばかり。これは自分が浪曲師になって次世代にバトンを渡さなければ、浪曲は消滅してしまうと、勝手な使命感に火が付きました」。そして28歳の時、二代目東家浦太郎師匠に入門しました。以降、浪曲師として寄席やテレビで活躍。「浪曲を知らない人にも楽しんでもらいたい」と、毎月1~2本のペースで新作を発表しています。
ある日、一太郎さんのもとに「芝浦の伝統文化交流館をテーマに浪曲を作ってほしい」という依頼が舞い込みました。「“建物が主人公の浪曲”なんて史上初めて。創作意欲が湧きました」という一太郎さん。交流館や町会の方に話を聞きながら完成させた作品を披露したところ、会場は大盛り上がり!「交流館の歴史をその目で見てきた地元の方々の前で演じると、思ってもないところで笑いが起きたり、意外な反応があるんです。それを生かして2日目はアレンジを加えて演じました。浪曲って、そうやってお客様と一緒に作り上げるものなんです」。そう話す一太郎さんの横で、妻であり曲師の東家美(みつ)さんも「お客様の拍手、かけ声、感情の動き、それらが全て合わさって作品の世界観が広がります。浪曲はまさに観客参加型の芸能です」とうなずきます。
次なる作品のテーマは1991年に廃校となった桜田小学校。一太郎さんは公演への意気込みをこう語ります。「桜田小学校の卒業生の方はもちろん、そうでない方にも、小学校時代やふるさとを思い出していただける作品にしたいと思っています。老若男女楽しめる浪曲公演に、ぜひお越しください!」。
桜田小学校・幼稚園の校旗を背景に。
お二人で桜田小学校に関する資料を確認。
現代の日本人が忘れがちな義理人情の心を流麗な名文と巧みな声と節、話芸で伝える浪曲に魅了され、2007年7月、二代目東家浦太郎門下に入門。2008年3月初舞台を踏む。浅草木馬亭で毎月開催される浪曲定席など多くの公演に出演しているほか、NHKラジオ「浪曲十八番」、NHKテレビ「浪曲特選」などにも出演。古典だけに留まらず、『シートン動物記~オオカミ王ロボ』などの新作浪曲を精力的に発表し、浪曲の魅力を知らない世代にも親しまれる芸を目指している。一般社団法人日本浪曲協会理事。
113年の歴史を持つ桜田小学校から生涯学習センターへ!その歴史を浪曲師「東家一太郎」が語ります。
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