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バレリーナ
森下 洋子 さん
3月21日、赤坂区民センターにて、松山バレエ団によるロミオとジュリエット名場面集「プロコフィエフ・ジュエル」の公演が開催されます。
この公演でお話をいただく森下洋子さんに、公演への思い等について伺いました。
今回は、地元港区の皆様に、400席のスペシャルな空間でクラシックバレエの輝きを間近に感じていただければとの思いを込めて上演します。
ほんの少し、クラシックバレエの魅力や「ロミオとジュリエット」という作品の素晴らしさをお話しさせていただいてから、クラシックバレエのバーレッスンの稽古風景をモチーフにした小作品、そして「ロミオとジュリエット」の名場面集をお届けいたします。クッションダンスやバルコニーのシーン等、「ロミオとジュリエット」らしい愛に満ちた美しい場面が次々とくり広げられます。
松山バレエ団は、1948年に創立し、ここ港区で「芸術は人々の幸せのためにある」という理念をもって活動を続けてまいりました。特に2011年の東日本大震災以来、鎮魂と復興に思いを寄せて、平和、そして命をいつくしむ時代への祈りを込めて作品づくりを行っております。
「ロミオとジュリエット」は若い二人の純粋な愛が輝く作品。世界中でいさかいや争いが今なお絶えない時代に、多くの人が手を取り合い、平和で豊かな時代への力になればと願って、今回この作品を上演することに決めました。皆様の心にみずみずしい愛の輝きをお届けできればと願っております。
港区は私達の活動の原点であり、皆様にお喜びいただける楽しい場を創りたいと以前より思っておりましたところ、縁あって、今回の公演開催に至りました。昨年赤坂区民センターではバレエの体験講座も行わせていただき、こうして港区の皆様と実り多いひと時を分かち合う機会が増えておりますこと、松山バレエ団一同大変光栄に、嬉しく思っております。
3歳でバレエに出会い、今年舞踊歴65年目を迎えておりますが、一度もやめたいと思ったことはありません。ただこの素晴らしいクラシックバレエを続けたい、その思いで今日まで歩んでまいりました。
子供のころからとても不器用でしたが、何度も練習すれば必ずできるようになる、ということが身体にずしんと入っておりますので、長いスパンで考えて、前向きにやっていく。あきらめないんです。
21歳の時、後にパートナーとなる松山バレエ団総代表の清水哲太郎とはじめて踊った時に、「何のために踊るの?」と問われました。「好きだから…」と思いながらもそれだけではないと感じ、この問いが心に残りました。翌年、松山バレエ団創立者の松山樹子が踊る「白毛女」を見た時、その圧倒的な存在感に鳥肌が立つほどの感動を覚えました。「白毛女」は中国との国交回復前の時代、松山バレエ団創立者の清水正夫と松山樹子が平和を祈って命がけで創った作品、その強い思いに清水の問いへの答えに通じるものを感じ、松山バレエ団に入団させていただきました。清水のこの問いは転機となった出来事です。
どの舞台すべて大切ですが、一昨年石巻の体育館で行った公演は印象に残りました。 寒い中で、被災されたお年寄りが3時間近くも開場を待っていてくださった。真剣に公演を見てくださるその思いにこちらも大きな励ましをいただきました。
今回、港区特別共催という形で、港区の皆様とともにクラシックバレエの輝きを分かち合うことができますこと、とても嬉しく思っております。バレエに身近に親しんで、春のひと時、お楽しみいただければと思います。
森下 洋子(もりしたようこ)
1948年、広島市生まれ。
3歳よりバレエを始める。71年、松山バレエ団に入団。82年、日本人として初めてパリ・オペラ座に出演、同年毎日芸術賞受賞。87年よりローザンヌ・バレエ・コンクール等の国際コンクールでも審査員を務める。松山バレエ団のプリマバレリーナであり団長。