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港区探訪

港区ー憩いの場 今昔STORY

第6回 毛利庭園

毛利庭園

たくさんの宇宙メダカが泳ぐ毛利池。水のせせらぎと豊かな緑が訪れる人の目をうるおしてくれます。毛利池の下に眠るニッカ池の水は、かつてウイスキーのブレンドにも使われていたそうです。

六本木ヒルズの一角で歴史的景観を味わおう

毛利庭園は、四季折々の自然を楽しめる都会のオアシス。江戸時代には大名屋敷があったほか、歴史に名を残す人々にゆかりの深い場所でもあります。

土地にドラマあり 赤穂浪士が仇討ち後に過ごした場所

2003年に開業し、いまや六本木のシンボルとなった六本木ヒルズ。数々のショップ、レストラン、美術館、映画館、オフィスから集合住宅まで、さまざまな機能をもつ巨大複合施設です。その広大な敷地の一角に、江戸時代の面影を残すのが毛利庭園です。
およそ370年前、毛利元就の孫である秀元が甲斐守(かいのかみ)となり、ここに上屋敷を構えました。1702年の赤穂事件では、赤穂浪士のうち10人が毛利家に預けられ、この地で最期を遂げています。また、のちに明治の大軍人となる乃木希典(まれすけ)はこちらの侍屋敷で生まれ、幼年期を過ごしました。明治時代に入り1887年には、中央大学の創始者である増島六一郎の邸宅となり、第二次世界大戦後にはニッカウヰスキーの東京工場に。その後、テレビ朝日社屋を経て、現在の姿となりました。

洗練された雰囲気と 江戸時代の名残が共存

毛利庭園は、大きな池のまわりを遊歩道がぐるりと囲む池泉回遊式の日本庭園です。園内には、古くから付近で育ってきたクスノキやイチョウ、サクラのほか、新たにキンモクセイやツツジなどさまざまな樹木も植えられ、豊かな緑と四季の美しさを堪能できる空間になっています。
ニッカウヰスキーの工場があった頃、この場所にあった池は通称「ニッカ池」と呼ばれ、地域の人々に親しまれていました。六本木ヒルズ建設にあたり、将来のさらなる発掘調査などの可能性を残すため、ニッカ池の底を固めて防護シートで覆い、埋土保存が行われました。その上に現在の毛利池が作られています。
毛利池をのぞいてみると、スイスイと泳ぐかわいらしいメダカの姿が。このメダカの名は「宇宙メダカ」といいます。1994年にスペースシャトル内で行われた実験によって、脊椎動物として初めて宇宙で生殖行動・産卵・孵化したメダカの子孫なのです。
古くから残るものと、新しいもの。毛利庭園は、一つの庭園のなかに新旧の融合を感じられる、味わい深い庭園です。一度、足を運んでみてはいかがでしょうか?

毛利庭園2

毛利庭園3

クスノキ

古くからの地形を活かしながら、滝から渓流を経て池へと水が注ぐよう作庭されています。回遊式のため、さまざまな角度から池のある景観を楽しめるのも魅力です。見上げるような大きなクスノキは保存樹木のひとつ。

カモの親子

カモの親子ものんびりお散歩中。かわいらしい姿に癒されますね。

サクラ、モミジ

春はサクラ、秋はモミジなど季節の彩りを楽しめます。ベンチに座ってゆったり自然を眺めて。

江戸時代の地図

江戸時代の地図。毛利庭園がある場所は、かつて毛利甲斐守の敷地でした。

アクセス情報

アクセス情報

住所:東京都港区六本木6-10-1(六本木ヒルズ内)
東京メトロ日比谷線「六本木」駅直通、都営大江戸線「六本木」駅
徒歩約4分、「麻布十番」駅徒歩約5分

公園近くの もうひとつの今昔STORY

麻布十番 豆源

麻布十番 豆源(旧) 現在

麻布十番 豆源(新) 昭和30年

麻布十番にある「豆源」は1865年創業の豆菓子店。屋号は創業者である駿河屋源兵衛の愛称「豆やの源兵ェさん」に由来します。地方の商家出身だった源兵衛は、上京して幕府に奉公していましたが、桜田門外の変を目にし「命あっての物種だ」と商売人へ転身。以来、豆源は豆本来の美味しさを追求し続け、その味は多くの人をとりこにしています。

住所:港区麻布十番1-8-12
営業時間:10:00~18:30(短縮営業中)
定休日:火曜不定休