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ふれあいコラム

今、話題の人物をクローズアップ!
漆原 啓子さん(ヴァイオリニスト)・安宅 薫さん(ピアニスト)

ヴァイオリニスト

漆原 啓子 さん

ピアニスト

安宅 薫 さん

至高の演奏で共有するアンサンブルの楽しみ

国内屈指の実力を誇る3人の演奏家によるコンサート『ピアノ・トリオ 至宝の調べ』が、5月24日高輪区民センターで開催されます。演奏されるヴァイオリニストの漆原啓子さんと、ピアニストの安宅薫さんに、音楽を始めたきっかけやコンサートの聞きどころを伺いました。

音楽を始められたきっかけは?

漆原(以下、漆):これを言うと皆さん笑うんですけどね、私、小さい頃はとてもシャイで、人としゃべれなかったんですよ。それで幼稚園の園長先生がヴァイオリン教室を勧めてくださいました。楽しかったのも半年ぐらいで、練習がきらいで。それが小学校3年生の時、ドアに指を挟む大怪我をして「ヴァイオリンが弾けなくなるー」と大泣き。それから練習しないと「あの時泣いたのはなんだったの」と突っ込まれるようになって(笑)。小さい頃つまらなかったのは、基礎だったからですね。ヴァイオリンのパートは、ピアノや他の楽器と一緒になって初めて完成するので、アンサンブルをやるようになると、大好きになりました。

安宅(以下、安):両親はスポーツが好きですが、私は運動オンチ。今はこう見えても、小さい頃は体が弱かったものですから(笑)。走っても跳んでも、泳いでもダメで「だったらピアノでも」となりました。

音楽に本気で取り組まれたのは?

:小学校、中学校とトントン拍子にコンクールで入賞したので、自覚がないうちから周囲は私が音楽をやっていくと思っていて、自分もプロになるのかなと。高校在学中に国際コンクールで優勝して、大学1年から演奏活動を始めました。その国際コンクールは初めての海外(ポーランド)で、演奏前「弾きたくない」と言っていたら、舞台袖にいたポーランドの大柄なおばちゃんに「行きなさい!」とドンと背中を押され、舞台に出たのを今も覚えています。

:私はもともと弦楽器の音が好きで、ヴァイオリンやチェロと一緒に弾きたくて。友達も弦楽器の人ばかりでした。なにしろピアノって、孤独な楽器です。たった一人で練習して、たった一人で舞台に上る。それを快感と思えばソロ演奏も良いですが、初めて人と演奏した時、一緒に音楽を作る楽しみを共有できる感じがして、すごく楽しかったんです。それで、アンサンブルやシンフォニーのピアニストになりました。

今回の演奏会の聞きどころは?

:モーツァルトからはじまり、最後のスメタナは日本人も共感できるドラマティックな曲。クラシックになじみがなくても楽しめるでしょう。

:ハイドンの『ディヴェルティメント』は、チェロの辻本玲さんが演奏を提案した曲。もともとチェロの曲ではないのをチェロ用にアレンジした珍しいもので、私も楽しみです。

漆&安:どれも名曲で聞き応えがありますし、バラエティに富んだ構成で、どなたも楽しんでいただけると思います。ぜひ、いらしてください。

プロフィール

漆原 啓子(うるしはらけいこ)(写真左)
1981年東京藝術大学付属高校在学中、第8回ヴィニャフスキ国際コンクールで最年少18歳で優勝。弦楽四重奏団ハレー・ストリング・クァルテットや、国内外の演奏活動で高い評価を得ている。国立音楽大学客員教授。

安宅 薫(やすみかおる)(写真右)
桐朋学園大学卒業後、1987年キジアーナ音楽院夏期セミナーでディプロマ名誉賞受賞。ピアノデュオ“プリムローズ・マジック”でも活動。桐朋学園大学嘱託演奏員、同大学附属「子供のための音楽教室」別科講師。

はみだし情報

「港区にはサントリーホールで大変お世話になっています。」と漆原さん。周辺の散策をする時間がなかなか取れないのが悩みとか。安宅さんは本籍が港区で、有栖川宮記念公園には幼稚園の遠足等でよく行っていたそうです。