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港区探訪

港区ー祈りの聖地 今昔STORY

第5回 芝東照宮

芝東照宮

社殿の奥には、ご神体である寿像が鎮座しています。寿像は通常非公開ですが、年に一度、家康の命日である4月17日のみ御開帳されます。

家康の等身大像をご神体とするパワースポット

全国でも四大東照宮に数えられる芝東照宮。境内には樹齢370年を超えるイチョウがそびえ、隣接する区立芝公園の自然とともに四季折々の景色を楽しめます。

60歳の家康の姿を彫刻した坐像が見守る神社

増上寺の北側、芝公園の一角に鎮座する芝東照宮は、豊かな緑に囲まれたまさに都心のオアシスです。「東照宮」とは、東照宮大権現の神号を授けられた徳川家康を祀る神社のこと。全国に数多くある東照宮のなかでも、芝東照宮は日光・上野・久能山とならんで四大東照宮のひとつとされています。もともとは家康の死の翌年に、徳川家の菩提寺である増上寺の境内に「安国殿」として創建されましたが、明治初期の神仏分離により増上寺から分かれ、芝東照宮と呼ばれるようになりました。
ご神体は家康の等身大の寿像(じゅぞう)です。この像は家康が還暦を迎えた記念に自ら命じて作らせたもので、当初は、家康が隠居の場としていた静岡県の駿府城(すんぷじょう)に置かれていました。1616年に家康が75歳で亡くなると、「像を増上寺に鎮座させ、永世国家を守護なさん」という遺言に沿って寿像は駿府から江戸の増上寺に移され、やがて芝東照宮の本殿に安置されることとなりました。

参道と鳥居

現在の参道と鳥居。静謐(せいひつ)な空気が漂っています。

1911年の参道と鳥居

明治後期にあたる1911年に撮影された参道と鳥居。この写真に写る鳥居は戦災により焼失しました。(港区立郷土歴史館所蔵)

戦災や災害を乗り越え今に残る寿像と大イチョウ

芝東照宮の社殿は、江戸初期の1633年に建て替えられたものが昭和まで維持されていましたが、1945年の戦災により焼失。かろうじて焼失を免れた寿像は1963年に東京都重要文化財に指定されています。その後、1969年に現在の社殿が再建されました。境内にそびえる公孫樹(イチョウ)は、1641年に3代将軍徳川家光が手植えしたと伝えられるもの。現在は高さ約21.5m、幹の周囲約6.5mの巨木となり、夏には豊かな葉をしげらせ秋には黄色く色づいて、参拝者の目を楽しませてくれます。
また、芝東照宮の隣に広がる「銀世界」と呼ばれる梅林では、梅の花が見ごろを迎える2月中旬に、毎年恒例の「芝公園梅まつり」が開催される予定です。

大イチョウ 写真

大イチョウは東京都の文化財保護条例に基づき、天然記念物に指定されています。

石燈籠 写真

境内には、江戸時代に作られた石燈籠も。そのたたずまいに長い年月の流れを感じます。

芝東照宮の南側に設けられたデッキ

芝東照宮の南側に設けられたデッキは、隣接する梅林「銀世界」へと続いています。

社殿 写真 ハート形の装飾 写真

赤と白のコントラストが鮮やかな現在の社殿。よく見るとハート形の装飾が。これはイノシシの目を模した「猪目(いのめ)」と呼ばれ、古来から魔除けのために用いられているモチーフだそうです。

提灯 写真

社殿入口の両脇には、徳川家の家紋である三つ葉葵をあしらった提灯が。

御朱印 写真

近年、人気となっている御朱印(初穂料500円)。芝東照宮の御朱印には、日光杉並木の古材から作られた「芝東照宮道中安寧守」が付いてきます。

生命の言葉(神社庁より)

人の一生は重荷を背負うて
遠き道を行くが如し
いそぐべからず
徳川家康

芝公園梅まつり

御朱印 写真 御朱印 写真

2021年2月19日(金)・20日(土)に「芝公園梅まつり」が開催予定。野点茶会や箏の演奏などが楽しめます。