ここから本文です。

ふれあいコラム

今、話題の人物をクローズアップ!
朝月真次郎さん

戸板女子短期大学服飾芸術科教授

ファッションデザイナー

朝月 真次郎 さん

右脳と左脳を連動させ感性と倫理観の両方を磨くことが大切

ファッションデザイナーとしてその名を馳せる朝月真次郎さん。Kissポート財団設立20周年記念キャラクター「みなペン」の選考委員長を務める等、財団とは深い関わりがあります。「みなペン」選考の感想やファッションについて、お話を伺いました。

財団のキャラクター「みなペン」選考に携わっていただきました。

私は住まいも会社もある港区にとても愛着を持っています。華やかでありながら、海があり、緑も多い等港区は特別。そのイメージが表現されているのが「みなペン」です。見れば見るほど愛らしくなってきませんか。
ただ、かわいいだけではダメで、今後、どう展開させていくかが大切です。文化も芸術も、すべてある港区のキスポート財団のキャラクターですから、価値のある「みなペン」にすることで、区民のニーズと一致すると考えています。大きくキャラクターを描くのではなく、地柄に使用する等奥ゆかしい感じから始めるという手法も考えられます。
区民の方が一生懸命考えて作ったキャラクターであることがうれしいですし、今後どう変化していくか、とても楽しみです。

デザイナーを志したきっかけを教えてください。

デザイナーになりたいと思っていたわけではないのです。アパレルメーカーに就職した当時は営業担当でした。30歳でマーチャンダイザーという、商品開発や予算管理をする職務につき、ヨーロッパのデザインにふれ、勉強させていただいたおかげで、デザイナーにデザイン提案ができるようになったのです。42歳のときにチーフデザイナーを任されました。専門知識がないので苦労もありましたが、工夫するのが楽しかったですね。その後、独立し、現在はミュージカル「アニー」等の舞台衣装デザインにも携わっています。

戸板女子短期大学では学生たちに、どんなことを伝えたいとお思いでしょうか。

今、自分が作りたいものだけを作っていればいいという時代ではありません。こんな洋服は他にないというくらいのものであれば問題はないのですが、どこにでも売っている生地で、どこにでもあるような形を作っても誰も買いません。時代感のないことはやらないで、もっとグローバルに考えてくださいというところからスタートします。
マネージメントを考えながら感性も磨くことが必要なのです。相反する分野の話なので、簡単ではありませんが、どちらも深めてほしいと思っています。つまりイリュージョンとソリューション。右脳と左脳、感性と倫理観の両方を使います。洋服が売れないのは、幻想を仕掛けるイリュージョンばかりをやりたがり、問題を解決するソリューションを全く考えないからです。仕掛けと問題解決を同時に行うことが大切なのです。

手がけられた舞台衣装についてお聞かせください。

一番印象に残っているのが「アニー」というミュージカルです。主人公のアニーが来ている赤いワンピースをご存知でしょうか。私が考案したビロードの生地を使用しています。赤と黄緑の糸を縦と横に織ってあるので、深みのある光沢が生まれました。
20年前、私が所属している東京ファッションデザイナー協議会からの依頼で、生地の産地を訪れたことがあったのです。ポリエステルやレーヨンの産地である福井県、ウールの産地である岐阜県や愛知県等へ行きました。アイデアを出し、新しいタイプの生地を作ったのです。その経験から、補色の関係にある赤と緑を組み合わせることを思いつきました。織り方もふんわりとさせて、表情のある衣装になりました。

今後の活動予定等教えてください。

以前よりアイデアを温めているのが、区立の施設内にあるカフェの内装を、学生と共に改装するということ。誰もが入りやすい、地域に溶け込むカフェになったらすばらしいと思うのです。ぜひ港区、財団と協働して実現させたいですね。
6月18日(日)には、戸板女子短期大学で「美女と野獣」を基にしたファッションショーを行います。学生と私が作り上げた衣装に、2・5次元ミュージカルのメイクアップアーティストが彩を添えてくれます。ぜひお越しください。

ファッションショーについての問合せ先:戸板女子短期大学 TEL.03-3452-4161(代)

プロフィール

朝月真次郎さん

朝月 真次郎(あさつきしんじろう)
1950年生まれ。アパレルメーカー勤務後、独立し株式会社アサツキデザインエンターテインメントを設立。演劇、音楽、CM等、幅広い分野で活躍。2010年、戸板女子短期大学服飾芸術科教授に就任。グローバルな視点でのライフスタイルデザインを研究中。東京ファッションデザイナー協議会正会員。