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アカデミックな雰囲気が漂う旧講堂。映画やドラマのロケ地に使われることも。
今回は、眺めるだけでも楽しいデジタル展示や、迫力ある実物資料が充実した港区立郷土歴史館をご紹介します。
白金台駅のすぐそばの複合施設「ゆかしの杜」内にある、港区立郷土歴史館。豊富な資料を見ながら、港区の歴史、文化、自然について学べます。縄文土器や映像などの資料はもちろんのこと、風格ある建物そのものも見応えがたっぷりです。
この建物は1938年に建設され、2002年まで国民の保健衛生について調査研究する国立機関「公衆衛生院」として使われました。その後、港区の所有となり、耐震補強やバリアフリー化などの改修工事を経て、2018年にゆかしの杜としてオープンしました。
設計したのは東京大学の安田講堂を手がけたことで知られる内田祥三(よしかず)。外観は、細い溝が多数刻まれたスクラッチタイルで覆われたゴシック調のデザインとなっています。また内部も、高級な石材をぜいたくに使った中央エントランスホール、重厚感あふれる旧講堂、旧院長室などが建設当時のまま残されており、建物展示として楽しむことができます。
港区立郷土歴史館の常設展は、海との関わりという視点から港区を見つめる「海とひとのダイナミズム」、江戸時代のまちと人々の様子を紹介する「都市と文化のひろがり」、港区の近現代の歴史を知る「ひとの移動とくらし」という3つのテーマに分かれています。常設展と年4回開催される特別展・企画展は有料ですが、港区3万年の歴史をプロジェクションマッピングで学べるガイダンスルームや、クジラの骨格標本が展示されたコミュニケーションルーム、そして建物展示はいずれも無料で見学可能。広報担当の大矢直樹さんは「ワークショップやコンサートなどイベントも開催していますので、お気軽にお越しください」と話します。
中央エントランスホールの吹き抜け天井には華やかなレリーフが。ゲストを迎える場にふさわしい豪華なつくりです。
昭和初期のレトロな空気を色濃く残す館内。こちらの照明器具は公衆衛生院時代から使われているもの。
工事でどのような改修が行われたかわかるよう、壁や床に埋もれた古い扉を隠さず見せています。建物内のあちこちをチェックしてみて。
常設展示のひとつ、幅15
メートルにおよぶ伊皿子(いさらご)貝塚の貝層断面。タッチパネルで高精細な拡大写真や解説も見られます。
大きな地形模型に映像を映し出すプロジェクションマッピング。港区の3万年の歴史を約4分間で紹介します。
公衆衛生院の旧院長室。当時、高級材だったベニヤが壁材としてふんだんに使われ、床には寄木細工が用いられています。
カフェもあります♪
住所:港区白金台4-6-2 ゆかしの杜内
開館時間:9:00~17:00(土曜は20:00まで)
休館日:第3木曜(祝日の場合は前日水曜)、年末年始、特別整理期間
入場料:建物見学などは無料
常設展は大人300円、小・中・高100円
アクセス:
東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線「白金台」駅徒歩1分
同じくゆかしの杜にある「ういケアみなと」は、がんを患った方が住み慣れた地域で療養生活を送れるよう本人やその家族を支援するための施設。2人に1人ががんを患うといわれる現代、「もしも自分ががんと診断されたとき、この場所を思い出してもらえるように」と、どなたでも気兼ねなく利用できる場所です。広々とした交流スペースにはキッズコーナーや自由に弾けるピアノを設置。情報コーナーにはがんに関するエッセイやマンガなど、手に取りやすい書籍が並んでいます。いずれも開館時間内は出入り自由。看護師、医療ソーシャルワーカー、社会保険労務士、アピアランスアドバイザーによる相談も受け付けています(予約制の場合あり)。イベントも多彩で、3月25日(土)には「春のコンサート」が行われます(詳細はP8)。ぜひ足を運んでみてください。
(左)ウィッグのサンプルや、がんに関する書籍などが充実した情報コーナー。
(右)絵本が置かれた交流スペースは、「ゆったり過ごせる」とお子さま連れにも人気です。
住所:港区白金台4-6-2 ゆかしの杜5階
開館時間:10:00~21:00(土曜は17:00まで)
休館日:日曜、祝日、年末年始