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港区探訪

港区ー憩いの場 今昔STORY

第12回 明治神宮外苑

港区の銭湯

イチョウ並木を抜けると正面にそびえたつ重要文化財である聖徳記念絵画館は、日本最初期の美術館建築。

東京の一等地に広がる、スポーツと文化の拠点

今回は、明治神宮の境内の一部である明治神宮外苑をご紹介します。手入れが行き届いた自然美と歴史ある建築美を眺めながら、散策を楽しめるスポットです。

明治天皇にゆかりの深い練兵場が 国民の寄付によって神宮外苑に

明治天皇とその后の昭憲皇太后を祀る明治神宮は、神社の本殿が建つ「内苑」と、神宮球場などがある「外苑」で構成されています。外苑一帯は、江戸時代には武家屋敷や寺院が建ち並んでおり、明治時代に入ると陸軍の演習が行われる青山練兵場となりました。明治天皇もここで近衛兵を指揮したそうです。やがて代々木に新しい練兵場が開設され、青山練兵場は1912年に開催予定だった日本大博覧会の会場となるはずでしたが、国の財政状況が悪化し博覧会は中止に。まもなく明治天皇が崩御したため、空き地となっていた青山練兵場とその周辺が、明治神宮外苑の用地となりました。内苑は国費で作られましたが、外苑はすべて国民の寄付によって造営されました。
明治天皇が乗馬を好んでいたこと、またスポーツ振興のねらいもあり、外苑には球場や競技場などスポーツ施設が多く設けられています。また、明治天皇の生涯を描いた壁画を展示する聖徳(せいとく)記念絵画館や、明治期に宮中晩餐会が行われた明治記念館本館など、歴史と文化を感じられる施設も充実しています。

計算され尽くした景観美を堪能! 300m続くイチョウ並木道

明治神宮外苑といえば、美しいイチョウの並木道を真っ先に思い浮かべる人も多いでしょう。4列に並ぶイチョウの総本数は146本。新宿御苑在来木から採取したイチョウの種子を宮内省南豊島御料地内(現在の明治神宮内苑)に蒔いて育て、その中から選び抜かれたものが、1923年に外苑に植栽されました。114年経つ今でもすくすくと育つイチョウの姿は、見る人に元気を与えてくれます。
実はこの並木道、立体感のある景観を生み出すため、約1mの勾配がある設計となっています。青山通りから絵画館に向かって、そして逆に絵画館から青山通りに向かって、並木道の眺めを見比べてみるのも面白そうですね。

イチョウ並木 ①イチョウ並木:青山通り側の入り口には、江戸城のお堀の古材を利用した石塁が。

御観兵榎(ごかんぺいえのき) ②御観兵榎(ごかんぺいえのき):明治天皇が青山練兵場の観兵式に臨む際は、いつもこの榎の西側に御座所が設置されました。現在の榎は二代目。

明治記念館 ③明治記念館:赤坂仮皇居の御会食所(迎賓館)として1881年に建設。その後、伊藤博文に下賜されましたが、明治神宮造営にあたり寄贈され、この地に移築されました。

聖徳記念絵画館 聖徳記念絵画館 聖徳記念絵画館 ④聖徳記念絵画館:館内の壁や床には、国産の天然大理石がふんだんに使われています。その大理石の断面には、なんと約3億年前の化石を見ることができます。

葬場殿趾 ⑤葬場殿趾:明治天皇の葬儀で、御霊柩(ごれいきゅう)が安置された場所。柵内には石碑とクスノキの大木が。

明治神宮野球場 ⑥明治神宮野球場:東京六大学野球をはじめとする学生野球の聖地。東京ヤクルトスワローズのホームグラウンドでもあります。

日本最古の車道用アスファルト ⑦日本最古の車道用アスファルト:1926年に完成し、94年にわたって使用されました。

外苑にイチョウを植樹している様子 外苑にイチョウを植樹している様子。緑量が多く気品があり、公害に強いことからイチョウが選ばれました。

アクセス情報

アクセス情報

最寄り駅:JR「信濃町駅」「千駄ヶ谷駅」、
地下鉄「外苑前駅」「青山一丁目駅」「国立競技場駅」

外苑近くの もうひとつの今昔STORY

明治記念館 ラウンジkinkei(キンケイ)

池のかたわらにたたずむ茶室で抹茶と茶菓子を楽しめます。幕末から明治初期にかけて活躍した横浜の生糸貿易商・田中平八が建てた茶室を、お茶好きだった久原房之助が移築したもの。移築にあたっては、茶室がつかえないよう沿道の電柱をすべて抜いてしまったという逸話が残ります。現在は営業時間を限定的にし、「お呈茶」1,100円で提供しています。

明治記念館

明治記念館

住所:港区元赤坂2-2-23 明治記念館内 本館1階
営業時間:10:00~21:00(土日祝は9:00~)
※食事ラストオーダー20:00、飲物ラストオーダー20:30