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中庭には、稲わらを編んで作った茅葺(とまぶき)や、石積みを展示。どちらも日本に古くから伝わる技法を使い、手作業で組み上げたもの。
新進気鋭の建築家たちが自らの世界観を自由に表現する、建築とデザインの専門ギャラリー。建築分野を志す若者のメッカとなっています。入場無料なのもうれしいですね。
建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞した建築家・妹島(せじま)和世さんがまだ30代だったころ、そのあふれる才能に共鳴し、展覧会を企画・開催したギャラリーが港区にあるのをご存知でしょうか?それが今回紹介する「TOTOギャラリー・間」です。
このギャラリーは、日本を代表する建築家・安藤忠雄さん(現特別顧問)が運営委員の一人として長年携わり、創立以来37年間、建築をテーマとした展覧会を行ってきました。展示形式がユニークで、展示スペースの空間デザインをすべて、出展者である建築家にゆだねます。展覧会の主が変わるとギャラリーの表情もがらりと変わるのです。
「建築」は、建物の美しさだけでなく、どういう社会を作っていきたいかという建築家の思想が問われる分野です。TOTOギャラリー・間代表の筏(いかだ)久美子さんは「作品を見せるというよりも、建築家の考えを伝える場所にしたい」と語ります。そのため、ギャラリースタッフが直に作品を解説するギャラリーツアーや、展示に関連したイベントを数多く開催しています。
現在は建築界の有識者4人がキュレーターを務める企画展「How is Life?―地球と生きるためのデザイン」を開催中。現実社会のさまざまな障壁に挑んだ、国内外のプロジェクトを紹介しています。里山の暮らしに密着する活動や、街路樹の再生利用、自転車移動を軸とした都市づくりの提案など、多彩な事例が並びます。その背景にある建築家の想いにふれることで、きっと新たな気づきがあるはずです。このギャラリーは、建築家やデザイナーと一般の人々をつなぐ、日本でも稀有な空間です。「建築を学ぶ学生ならばまず、ギャラマ(TOTOギャラリー・間の通称)に行け」という言葉もうなずけます。ぜひこの機会にお出かけしてみませんか?
従来は捨てられてしまうような古材や古道具を加工し、再利用する取り組みを展示。昭和風のちゃぶ台がおしゃれなテーブルに変身!
ニューヨーク
マンハッタンの一角に小麦を植えるという約40年前の実験的な芸術を映像で紹介。当時で42億ドルもの資産価値がある土地で栽培・収穫された小麦は世界中で展示され、人々に都市化のあり方を問い直しました。
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Nacása & Partners Inc.
街路樹は加工に向かず、伐採されたあとは捨てられてしまいます。それを使って製品化するなど、街路樹を資源とみなす「都市林業」を紹介するコーナー。
モルタルなどは一切使わず、石だけで頑丈に仕上げる石積み。石積みに興味をもつ人は年々増えているようです。1月には石積みを行うワークショップが開催されました。
併設の書店「Bookshop TOTO」では、展覧会や建築に関する書籍を販売。充実の品ぞろえです。
海抜の低いオランダでは、地域温暖化に伴う海面上昇のリスクに備えて、海に浮かぶ「Floating Farm」が稼働しています。この酪農場は、牛を飼育する機能と、その牛からつくられた牛乳を用いてチーズやヨーグルトなどの乳製品を生産する機能の両方を有しています。
作品の解説シートを集め、好きな色の表紙カバーを選んで、自分だけの解説冊子が作れます。
左からスタッフの片桐真理子さんと代表の筏 久美子さん。「開館時間を夜8時まで延長するナイトツアーも定期的に開催します。仕事帰りにぜひお立ち寄りください!
住所:港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
開館時間:11:00‒18:00
休園日:月曜・祝日・夏期休暇・年末年始・展示替え期間
入館料:無料
アクセス: 東京メトロ千代田線「乃木坂」駅徒歩約1分、
日比谷線「六本木」駅徒歩約7分、銀座線・半蔵門線、
都営地下鉄大江戸線「青山一丁目」駅徒歩約7分