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朝香宮家の家族団らんの場でもあった2階広間。壁面には輸入の壁材が用いられています。(画像提供:東京都庭園美術館)
日仏のデザイナーや職人たちが総力を結集して作りあげた旧朝香宮邸を本館とする美術館。四季折々の自然を感じながらアートに触れるぜいたくな空間です。
日本庭園、西洋庭園、芝庭という3つのエリアを有する広大な庭園に囲まれた東京都庭園美術館。本館は朝
香宮家の邸宅として1933年に建てられました。年4回開催される展覧会では、荘厳な本館のあちこちに多彩なアート作品が展示されます。
邸宅の主であった朝香宮鳩彦(やすひこ)
王はヨーロッパ留学中の1923年に交通事故にあい、療養のため允子 (のぶこ)
妃とともに2年余りをパリで過ごしました。その間にパリで開催された「アール・デコ博覧会」に強い影響を受け、帰国後、自邸の建築にアール・デコ様式をとり入れました。邸宅の全体設計は日本建築の精鋭集団であった宮内省内匠(たくみ)寮が担当し、主要な部屋の内装設計にはフランス人デザイナーのアンリ・ラパンを起用。20世紀初頭にヨーロッパで大流行したアール・デコですが、当時の日本にはまだ資料が少なく、宮内省内匠寮の建築家たちは苦心しながら設計を進めたといいます。そのためアール・デコの装飾のなかに和風の意匠もちりばめられ、「日本のアール・デコ」ともいえる見事な建築が完成しました。朝香宮家の人々は皇籍離脱となる1947年までここで暮らしました。戦後の接収を奇跡的に免れた旧朝香宮邸は、吉田茂首相の公邸や、国賓の迎賓館として使われたあと、東京都の所有となり、1983年か
ら東京都庭園美術館として一般公開されています。
本館の隣に建つ新館は2014年にリニューアルした建物で、展示室のほかミュージアムショップやカフェも併設。カフェでは見渡す限りの緑を楽しみながら季節のスイーツが味わえます。
1階はゲストをもてなすための空間として設計されました。40個の天井照明が配された大広間。(画像提供:東京都庭園美
術館)
フランスのガラス工芸の巨匠、ルネ・
ラリックによるガラスレリーフ扉があしらわれた正面玄関。
壁にフランス産大理石、床に日本製モザイクタイルがあしらわれた浴室。
第一応接室は、宮家を訪ねた来賓の御用係の待機場所として使われました(展覧会によって情景は異なります)。
大きな窓から庭園を一望できるベランダ。床には
黒と白の大理石が市松模様に敷かれています。
芝庭には彫刻作品が点在。
日本庭園にある茶室。本館とともに国の重要文化財に指定されています。
朝香宮のご家族のみ使われたという第一階段。壁にはめ込まれたブロンズ製の金物は宮内省内匠寮によるデザインで、どことなく東洋の雰囲気が感じられます。
部屋ごとに異なる天井照明のデザインに注目してみるのも楽しそうです。
広報担当の斉藤音夢さんは「建物の魅力を感じていただける展覧会を多数企画しています。ぜひお越しください!」と話します。
住所:港区白金台5-21-9
開館時間:10:00~18:00 (入館は17:30まで)
※庭園のみ公開の期間あり。HPで確認を。
休園日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
入館料:展覧会によって異なる庭園入場料:一般200円、大学生160円、中学生・
高校生・65歳以上100円、小学生以下および都 内在住・在学の中学生は無料
アクセス:JR山手線・東急目黒線「目黒」駅徒歩7分、都営三田線・東京メトロ南北線「白金台」駅徒歩6分