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ふれあいコラム

今、話題の人物をクローズアップ!
林家木久蔵さん(落語家)

落語家

林家 木久蔵 さん

避難訓練で緊張したら落語で笑ってリラックスしてください!

落語の高座を鑑賞中、建物が揺れるくらいの大爆笑!と思ったら、本当に地震で揺れていた…ということがないとも限りません。万が一に備えて避難訓練を、という主旨で、8月31日、麻布区民センターで「避難訓練寄席」が開催されます。出演される二代目・林家木久蔵さんに、防災に対する思いや港区の思い出を伺いました。

最近、公共の場で地震が起きたという想定で、防災訓練が行われることが増えています。港区でも、避難訓練コンサートをこれまで2回行っていますが、避難訓練寄席は今回が初めてです。そうした高座の経験はありますか?

以前、消防署で落語会をやったことがありますけど、寄席の途中で避難訓練というのは初めてですねぇ。寄席の会場で警報が鳴ることもありますが、たいていは誤作動。それで「落ち着いてください、大丈夫ですよ」と言うことはあります。うちの親父(林家木久扇)は、戦争体験の噺をしていてサイレンの声マネをしたら、迫真すぎてホールの担当者が駆けつけたってこともありました(笑)。
とはいえ、寄席は毎日やってますから、本当に噺の最中に、地震が起きることもあるでしょう。僕はまだないですが、その時はホールの人がちゃんと誘導してくれると思ってます。今回は、僕らも勉強になりますね。

地震は、平気なほうですか?

僕ね、十勝沖地震を体験しているんですよ、札幌で。あれはコワかったですねー。それで大きい地震独特の揺れを知っていたから、東日本大震災の時は、これは絶対大きいぞ、とすぐわかりました。

経験があると落ち着いて対応できますね。

一番大事なのは、パニックにならないことですよね。ウワーッとなっちゃうと何もできないから、ウソでも落ち着こう、と思います。噺家は舞台の上に立つ側だから、お客さんより落ち着いてないとダメですし。出演者がダッシュで逃げたら、お客さんは置いていかれた感ハンパないですもんね。

麻布区民センターや、港区の思い出はありますか?

区民寄席に出たことがありますし、従兄弟が住んでるマンションがすぐ近くなので、六本木にはよく遊びに行ってました。あ、六本木で遊ぶと言っても、めちゃくちゃ健全ですよ。30~40年ぐらい前の幼稚園時代だから(笑)。マクドナルドとかシェーキーズに連れて行ってもらって、六本木ってすごいなぁと思ってました。
高校時代には熱帯魚にハマって、高輪の高級な熱帯魚屋さんに通ってました。魚なのに一匹ずつ血統書がついてるんですよ。熱帯魚は大好きだったんですけど、去年、子どもの物を置く場所を作るため、しぶしぶ水槽を手放しました。子どもの可愛さに負けましたねー。まだ小学生ですが、父が元気なうちに、三代で高座に出られたらいいなと思います。

熱帯魚にハマられた経緯は?

小さい頃から生き物が大好きで、常になにかしら飼っていたんです。カブト虫、クワガタから、食べるために買ってきたドジョウ、家に贈られてきたサワガニや車海老まで。とりあえず生きていたら飼わずにはいられない性格で。それで最終的に好きになったのは、魚と亀。中でも当時夢中になったのが、熱帯魚のディスカスです。それで高輪のディスカス専門の熱帯魚店に通っていたんですよ。どうしても欲しくて、お年玉で一匹だけ買ったのですが、本来は群れて泳ぐ魚で、まとめて飼育しないといけなかった。それですぐ死んじゃったんですけどね。
もう終わってしまいましたが、10年近く、熱帯魚の雑誌『楽しい熱帯魚』で連載もやっていましたね。こんな具合に、去年まで熱帯魚にハマっていました。
港区には、品川との境界に「エプソン品川アクアスタジアム」がありますね。あそこの水族館はいいですよー、ちっちゃいですけど。あんなにオシャレに魚を見せる水族館は少ないですよ。都内でイルカショーが見られるアクアスタジアムなんて、ほかにはそうないですから。

生き物が本当にお好きなんですね。

亀も好きですし、フクロウも飼っています。鷹匠やりたいな、みたいな感覚で。
この間、そのフクロウがリアル・ハンティングしていて驚きましたよ。ベランダで飼っているんですけど、そこにスズメかネズミが紛れ込んじゃったんでしょうね。ベランダを開けたら、もう、スゴいことになっていて。そんなつもりで飼っていなかったから、なにこの空間は?って、路上に駐車していた車を持っていかれたのと同じぐらい驚きました。

ほかには、どんな趣味をお持ちですか?

ほかに今、ハマッているのは、苔とコーヒー。苔は先生についていろいろ教えていただいてるんですけど、その先生の研究所が芝公園と田町の間の赤羽橋あたりにあります。自分でも苔栽培していますが、ほかの方と会社を立ち上げて、鎌倉の円覚寺の苔庭を作ったり、秋葉原の「肉の万世」さんの店内に苔の装飾をさせていただいたりしているんですよ。苔って一般的な植物とちがって、空気中のものから栄養をとるので、ホコリやウイルスを吸着して新鮮な空気に変えるということで、壁面緑化なんかでも注目されてるんですって。面白いんですよ。
コーヒーも大好きで、お気に入りの店は元麻布の「グラン クリュ カフェ」。コーヒーハンターの川島さんという方がやっていて、そこに通ってコーヒーの勉強をしています。
港区絡みでもうひとつ、バブルの頃には、芝公園のゴルフ場に、うちの両親と一緒に通っていました。僕は野球をやりますが、親たちはスポーツをやらないので、家族でスポーツしたのは、あの時くらいかな。食事はよく一緒に行くんですけどね。

お父様と同じように、本当に幅広い趣味をお持ちですね。

ですから僕、噺家という職業と合うんだと思います。ひとつのことだけやるのじゃなくて、なんでも仕事に繋がるので。うちの親父のラーメン(木久蔵ラーメン)にしても、絵(落語家になる前、漫画家清水崑に入門し雑誌掲載経験があり、個展を開いたことも)にしても同じで、全部仕事になっているでしょう。だから、飽きないんですよ。今回の防災訓練も初めての経験ですが、タメにもなるし、今後の噺のネタになるかもしれませんね。

最後にメッセージをお願いします。

落語って、子どもからおじいちゃんまで三世代で楽しめる数少ないものですし、年に1回は避難訓練をやっておいたほうがいいですから。ぜひ、来てくださいね!

プロフィール

林家木久蔵さん

林家 木久蔵(はやしやきくぞう)
1975年、東京生まれ。1995年、父・林家木久蔵(現・林家木久扇)に入門。2000年、「笑点」(日本テレビ)若手大喜利に出演しMVP獲得。2007年、真打ち昇進。落語界史上初「ダブル親子襲名」を行い、二代目・林家木久蔵を襲名。古典落語を中心に、幅広い趣味を通じてさまざまな活動を行っている。