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ふれあいコラム

今、話題の人物をクローズアップ!
ヴァイオリニスト 福田麻子(ふくだあさこ)さん

ヴァイオリニスト

福田麻子さん
(ふくだあさこ)

作曲家が残してくれた宝のような作品や
ヴァイオリンの魅力を伝えていきたい

2月にサントリーホールで行われる「第31回Kissポートクラシックコンサート」に出演されるヴァイオリニストの福田麻子さんに、ヴァイオリンとの出会いや、コンサートの見どころなどをうかがいました。

ヴァイオリンをはじめたきっかけは?

家庭環境の影響が大きいです。祖父は弦楽器の弓の製作者で、父も祖父と同じように弓の製作や、弦楽器の販売・修理を仕事にしています。母は学生時代に声楽を学んでいました。姉と兄もヴァイオリニストですが、子どもの頃は、姉と兄が先にヴァイオリンを習っていたので、そのレッスンによくついていっていましたね。ヴァイオリンをはじめたのは2歳くらいでよく覚えていないのですが、姉と兄がヴァイオリンを弾いている姿を見て、自分もやってみたいと思ってはじめたのだと思います。子どもの頃は、レッスンに行くとお菓子をもらえるのが楽しみで(笑)。コンクールで1位をいただいたり、先生や親に褒められたりしているうちに「もしかしたらヴァイオリンが得意なのかな?」と思って、続けてきたという感じです。

ヴァイオリンを演奏する魅力とは?

楽器を演奏することは、歌うことやダンスやスポーツをすることと同じように、人間が根源的に面白味を感じるものだと思います。私の場合は、たまたま身近にヴァイオリンがあったので、ヴァイオリンによって音楽の魅力を知りました。
ヴァイオリンという楽器を通して、世界中の人と繋がれることも大きな魅力です。海外のコンクールやコンサートで演奏する際には、言葉が通じない外国人のお客さまが、自分の表現したものから何かを感じ取ってくださっている姿を見て、音楽を通して人と繋がれることを実感できます。ヴァイオリンがなければ出会えなかった人もたくさんいます。
また、世界には、すばらしい作曲家による作品がたくさん残されていますが、数ある楽器の中でも、ヴァイオリンは、室内楽やオーケストラやソロなど、さまざまな編成の曲がたくさん残されているので、それらの曲に取り組める面白さがあります。楽しみながら演奏し、さらにお客さまが聴いて、喜んでいただけることは、本当に幸せなことです。

フィンランドに留学されていらっしゃったとのことですが、現地での体験はいかがでしたか?


大学の短期留学プログラムで、フィンランドのシベリウスアカデミーに留学しました。シベリウスアカデミーは、作曲家のジャン・シベリウスが学び、教えた学校として知られています。シベリウスの協奏曲も得意でよく弾いていて、シベリウスの生まれ育った場所に行ってみたいと思ったことも、留学先をフィンランドに決めた理由の一つです。
この場所もシベリウスが歩いたのかなとか、フィンランド語の響きを聞いて、こういう言語に触れていたんだなとか……その場に行って体感してみないとわからないこともありました。フィンランド人は謙虚でまじめでやさしく、日本人と共通した部分があって親近感を覚えました。海外で暮らすこと自体もすごく新鮮で、ヴァイオリンを通じて世界と深くつながる体験ができたと思っています。
コンクールや演奏会で海外に出かけることも多いのですが、ヴァイオリンの演奏を通して世界中を旅するのは、楽しいですね。将来の目標としても、海外で演奏できる機会をたくさんいただけるような演奏家になれればと思います。

音楽以外に、趣味はありますか?

美術鑑賞が好きで、美術館にはよく行きます。なかでも古い時代の絵画が好きです。西洋音楽と西洋美術は共通しているところもあります。同じ時代の音楽や絵画から、その時代の雰囲気をより深く感じ取ることができます。ジャンルにこだわらず、さまざまなものに興味を持って吸収することは、感性の引き出しを増やすことになり、それが回り回って、演奏にも生きてくるのかなと思っています。

演奏をする際に大事にしていることとは?

クラシック音楽は再現芸術といわれていますが、作曲家の精神は曲を通じて生き続けるものだと思っています。演奏者は、作曲家が作品をどのように表現したかったかを再現するのが務めでもあるので、どういう意図でつくられた作品なのかを考えることは大事にしています。

2月のコンサートでは、「スコットランド幻想曲」を選曲されています。この曲を選ばれたのはなぜでしょうか?

20世紀を代表するヴァイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツが大好きなのですが、この曲は彼が好んで弾いていた曲です。子どもの頃、ハイフェッツのコンサートDVDを両親がよく見ていて、そこから「スコットランド幻想曲」を知り、なんていい曲なんだろうと思いました。スコットランド民謡に基づいた曲で、とても情感豊かなんです。ハープとヴァイオリンソロとの掛け合いが面白いので、コンサートでは、そこに注目していただきたいですね。ヴァイオリンの魅力が存分に引き出される曲でもあるので、この曲をきっかけに、ヴァイオリンを好きになっていただけたら、嬉しいです。
昔の作曲家が残してくれた宝物のような作品を、指揮者の大友先生や東京交響楽団の方々ととともにサントリーホールで演奏できることは、またとない貴重な機会です。誠心誠意演奏しますので、ぜひ、楽しんでいただければと思います。

プロフィール

ヴァイオリニスト 福田麻子(ふくだあさこ)さん

福田 麻子
神奈川県出身。第19回東京音楽コンクール弦楽部門第1位、第87回日本音楽コンクール第3位、第16回クロスターシェーンタール国際ヴァイオリンコンクール第2位、そのほか受賞多数。守谷育英会、ロームミュージックファンデーション奨学生。CHANEL Pigmalion Days2022参加アーティスト。東京音楽大学、同大学院修士課程を首席で卒業、修了。在学中特別特待奨学生。現在、同大学院博士後期課程に在学中。これまでに、小栗まち絵、大谷康子、原田幸一郎、藤原浜雄、玉井菜採の各氏に師事。

ヴァイオリニスト 福田麻子(ふくだあさこ)さん
ヴァイオリニスト 福田麻子(ふくだあさこ)さん
ヴァイオリニスト 福田麻子(ふくだあさこ)さん

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