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ふれあいコラム

今、話題の人物をクローズアップ!
ピアニスト 開原由紀乃さん

ピアニスト

開原 由紀乃 さん

壮大なプログラムの一音一音を楽しんでください

1月23日にサントリーホールで開催される「フレッシュ名曲コンサート 第26回Kissポートクラシックコンサート」。新進気鋭のピアニスト、開原由紀乃さんにコンサートへの思いを伺いました。

ピアニストを志したきっかけを教えてください。

母の影響で3歳からピアノを始めました。仕事として音楽に触れていたいと意識したのは、それまで住んでいた広島から、東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校に進学してからですね。周囲の勧めがあって受験したのですが、私としては合格したいというよりは"記念受験"のような気持ちでしたので、入学後、大変なところへ来てしまったと慄然としました。
一人暮らしが始まり、周囲の音楽に対する取組みに刺激を受け、演奏家として進むならば生半可な気持ちではダメだと気が付いたのです。
伊藤恵先生との出会いで自分の方向性も見い出せました。先生のように音楽を大切にした演奏、曲が持つ素晴らしさが表現できる演奏家になりたいと思っています。

音楽を大切にした演奏に必要なことは何だとお考えでしょうか。

周囲と比較しないということです。競い合うということは悪いことではないのですが、あの人が1番、この人が2番ということばかり意識していると、自分の音楽性を見失ってしまいます。コンクールに取り組むプロセスが大事ですし、目標を持って演奏することも必要だとは思いますが、振り回されないことを心がけています。

現在はドイツのベルリンに留学中でいらっしゃいます。

上質の音楽を聴き、吸収したい。さまざまなコンクールにもチャレンジしたいと留学を決めました。音楽家としての人脈づくりにもプラスになると思っています。ビョルン・レーマン先生に学んでいます。私が感じる音楽を受け入れた上で、新しい引き出しを開けたり、掘り下げたりしてくれる先生です。私の理想の演奏を親身になって導き出してくれるので、1月のコンサートでは、さらに進化した私の演奏をお聴きいただけると思っています。

指揮の大友直人さんとは2度目の共演です。

大友先生には、オーケストラとソリストの音楽を一つにまとめてくださる包容力を感じます。演奏中は時には笑顔で、時には曲想に合わせた雰囲気でアイコンタクト。所作も美しく、惚れ惚れします。
演奏するのはラヴェルのピアノ協奏曲ト長調。東京音楽コンクールの本選で弾いた思い出深い曲です。当時はオーケストラのいろいろな楽器の音色や弦の響きに鳥肌が立つほど感動しました。今回は、大友先生と東京交響楽団の皆さんと、どんな演奏になるのかワクワクしています。

楽しいコンサートになりそうですね。

今回の会場はサントリーホールです。音楽家にとって一生に一度は演奏したい会場なので、お話をいただいた時は恐れ多いと思ってしまいました。自分が観客として訪れたときにも、音の響きや空間に特別感を感じていますので、演奏できるのはとても光栄です。
今回の演目はラヴェルのピアノ協奏曲ト長調とオペラ万葉集。どちらも壮大なプログラムです。大ホールは、音楽が万華鏡のように様々な色を放つように感じられる会場なので、一音一音をシャワーのように浴びて楽しんでいただきたいですね。

プロフィール

ピアニスト 開原由紀乃(かいはらゆきの)さん

開原 由紀乃(かいはらゆきの)
1992年広島県生まれ。これまでに、ピアノを高橋紀子、小嶋素子、白石光隆、室内楽を加藤洋之の各氏に師事。現在、伊藤恵、ビョルン・レーマンの両氏に師事。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京藝術大学を卒業。東京藝術大学大学院修士課程在籍中。平成19年広島国際文化財団、平成26年、27年度宗次エンジェル基金/公益社団法人日本演奏連盟、平成29年度ヤマハ音楽奨学支援奨学生。