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港区探訪

港区ー祈りの聖地 今昔STORY

第1回 赤坂氷川神社

お台場海浜公園 写真

質素倹約を重んじた徳川吉宗らしいシンプルな社殿に足を踏み入れると、内部には華やかな花鳥図の天井絵と、鳳凰の壁画が。造営200年を記念して1929年に描かれたものです。

平安の昔から赤坂の街を見守り続ける神社

「港区探訪」では今号より、古くから地元の人々の心のよりどころとなってきた神社仏閣等をご紹介していきます。新型コロナウイルス感染症の終息を祈るとともに、少しでも読者の皆さんの癒しになればと。第1回目は赤坂氷川神社です。

歴史はなんと1000年超!
8代将軍・徳川吉宗にゆかりの深い神社

厳かな雰囲気をまとう緑豊かな赤坂氷川神社は、縁結びの神社としてよく知られています。創建は平安時代にあたる951年。武州豊島郡一ツ木村(現在の国際 医療福祉大学東京赤坂キャンパス付近)に祀られたこ とが始まりでした。
江戸時代に入ると幕府の信仰があつくなります。赤坂氷川神社は紀州藩中屋敷のあった赤坂の産 うぶすながみ 土神(生まれた土地の守り神)であることから、紀州藩の藩主であった徳川吉宗が将軍職を継ぐにあたり、神社の移転と整備が決定。現在の地に荘厳な社殿が建立され、1730年に遷座が行われました。

赤坂氷川神社 鳥居 写真

南側参道の鳥居には「大正十一壬戌年九月」「麻布 芝氏子中」とあり、芝周辺まで信仰圏が及んでいたことがわかります。

赤坂氷川神社 狛犬 写真

境内には江戸獅子型の狛犬が7対も。

数々の被災を免れ
江戸時代の面影を今に残す

都指定有形文化財に指定されている社殿は、総欅(けやき)造りの一間社流造(いっけんしゃながれづくり)。関東大震災や東京大空襲の被災を奇跡的に免れて、建立当時の姿を現在まで残しています。境内には江戸時代に作られた数多くの鳥居、燈籠、狛犬のほか、樹齢400年の大銀杏があり、歴史の流れと重みを感じられる場所になっています。
赤坂氷川神社禰宜(ねぎ)の惠川義孝さんは「都心にありながら江戸の情景がそのまま残る珍しい神社ですから、ぜひ足をお運びください。現在はコロナ禍で大変な環境ですが、歴史を振り返ってみれば、いつの時代も疫病や災害がありました。互いに思いやりを持ち、みんなで乗り越えていきたいですね」と語ります。

赤坂氷川神社 包丁塚 写真

包丁塚があるのは、料亭街である赤坂ならでは。使えなくなった包丁を奉納しています。

赤坂氷川神社 燈籠 写真

燈籠には神道を表す三つ巴とともに、仏教を示す卍のマークが。明治維新までは神と仏を同一視する神仏習合の時代がありました。今でもその名残が見られる希少なスポットです。

赤坂氷川神社 しあわせ稲荷 写真

1898年に近隣の稲荷4社を合祀した「四合しあわせ稲荷」。名付けたのは赤坂氷川神社とゆかりが深い勝海舟です。現在では7社の稲荷が合祀されています。

赤坂氷川神社 大銀杏 写真

神社が遷座する前からこの地にある大銀杏。戦災により幹には大きな空洞がありますが、今も力強く生き続けています。

赤坂氷川神社 宮神輿 写真

2016年に新調された宮神輿。都内でも有数の大きさ!

赤坂氷川神社 赤坂氷川祭 写真

毎年9月には、地域と一体になって取り組む赤坂氷川祭が開催(今年は中止)。完全修復された江戸時代の山車や、きらびやかな宮神輿が巡行し、多くの人でにぎわいます。!

赤坂氷川神社 住所:港区赤坂6-10-12

生命の言葉

赤坂氷川神社では、東京都神社庁が毎月発行している格言「生命の言葉」を配布しています。ここで配布された格言を1つご紹介します。

「失ったものを数えるな残されたものを 最大限に活かせ」

ルートヴィヒ・グットマン
(パラリンピックの創始者でもあるドイツの神経医学者)