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灯台のようにも見える美しい建築物は、85年前に建てられた現役の消防署。円塔形の望楼(火の見やぐら)に立つ青いタワーが道行く人々の目を引きます。2010年に「東京都選定歴史的建造物」に選定されました。
「MINATOシティハーフマラソン2018」の15km地点付近にたたずむレトロな近代建築。地域住民から愛される街のシンボル的存在です。
3階の円形講堂は、消防の歴史を知ることができる展示室。天井中央に向かって集まる8本の梁やアーチ窓が美しい。
講堂に展示されている刺し子の消防服は大正時代に作られたもの。消火時は、水で濡らして着たそう。
1階に置かれたクラシックカーは1945年から19年間、高輪消防署で活躍していたポンプ車。日本で作られた初の国産消防車です。
高輪の街の一角に昭和初期の面影を色濃く残す二本榎出張所は、1933年に建てられました。第一次世界大戦後に流行した「ドイツ表現主義」のスタイルで、窓や梁、壁等随所に曲線をとりいれたダイナミックな設計です。竣工当時は周囲に高い建物がなく、東京湾からもよく見えたため「岸壁上の灯台」や「海原を行く軍艦」と呼ばれたことも。てっぺんの青いタワーは、東京都の文化デザイン事業の一環として、1984年に東京藝術大学名誉教授の前野まさる氏によって、新たに設計されたもの。施設内も気軽に見学できる由緒ある消防署で、この秋は日本の消防の歴史に触れてみませんか?(団体は要予約)
写真左)大理石とセメントを練り固めてから研磨して仕上げた階段と腰壁。
写真右)アールヌーボー風のガス燈は当時のまま。停電用の照明として使用されました。