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港区探訪

一度は訪ねたい 港区のアート&施設

第2回 港区立西麻布いきいきプラザ

港区立西麻布いきいきプラザ アート展示写真

シンプルな形こそが人の想像力をかき立てる

「高齢者のレクリエーション・学習」「介護予防・健康づくり」「区民の交流・コミュニティ」の場である港区立西麻布いきいきプラザ。西麻布保育園、あっぴぃ西麻布、子どもふれあいルームを併設している、この複合施設のエントランスホールを彩る格天井アートウォール「日本の四季」を紹介します。

港区立西麻布いきいきプラザ アート展示写真

テーマは一つでも、各作家が作り上げた世界は多面的だ。
あたかもそれは多様性に満ちた日本の四季の風景のようである。

日本の伝統を紡ぐ作品群

前方奥の壁に並んでいるのは、格子状に仕上げた天井をイメージした木枠の中に息づく作品たち。テーマは「日本の四季」で、各アーティストは「春・夏」と「秋・冬」をモチーフにした作品をそれぞれ制作し、4月からは「春・夏」、10月からは「秋・冬」をテーマにした作品に展示替えされる。

作品は、実力派若手作家の登用、漆、陶、和紙、書、友禅、金工等の日本の伝統的な技法を用いた作品の登用、日本が誇るガラス工芸の登用、施設を利用する子どもが楽しめるアートという4つのガイドラインに基づき選定された。

港区立西麻布いきいきプラザ アート展示写真

花には造形の秘密がある

作品の一つ、「春のかたち」の作者である高須賀昌志(たかすかまさし)さんにお話を伺った。

「この作品の素材が何かわかりますか?」
埼玉大学大学院教授でもある高須賀さんは、授業で使用したスケッチブックの表紙を再利用したのだとか。

「いきいきプラザの高齢者はもちろん、作品がある1階の保育園を利用する子どもも多く出入りする場所なので、親和性の高い素材を選びました。彩色はパステルで柔らかさを意識しています。」

モチーフは花。ぽってりとして温かさを感じる。見ると、趣深い色の線が幾重にも重なっていて、軽やかに動き出しそうだ。

「花はズルいと思うのです。花を嫌いな人は、あまりいません。形容詞は『キレイ、美しい』です。シンプルな丸を重ねただけで花だとわかる単純な造形のなかに魅力を備える、私にとっては羨ましい存在です。この作品は桜やチューリップ等の具体的な花ではありません。具体的ではないところが想像力をかき立てます。それが造形の魅力だと私は思っています。」

6月現在は、「春・夏」がテーマの作品。色、素材等、それぞれ異なる表現で、まだ見ぬ風景や、季節の香り、吹き抜ける風の音を感じさせてくれる。10月には「秋・冬」がテーマの作品に展示替えされるので、ぜひご覧いただきたい。

各種講座や集会室の貸し出しも

西麻布いきいきプラザは、「高齢者のレクリエーション・学習」「介護予防・健康づくり」「区民の交流・コミュニティ」の場。区内在住の60歳以上の方は無料でお風呂や敬老室を利用することができる。ストレッチ、発声、ヨガ等の教室もある。例えば、運動教室は転倒・寝たきり防止、発声教室は声を出して体の免疫力をアップ等。単発の教室もあるので、気軽に参加してみてはいかがだろう。

60歳以下でも、港区在住・在勤の方は集会室等を借りることができる。調理ができる講習室や陶芸窯、工作テーブルがある講習室もあるので、地域の交流、趣味の集まり、会議等に利用してほしい。詳しくは西麻布いきいきプラザへお問い合せを。

港区立西麻布いきいきプラザ 館内写真

❶ 一般の方向けに貸し出す集会室等は7部屋 ❷ 敬老室は畳敷き。セルフサービスでお茶等を楽しめる ❸ 囲碁の集い等、初心者でも気軽に参加することが出来る ❹ 多目的室は健康づくりのための体を動かす教室が人気

高須賀昌志(たかすかまさし) 写真

高須賀昌志 (たかすかまさし)
美術家。神奈川県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了後、東京藝術大学助手を経て、現在は埼玉大学大学院教授、東京学芸大学連合大学院教授、環境芸術会会長。「時の標 The Mark of Time」(パークコート麻布十番ザタワー)、「SANJIN」「KAIJIN」「FUJIN」(港区立檜町公園、東京ミッドタウン)等、港区内のパブリックアートも数多く手がけている。
http://takasuka-art.com/

港区立西麻布いきいきプラザ

港区立西麻布いきいきプラザ 写真

〒106-0031 港区西麻布2-13-3
TEL : 03-3486-9166
開館時間
月~土曜日 9:00~21:30(祝日は開館)
日曜日 9:00~17:00
休館日:年末年始
※臨時休館する場合があります
http://www.central.co.jp/plaza/nishiazabu/