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港区探訪

港区ー憩いの場 今昔STORY

第10回 八芳園

八芳園

長い歴史を物語る老木や名石が並ぶ日本庭園

自然の地形を利用して造られた、雄大な日本庭園を有する八芳園。
東京都心にいながら季節の美しさを堪能できるスポットです。

樹齢数百年の盆栽がずらり 水と緑にあふれる散策路を歩く

白金台駅を出て、目黒通りから桑原坂を下ると、八芳園と刻まれた石碑が見えます。格調高い正門の先に続くのは、広さ約1万坪に及ぶ日本庭園。豊かな緑の中に茶室や東屋が点在しています。
庭園は池を囲んで散策路が連なる「池泉回遊式」で、山の手の台地の地形を生かし、斜面に沿って多くの名木が植えられています。春には桜、秋には紅葉など四季 折々の景観を楽しめるほか、樹齢500年を超える盆栽や1,000年以上の歴史をもつ国宝級の仏塔などが置かれ、自然の美しさとともに悠久の時の流れも感じられる空間となっています。

昭和の実業家が情熱を注ぎつくりあげた 自然との調和をめざした日本庭園

江戸時代初期、ここには徳川家康の側臣で「天下のご意見番」と呼ばれた大久保彦左衛門の屋敷がありました。明治の末には、かの渋沢栄一の従兄弟で、日本初の株式取引所を開いた実業家・渋沢喜作が居を構え、その後、現在のJXグループの創業者であり、日立製作所等の企業の礎を築いた政財界の巨星ともいわれる久原房之助の所有となりました。庭園に造詣が深かった房之助は熱い情熱をもって日本庭園の整備を進めます。その思い入れは相当なもので、植木職人に枝1本も自由に切ることを認めなかったといいます。戦争が終わって間もない1950年、「この広大な庭園を個人のためだけに置いておくのは時代にそぐわない」と考えた房之助は、銀座などで割烹を経営していた長谷敏司に庭園の一部と屋敷を提供して飲食店を開業。こうしてスタートした八芳園には、連合国軍最高司令官リッジウェイ大将をはじめ、国内外から多くの著名人が訪れました。
現在の八芳園はレストランや料亭、茶室を有し、結婚式や宴会場として親しまれています。

川の跡を利用した池 昔、この付近に池があり、そこから川が流れ出ていました。下水道の整備工事により川は埋め立てられましたが、房之助は川の跡を利用して池を造成。現在は数多くの鯉がゆうゆうと泳いでいます。

壺中庵 庭園を眺めながら季節の料理を味わえる料亭「壺中庵(こちゅうあん)」。作家・遠藤周作が中国の故事にならってその名を付けたそうです。1951年まで房之助の私邸でした。(壺中庵利用者のみ見学可能エリア)

グリーンアート 日本が世界に誇るグリーンアート、盆栽がずらり。樹齢200年以上の名品の数々を鑑賞できます。

中庭 池を見下ろす中庭。記念撮影スポットとして人気です。

大護神社 池のほとりにたつ「大護神社」は、神武天皇や明治天皇のほか、明治維新の志士をご祭神とする神社です。

仏塔、石燈篭 庭園のあちこちに歴史 ある仏塔や石燈籠が配されています。

モミジ柄のタイル 200年以上も昔に作られ、伊賀の地に置かれていたといわれる十三層塔。足もとの火袋には東西南北の梵字が。

アクセス情報

アクセス情報

《八芳園》
住所:港区白金台1-1-1
都営三田線・東京メトロ南北線「白金台」駅徒歩1分

庭園近くの もうひとつの今昔STORY

夢庵(八芳園内)

池のかたわらにたたずむ茶室で抹茶と茶菓子を楽しめます。幕末から明治初期にかけて活躍した横浜の生糸貿易商・田中平八が建てた茶室を、お茶好きだった久原房之助が移築したもの。移築にあたっては、茶室がつかえないよう沿道の電柱をすべて抜いてしまったという逸話が残ります。現在は営業時間を限定的にし、「お呈茶」1,100円で提供しています。

夢庵

営業時間:11:00~15:00(土・日・月のみ)
※予約は受け付けていません。
※営業日時は変更される場合があります。詳細はHPにてご確認ください。
https://www.happo-en.com/