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ふれあいコラム

今、話題の人物をクローズアップ!
ポップバイオリニスト 式町水晶

ポップバイオリニスト

式町水晶 さん

誰もが楽しめ、元気になるように!
ポップバイオリニストとして、音楽で希望を届けたい

12月に開催される「式町水晶バイオリンクリスマス・コンサート」にご出演の式町水晶さんに、バイオリンとの出会いや音楽活動に対する思いをうかがいました。

どのようにしてバイオリンに出会ったのですか?

4歳の時にリハビリの一環で始めました。私は、3歳の時に脳性麻痺と診断され、今でも小脳が通常の半分以下の大きさしかありません。そのため筋肉の麻痺や痙攣、萎縮といった症状があります。当時、リトミックが流行っていたこともあり、リハビリとして初めて習ったのはピアノでした。ところが、同じ姿勢で椅子に座り続けなければいけないうえに、左右の指を全く違うリズムで動かさなければならないピアノは、私にはあまり向いていなかったのです。
そんな時、ピアノ教室の帰りに母がバイオリンを弾いている男の子を見かけて、「バイオリンはリハビリになるかも!」とひらめいたそうです。母の直感で4歳からバイオリンを習うことになりました。

プロになろうと思ったきっかけは?

私の師匠でもある中西俊博先生との出会いが一番大きいです。中西先生のコンサートで、バイオリンの音色に惹き込まれ、私も聞いた人に元気や希望を与えるバイオリニストになりたい!と思いました。
現在、アコースティックだけでなく、エレクトリックバイオリンで演奏活動を行っているのもそのためです。エレクトリックバイオリンは、音楽のジャンルに合わせて音を加工するので、様々な表現方法が可能になります。より親しみやすいロックやポップミュージックを演奏することで、多くの人に音楽の魅力を伝えられると思っています。

エレクトリックバイオリンの魅力やアコースティックバイオリンとの違いは何でしょうか?

大きく違うのは価格です。ほとんどの人がバイオリンは高価なものというイメージを持っていると思いますが、エレクトリックバイオリンは手の届きやすい価格です。そのため、バイオリンをより身近に感じてもらえるきっかけになるのではないかと思っています。
音色は、エフェクターを使って音をひずませたりのばしたり、加工することができます。表現のバリエーションを広げられるうえに、音量調節も可能なので、吹奏楽との共演の際にも、管楽器の音にうもれることなくバイオリンの音色を響かせることができます。

TSUNAMI VIOLINについて、活動のきっかけやその内容について教えてください。

東日本大震災の光景をテレビで見た時に、いてもたってもいられず、すぐに現地で演奏会を開きました。被災地では、とてつもなく大変な状況であるにも関わらず、障害のある私を思いやってくださる方々に心を打たれました。
それまでの私は、学校で辛いいじめを経験したり、麻痺の症状が次第に強くなっていたことで、「二度と差別されたくない」という気持ちでバイオリンの練習をがむしゃらに続けていました。被災地での慰問演奏会は、「バイオリンで誰かの役に立ちたい」という気持ちを思い出すきっかけをくれたのです。
TSUNAMI VIOLINは、私の恩人であるバイオリン製作者の中澤宗幸先生が製作しており、話を聞いた時にぜひ私にも演奏させてほしいとお願いしました。たくさんの方々に元気や希望を届けられるように、慰問演奏会やチャリティーコンサートは、私のライフワークとして、力の限り続けていきたいです。

今回のステージの聞きどころを教えてください。

12月のコンサートで共演するハープ奏者の邊見美帆子さん、ソプラノ歌手の奥脇泉さんは、私が作曲した孤独の戦士を歌ってくださる予定です。どの様に歌ってくださるのか、私自身もとても楽しみですし、聞きにきてくださったお客様の活力になるような演奏をお届けしたいと思っています。また、男性4人のバンド編成での演奏も聞きどころの一つです!目で見ても楽しめるような演出を企画しているので、期待していてください!

プロフィール

ポップバイオリニスト 式町水晶さん

式町水晶(しきまちみずき)
北海道出身。3歳の時に脳性麻痺(小脳低形成)と診断され、リハビリの一環として4歳からバイオリン教室に通い始める。幼い頃から、世界的バイオリン奏者の中澤きみ子氏、中西俊博氏に師事し、現在はポップバイオリニストとしてコンサート活動と楽曲制作に取り組む。障害者や健常者の垣根を超えて、多くの人に夢や希望を届けたいという信念のもと、演奏活動を精力的に行っている。