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港区探訪

港区今昔STORY

第4回 迎賓館赤坂離宮

迎賓館赤坂離宮正門 写真

昭和の大改修で正門は黒から白へ。2009(平成21)年、本館や正門等が国宝に指定されました。

息をのむ美しさ。海外の賓客をもてなす優美な宮殿

世界各国の国王や首相らが来日した際に会談やおもてなしの場として使われる「迎賓館赤坂離宮」。もともと東宮御所(皇太子の住居)として建てられたこともあり、新しい「令和」時代がスタートしたいま、あらためて注目を集めるスポットです。以前は非公開でしたが、2016(平成28)年より通年で一般公開されています。

日本の建築技術の粋を集めた
国内唯一のネオバロック様式宮殿建築

今年5月、令和となって初めての国賓としてアメリカのトランプ大統領が来日しました。その際、安倍首相と会談を行ったのが、赤坂御用地の一角にそびえたつ迎賓館赤坂離宮。広大な庭園に白亜の宮殿、うしろにはビルひとつない大空……東京都心とは思えない開放的な空間が広がっています。

迎賓館赤坂離宮 写真

前庭から眺めた本館。屋根の上には鎧武者や天球儀が鎮座します。本館は鉄骨造で、壁は最も薄いところで56cm、最大1m88cmという厚さ!

迎賓館赤坂離宮 羽衣の間 写真

オーケストラボックスを備えた「羽衣の間」。約7,000個のパーツを組み合わせたシャンデリアには仮面やラッパ等舞踏会を思わせるモチーフが。

赤坂離宮が建てられたのは1909(明治42)年。建築家の片山東熊(かたやまとうくま)が総指揮をとり、日本建築界が総力をあげ、10年の歳月を費やして完成に至りました。ベルサイユ宮殿をはじめ当時欧州で流行していたネオバロック様式を基本とし、あちこちに和の意匠もちりばめています。まだ街灯がガス灯だった明治後期に、照明も暖房も電気製だったというからビックリ。当時は電気をまかなうため敷地内に発電所も設けられていました。東宮御所として建てられた施設で、昭和天皇が約5年間、上皇陛下が約半年間お住まいになられました。

明治に建てられ、そして令和へ
時代を超えて今もなお外交の舞台に

皇室財産であった赤坂離宮は、第二次世界大戦後、国の所有へ。それからは国立国会図書館や官公庁の庁舎として使われていました。やがて国際関係が活発になり、海外からの賓客を迎える機会が増えたため、赤坂離宮を整備してゲストをもてなす迎賓館とすることが決定。竣工当時の姿を忠実に再現する大改修を行い、1974(昭和49)年に赤坂離宮は「迎賓館赤坂離宮」として見事に美しくよみがえりました。現在、館内では、1974年から現在まで、延べ317名の賓客のサインが記帳された御署名簿が羽衣の間に展示されています。見学コースとなっている本館内の4部屋には巨大なシャンデリアが吊るされ、まさに豪華絢爛のひとこと。部屋ごとに異なる趣向が凝らされ、見て歩くだけで非日常感を味わえます。

明治生まれの宮殿が、令和となった今も外交の場として活躍しているとは頼もしい限りです。

迎賓館赤坂離宮内部 写真

あちらこちらに職人の手技が光ります。(左)「朝日の間」の金華山織(きんかざんおり)。1日20cmしか織れないそう。(中)「花鳥の間」の壁はシナジ材の板張り、床は寄木細工。(右)石膏に金箔を張ったレリーフ。

迎賓館赤坂離宮 彩鸞(さいらん)の間 写真

黄金の装飾が華やかな「彩鸞(さいらん)の間」。条約の調印式、首脳会談等に使用されます。

迎賓館赤坂離宮 花鳥の間 写真

晩餐会に使われる「花鳥の間」。
頭上にはフランス人画家によって描かれた天井画が。

迎賓館赤坂離宮 七宝焼き 写真

四季の草花と鳥を表した七宝焼が壁を飾ります。絵は明治の画家、渡辺省亭(わたなべせいてい)によるもの。

迎賓館赤坂離宮 記録 写真

戦後(1948年~1961年)、「花鳥の間」が国会図書館として使われていた時の様子。(写真/国立国会図書館提供)

迎賓館赤坂離宮

【住所】
東京都港区元赤坂2-1-1

【公開時間】
10時~17時(最終受付16時、庭園のみ参観は16時30分まで受付)

朝日の間 特別展

改修前の朝日の間で実際に使われた緞通(だんつう)(絨毯)の上を歩けるほか、戦後に皇居でも使用されたエラールピアノを当時の写真とともに展示。8月10日(土)から12日(月)には、夜間公開(本館ライトアップ)も実施します。

【期間】
7月4日(木)~9月10日(火)

【特別展参観料】
本館・庭園:一般 2,000円、大学生 1,500円、中高生 500円、小学生以下無料 庭園のみ:一般 300円、大学生以下無料
※特別展開催中は、参観料が通常料金と異なりますので、詳しくは迎賓館ホームページをご覧ください。