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バリトン歌手
池内 響さん
(いけうち ひびき)
9月3日(水)にサントリーホールで開催される「フレッシュ名曲コンサート 第34回Kissポートクラシックコンサート」では映画『アマデウス』でも有名なモーツァルトの「レクイエム」を上演します。今回は出演者であるバリトン歌手の池内 響さんに本公演について伺いました。
なんといってもサントリーホールで歌えることが楽しみです。サントリーホールは都内にあるホールの中でも特に好きなホールのひとつで、いつも気持ちよく歌えます。響きが良いということは大前提の上で、歌い手であれば誰もが少なからず意識する自分の声とホールとの相性も良く、安心して身を任せて歌えるホールです。今からカーテンコールの想像をしてしまっているくらい楽しみです!
それから、これまでサントリーホールで公演してきたのは大半がオペラでしたが、今回の曲目は「レクイエム」ということで、サントリーホールで過去披露したことのないジャンルを歌えることへのワクワク感がありますね。
4人のソリストのハーモニーをしっかりと聴かせたいことが第一にあります。ソロももちろんですが、今回は4人それぞれがバランスをとって共に歌うアンサンブルの美しさに注目してもらいたいですね。
「レクイエム」は死者の魂の安息を願うミサの曲なので、「一人で歌う」というよりは「皆で祈る」という宗教音楽ならではの音楽性を感じてもらえたらと思います。またソリスト4人だけでなく、指揮者の大友直人さんやオーケストラ、ミナトシティコーラスの方々との一期一会の舞台で生み出される音楽とその空気感を、観客の皆さまと一緒に堪能できればうれしいですね。
アンサンブルの中でのバリトンの役割は、支えることです。他の音を支えて安定感をつくるという、縁の下の力持ちのような役割が、出演者の中では最年少の僕に託されているので、その期待に応えられる演奏をしたいと思います。縁の下の力持ちと言っても隠れるわけではないので、ぜひこの機会にアンサンブルでのバリトンの音の魅力を感じてほしいですね!
宗教音楽となると、バリトンに求められる音はもっと低いバスの音だったりするんです。僕自身、中音域・低音域はこれまで培ってきた自信があるので、そこはしっかりと聴かせたい部分でもあります。きっと今まで僕の歌を聞いたことがある方にも、新しい一面をお見せすることができると思います。
やはり自分の声が楽器であり、僕の人生の大部分でもあるので、体調管理は徹底しています。食べることも飲むことも好きなのですが、アルコールや香辛料などは摂るタイミングに気をつけていますし、鼻うがいや喉のケアなどは日常的に行っています。
歌う前のルーティンとしては「舞台袖で両頬にビンタを入れる」というのがあります(笑)。やる気スイッチが入るのだと思いますが、もう何故というのを説明できないくらい昔からずっと行っている本番前のルーティンです。今回も同様に気合い(ビンタ)を入れて舞台に臨みたいですね。
クラシックやオペラというとハードルが高くて一歩が踏み出せない方も多いかと思いますが、自分の感性を知るという意味でもぜひ一度は触れてみてほしいです。もしも好みでなかったとしても、実際に観て感想を持つこと自体が収穫だと思います。実は僕自身「オペラって楽しい!」と心から思えたのは、オペラに出会った大学生の時ではなく、それから数年後の自分が演者としてオペラの初舞台に立ってからでした。今回の公演が、観に来てくださるお客さまの好きなものを知るきっかけにつながればとてもうれしいです。
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フレッシュ名曲コンサート
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池内 響
兵庫県出身。東京藝術大学大学院オペラ科修了。2015年、日生劇場『ドン・ジョヴァンニ』タイトルロールでオペラ・デビュー。2017年に渡伊。ミラノで研鑽を積み、2018年第56回ヴェルディの声国際コンクール入選。2019年第10回サルヴァトーレ・リチートラ声楽コンクール第1位、2022年第20回東京音楽コンクール声楽部門第1位および聴衆賞など多数受賞。第37回姫路市芸術文化奨励賞、第25回坂井時忠音楽賞、2020年兵庫県芸術奨励賞の各賞を受賞。