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ふれあいコラム

今、話題の人物をクローズアップ!
メゾ・ソプラノ歌手 花房英里子(はなふさえりこ)さん

メゾ・ソプラノ歌手

花房 英里子さん
(はなふさえりこ)

憧れのソリストの方々とともに 元気になれる「第九」をお届けします!

9月3日(火)にサントリーホールで行われる「フレッシュ名曲コンサート 第33回Kissポートクラシックコンサート」に出演される、メゾ・ソプラノ歌手の花房英里子さん。歌に対する思いや、コンサートで上演される名曲「第九」について伺いました。

メゾ・ソプラノ歌手になろうと思ったきっかけは?

大学に入ったばかりの頃は花形であるソプラノに憧れがあり、自分もソプラノだと思い込んでいました。ところが、いただくのは男の子の役などメゾ・ソプラノの役ばかりだということに、大学3~4年生で気づいたんです。当時は「私ってメゾ・ソプラノなんだ…」と落ち込みました。
でも、メゾ・ソプラノ独特の発声方法を教わったり、お姫様役が多いソプラノとはまた違うクールな敵役を演じたりするうちに楽しくなってきて、大学を卒業する頃には「メゾ・ソプラノを突き詰めたい!」と考えるようになりました。

メゾ・ソプラノを歌うことの大変さと魅力を教えてください。

メゾ・ソプラノは、30代でようやく声が成熟する段階になるといわれます。私が師事する先生は「まず40歳でいい歌が歌えることを目指しなさい」とおっしゃいます。20年先、30年先を見すえて歌声を作りあげていくことに対して、先行きの見えない怖さを感じると同時に、気持ちがワクワクします。いずれ年齢や体力の衰えを感じたりすることもあるでしょうが、そこでくじけずに、いかに努力を積み重ねていけるか。薄い紙1枚分でも高みを目指したいという思いで、日々励んでいます。メゾ・ソプラノに限らず芸術全般に言えることですが、完成形はありません。歌は終わらない旅だと考えています。

これまでに出場したコンクールで印象深いエピソードは?

メゾ・ソプラノはある程度の年齢になるまで声が落ち着かないため、歌の先生から「30歳になるまではコンクールへの出場は禁止」と言われていました。30歳になり、「やっとコンクールに出られる!」 と思った2020年、コロナ禍に突入。受けようと思っていた飯塚新人音楽コンクールが中止になってしまいました。翌年は開催されたのですが、一次予選は録画審査でした。私はどうしても録画が苦手で……。歌を届ける相手が目の前にいない状態ではうまく気持ちが乗らず、最後の高音がなかなか決まらずに、何度も撮り直ししなければなりませんでした。その苦労があったため、本選でホールに立った時は、お客さまや審査員の先生方の前で歌えるありがたみを実感したことをよく覚えています。

舞台に立つプレッシャーも多い生活だと思いますが、息抜きやご趣味は?

いちばん手軽な趣料理が好きです。得意料理を聞かれると難しいのですが、冷蔵庫の中にあるものでパパッと作ることが多いです。
歌も料理も、頭の中で手順を組み立てながら完成を目指すのは一緒です。でも、生の歌声は残せませんが、料理は形あるものとして出来上がるので、それが楽しいのかもしれません。
最近よく作るのはオレンジピールです。オレンジの皮を煮詰めて、乾燥させて、砂糖をまぶして完成。作り始めたきっかけは、3年ほど前に無農薬の夏ミカンをいただいたことでした。お礼にオレンジピールを作ってお返ししたら、すごく喜んでいただいて、翌年は倍の量の夏ミカンをくださったんです。それでまたオレンジピールを作って、別の方にもおすそわけしたら、その方もレモンをくださって……と、年を追うごとに作る量が増えています。味は料理です!

9月のコンサートの楽しみどころを教えてください。

今年で初演から200周年を迎える、ベートーヴェンの「交響曲第9番(第九)」を上演します。ベートーヴェンは、シラーの書いた詩「歓喜の歌」に感銘を受け、通常は演奏のみであるはずの交響曲に合唱を付けました。歌詞をひと言で表すと「人類は皆兄弟」という内容です。今は世界各地で戦争が起こり、災害も多発して、気持ちが落ち込んでしまう方もいらっしゃるかと思います。皆さんに「明日も頑張ろう!」と元気を出していただけるような第九を、今回のコンサートでお届けしたいです。
また、出演陣の豪華さも大きな魅力です! 指揮者もソリストも私にとって憧れの方ばかりで、一緒にサントリーホールの舞台に立てるなんて夢のようです。このコンサートに20年以上にわたって出演されている区民合唱団「ミナトシティコーラス」の皆さんとの共演もとても楽しみにしています。

プロフィール

メゾ・ソプラノ歌手 花房英里子(はなふさえりこ)さん

花房 英里子
京都市立芸術大学首席卒業。東京藝術大学大学院音楽研究科(修士課程)独唱専攻修了。二期会オペラ研修所第60期マスタークラス修了、修了時に優秀賞を受賞。東京音楽コンクール第2位、聴衆賞受賞、第40回飯塚新人音楽コンクール声楽部門第1位。オペラでは2018年二期会ニューウェーブ・オペラ《アルチーナ》ルッジェーロで二期会デビュー後、A・バッティストーニ指揮・宮本亞門演出《蝶々夫人》スズキをはじめ多数出演。また日越外交関係樹立50周年フィナーレコンサート「第九」他に出演。二期会会員。

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