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ふれあいコラム

今、話題の人物をクローズアップ!
ハーピスト 山宮 るり子(やまみや るりこ)さん

ハーピスト

山宮 るり子 さん

日本でもさらなる飛躍を

9月13日に高輪区民センターで開催される「山宮るり子 ハープリサイタル~トリオで描くフランス紀行~」。ドイツでの留学を終え、これから日本で本格的に演奏活動を始められる山宮るり子さんのコンサートです。ハープとの出会いやコンサートの聴きどころ等を伺いました。

ハープを始められたきっかけは何ですか。

母がヴァイオリンを家で教えていて、音楽には小さいときから親しんでいました。母の高校の同級生にハープで東京藝術大学に進まれた方がいて、4歳の時にその方に習ってみようかなということになって。先生は東京にいらしたので、最初は月1回、母と新潟から東京へレッスンに通い、あとは家で練習していました。
小学生の頃は、学校から帰ってきて2時間くらいは練習していましたが、あまり外に遊びに行かない子どもで、家にいる方が好きだったので、ハープを弾いているのはそんなに苦痛ではなかったですね。

高校卒業後、ドイツに留学されたのですね。

中学3年生のとき、当時ウィーン・フィルのハーピストだったグザヴィエ・ドゥ・メストレ先生に教わる機会があり、それから先生が日本に来られるたびにレッスンを受けていました。そのメストレ先生に留学を勧められたことがきっかけです。メストレ先生はハンブルクでしか教えていないので、ドイツに留学することにしました。
日本の大学を卒業してからなら授業の免除もあるし、高校卒業後すぐに留学するのはすごく不安だったんですけど、メストレ先生に「大学を出てからでは遅すぎる。若いうちに来なきゃだめだ」と言われて…。

留学前からドイツ語も勉強されていたのですね?

ドイツの大学を受験する際の音楽理論の試験はドイツ語なので、高校のときからドイツ語は習っていました。それでも実際ドイツに行ってみると、書くのはできても話すのは難しかったですね。授業は全部ドイツ語ですし、理論や楽曲分析もひと通りやらなければならないので、どうやったら単位が取れるか、前からいた日本人の方にアドバイスをもらって、何とか取り終えることができました。

ドイツでの生活はどうでしたか?

ハンブルクに日本人相手の不動産屋さんがあって、住むところを日本で決めておくことができます。その不動産屋さんは、音楽大学の学生からの問い合せが多く、音出しOKの物件もあって、同じ学校の人がたくさん住んでいたので、そこに住むことにしました。それぞれの部屋にお風呂やキッチンはあるのですが、半分寮みたいになっていました。情報交換もできましたし、手伝ったり助けてもらったり、一緒に室内楽をやったりもしました。今でも交流があります。ドイツで知り合った人達と日本で会うのはとても楽しいですね。
食事は自炊で、自分で作らないと日本食が食べられなかったので、いろいろ練習していたら今では結構自分でできるようになりました。アジアンショップで日本の食材や調味料が買えるんです。料理をするのは好きですね。
ドイツ人は言うことは言うし、イメージどおりの強い感じです。でも、ヨーロッパの中ではちゃんと時間どおりで、役所等の事務仕事がしっかりしているあたりはすごく住みやすかったですね。他の国では、ビザがなかなかおりないとか、来た頃には有効期限が切れてるとか、ざらみたいなので。

留学中大変だったことは?

メストレ先生は公演で世界を飛び回っていて忙しく、他の楽器の人は毎週のようにレッスンがあるのに、私は月1回とか2回しかない。それなのに課題は多くて…。日本にいた頃は日本の先生にたくさんレッスンをしていただいていたので、その差に慣れることが大変でしたね。
メストレ先生ほど忙しく活躍しているハーピストを他に知らないので、すごいと思いますし、尊敬しています。そんな忙しい方ですが、とても親切で、いろいろなアドバイスもしてくれて、私が日本に帰ってからのこともすごく心配していました。

今回、日本に戻るきっかけになったのは?

いずれは日本に帰るつもりでしたし、ドイツに8年もいて、できれば20代のうちに帰ってきたかったので(笑)。今年の4月に全部の卒業試験が終わって、よい区切りだなと思って帰ることにしました。

今回のコンサートの演目はバラエティに富んでいて、楽しそうですね。

聴きやすい、親しみやすい曲から、フルートの小池郁江さんとチェロの森山涼介さんとのトリオやデュオの曲も混ぜたので、いろいろな色や雰囲気が味わえるとよいなと思います。
トリオの曲はどの楽器も弾き甲斐があり、ハープも難しいですが、かっこいい曲です。あまり聴いたことのない曲かもしれませんが、興味をもっていただければと思います。

今後はどのような演奏活動をしていきたいですか。

ソロのコンサートのチャンスをいただければと思います。ひとつひとつのコンサートを大切にしていって、次につなげていきたいですね。また、ずっとドイツにいて日本の音楽関係の方を知らないので、新しい方と演奏する場も増やしていけたらなと思います。

プロフィール

山宮 るり子(やまみや るりこ)さん

山宮 るり子(やまみやるりこ)
新潟市出身。4歳からアイリッシュハープ、8歳からグランドハープを始める。2007年渡独、ハンブルク国立音楽演劇大学卒業、同大学院修了。賞歴も多く、2009年第58回ミュンヘン国際音楽コンクール第2位、ならびに2011年リリー・ラスキーヌ国際ハープコンクール(パリ)にて満場一致の優勝は日本人初の快挙となった。